自治体の会見や記者発表の課題と対策:ハイブリッド形式でより多くの人に届けるために
自治体の会見や記者発表は、現在、庁舎での会見と同時に、ライブ中継、オンライン配信を組み合わせたハイブリッド形式が主流となっています。このことは、より多くの人々に情報をいち早く届けるという点で大きなメリットがありますが、実施においていくつか課題や問題点もあります。ここでは、ハイブリッド会見の対策やあるべき姿について書いていきます。
課題
合理的配慮が手話のみ
聴覚障害者だけでなく、視覚障害者や外国人など、アクセシビリティの対応が会見に不足しているケースが見られます。
文字による補足が不足
会見は中継映像がありますが、結果的に登壇者の音声のみで情報を得られる内容となっていることが多くあります。文字として視覚情報を伝える必要があり、字幕やディスプレイでの対応が必要です。
音声環境が不十分
会見を音声のみで聞く場合もあります。視聴者にとって聞こえやすいようなマイク集音の環境が必要です。これは音声の自動文字認識にも影響します。また、話し方が不明瞭であると、聞きづらい会見となります。登壇者や質問者も含めた話し方の心得が必要です。
多言語対応
外国人住民や観光客にも情報を届けられるような多言語対応が求められます。これは字幕や音声認識とも連動します。
会見内容の更新
会見内容の要約をWEBサイトに掲載するまでにはできるだけ短い時間での更新が必要です。
対策
アクセシビリティの向上
手話通訳に加え、字幕、音声翻訳などを通じた様々な合理的配慮を検討すべきです。そのためには、1カメラの撮影だけでない、中継画面の構成について改善が望まれます。
ディスプレイでの補足
登壇者の会話を補足する情報が必要です。スライドの他に、ポイントを押さえた大きな掲示物が望まれます。
音声環境の向上
指向性マイクなどの利用で地上波の音声に遜色ないマイクを使用するべきです。またそれは質問者のマイクも同様で、質問者は都度マイクの近くに立つことが大切です。また、それぞれの話者の音声品質向上が求められます。話者は、はっきりとゆっくりしゃべる、伝わる会話力が大切です。
多言語対応
明瞭な音声があれば音声認識からの多言語自動翻訳は視聴者側で可能です。会見趣旨などを掲載するページに、英語版が望まれます。
会見内容の更新
自動音声認識からの生成AIによる要約により、会見議事録の作成時間は大幅に短縮できる可能性があります。
まとめ
ハイブリッド形式の会見や記者発表は、より多くの人々に情報を届けることができる手法である一方で、様々な課題が存在します。伝えたという事実を残すだけでなく、その内容が伝わる工夫が必要です。公平な情報公開のためにも、環境の改善が日々求められると思います。
※生成AIによるイラスト(Canva)
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