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大学進学をしないで留学をしようか…と迷っている友人の息子ちゃんへ書いた英語学習のアドバイス

タイトル通り、友達の息子ちゃんから英語習得に関するアドバイスを問われたので、お返事として書いたものです。私は、在英22年目。20代半ばに、2〜3年くらいで日本に帰るつもりでやってきて、住み着いてしまいました。


『どうやって語学を学んだか?」へのお返事

私は「語学習得は階段を登るようなもの」説を持っている。コツコツ一歩一歩、単語を覚えたり、自分の伝えたい事を英語で喋ったり、会話相手の英語を聞いて理解する努力をしたり、調べたり質問したり、とにかく小さな事を積み上げていくしかないと思っている。私は、今でこそ英語が喋れているが、これは只ひたすら脚を止めないでずっと登り続けてきた賜物だと思っている。語学習得にエスカレーターやエレベーターのように早く登る方法は無いと思った方がいい。海外に来れば、自動的に喋れるようになるかと思ったらそれは大間違いで、英語圏に来ようがなんだろが、同じ場所でふわふわと漂い続けることも可能で、何年も住んでいるのに全く語学が上達していない人もザラにいる。あと短期間で、ペラペラになる人もいない。

私は若い頃、自分は英語が得意だと思っていた。学校での英語の成績も良かったし、それっぽい発音もできたし。海外旅行に行けば数日で英語がなんとなくわかり始める感触があって、私、英語がイケるんじゃないか?ってずっと思っていた。映画をみても薄ぼんやりと会話が聞き取れて理解できたような気がしたし、海外留学をしたら、割とすぐにバリバリ英語がわかる様になっちゃうんじゃないかしら?って。そんな期待に胸を膨らませて、イギリスに来たのだが、はじめの一年くらい、この薄ぼんやりと会話が聞き取れて理解できた気がするだけの状態が続いた。理解ができた気がする程度で、ちゃんと理解出来ていないわけで。あまりにも色んなことが薄ぼんやりとしかわからなくて、ずっと怖かった。

語学学校などのあつらえられた環境では、まぁまぁ居心地が良かったし、例えばロンドンのホストファミリーの家で、ホストマザーから一対一で丁寧に話して貰ったことは分かるけれど、ホストファミリーの家族同士の会話は、もうさっぱりわからなかった。会話のスピードも内容も表現もレベルが全然違った。自分の英語力がどれだけ拙かったか、思い知らされた。イギリスでの暮らしは、基本的に、みえないものを一生懸命がんばって目を凝らして見ている様な感じで、世界がぼやけ過ぎてよくわからなかったし、わからないから取り残された様な不安な気持ちになって、凄く疲れた。

でも、あんな大見得を切って、日本を出てきたのに、疲れたし嫌になったから…と言って、ろくに英語も習得しないまま易々と帰るわけには行かない!!と思った。

こうなって、ようやく本気で英語の勉強を始めた(遅いよ)。当時、私が使ったのはケンブリッジ出版のEnglish grammar in use だ。20年以上前もベストセラーだったが、今でも改編を重ねて販売していて評判が良いみたいだ。

「日本人は、英語の文法は得意だけれど、正しい文法にこだわり過ぎるから喋れない」と言う説を聞いたことがあるかな?私は当時、この説を都合よく信じていて、あまり文法をやり過ぎると、かえって喋れなくなるんじゃないか?とか、自分はこれまでの英語学習で文法はもう出来ているのじゃないか?などと思っていて、文法学習を舐めていた。

ここで、クイズです。

「今朝お母さんが犬の散歩に行っていたら、僕が(散歩に)行かなくても良かったのに。」
これを英語で言えるかな?

さらっと答えが出るなら全然良いのだけれど、当時の私はこれを英語で言う事が出来なかった。英語ができるつもりでいたけれど、こんなものだ。会話の中で、このようなたわいもない事象を、相手に伝えたいと思っても、あのときの私は出来なかったのだ。それは、語彙力もヒアリング力も関係がなく、ただただ文法が身についていなかったからだ。イギリスに来て割とすぐに、この事を痛感して、やっぱり文法をやらなくては先に進めないんだ(泣)と思って、この参考書を1日1チャプターずつやることにした。まず文法をあらい直したのだ。この本の中で書かれている例文で、使えそうなものは、小さい紙に書き写して、何度も何度も口に出してセリフのように覚えた。なんだ暗記学習なのか?と思うかな?でもね、真の決まり切ったフレーズは使えるのだよ。あと基本のフレーズを使い慣れると応用も使えるようになってきて便利なんだ。とにかく焦っていたし、時間が無いと思っていたので、無い知恵を絞ってこの方法に縋った。必死だった。どんな方法でも、やらないよりはマシだからって信じて。ちなみに「ないよりはマシ」は英語で言えるかな?私は、この「ないよりはマシ」と言うフレーズをこの参考書から拝借して暗記して以来、その後の20年以上のイギリス暮らしで何万回と使っている。

それから、ハリーポッターを英語で読んだ。世界中で読まれているあれだ。当時は、まだシリーズの3冊目が発売された頃だったかな?1冊目の『Harry Potter and the philosopher’s stone 』は既に大ベストセラーで、イギリスではホームステイ先の7歳の子供でも読んでいた(いや、7歳でこれ読めるのは偉いけれど、偉いからこそドヤ顔で自慢されたんだろうなぁ)。

さて、7歳児でも読めるハリポの一冊目、1ページ目を開いて読んでみた。文字を読む事は出来た。でも、おそらく理解率は10%くらいだったと思う。なんとなく言っている事はわかるけれど、いまいち自信がない。あと、とにかく読んでいて疲れた。上から7行目に、ハリーのおじさんの描写で、hardly any neckと書かれている。hardもanyもneckもそれぞれの単語としては知っているのに、みっつ合わせると、一体何を言っているんだ??と混乱した。この頃の私は、『自信がない事は全部調べる』と言う謎のルールを自分に課していたので、もしかしてhardもanyもneckも、なにか別の意味があるんじゃないか?とか、私が知らないだけで、そんな慣用句があるんじゃないか?と疑って、いちいち電子辞書で調べていたので、1ページを読むのに30分くらいかかる事もあった。ホストマザーは、そんな私を哀れな目で見ていたっけなぁ。私は謎の根性があるので、そんな方法で3ヶ月かけて一冊を読み切った。さすがに本の中盤に差し掛かる頃には、話の面白さに引き込まれて(さすが大ベストセラー)、先を早く知りたい気持ちが溢れて、引っかかった単語をいちいち調べるなんて時間がかかる事はしなくなっていたけれど、終盤の見事な伏線回収や上手いこと続編へ残された謎の部分など、ちょっと読んだだけでは全く理解が出来なくて、何度もページを往復してちゃんとわかるまで頑張った。最後のページを閉じたとき、本当に自分を褒めた。これを読み終えて、語彙力も表現力も読解力も上がったと思う。あと、やればできるって自信も増えた。あの本は今でも私の宝物だ。
ちなみに、当時友達になった日本人(私と同程度の英語力だった)に、このハリポをお薦めして貸したのだけれど、彼女は3日ほどで読み終えて『面白かったよ』と言って返してくれた。私は、若干ぽかーんとなって、わからないところなかった?と聞いたら、彼女は明るく『うん。でもわからないところは、なんとなくで飛ばしたから。面白かったよ♡』と言っていて、複雑な気持ちになった。私のやり方はちょっとおかしいかったのかもしれない。でも、本当にこの事は私にとって勲章なんだ。そして、その後もハリポ2冊目、3冊目と読み、出版され続けた最終巻まで英語で読んだ。2007年の最終巻では、ついぞ辞書を出すことも無く、ちゃんと理解して全部読めるようになっていた。

さて。

長々と書いてしまったが、強いて言う『私の勉強法』はこんな感じだった。参考になるかはわからない。でも、少なくても私には効果はあったと思う。

ただ、根本的に悔やんでいる事は、English grammar in useをさらったり、ハリポの英語版を読むなど、日本でも出来た事だったのよ。これを出発前にやっておけば、私は英語習得の階段を何段も上がった状態で、イギリスに来れていたのだ。日本にいたときは、モチベーションが足りていなかったから出来なかった…といえばそれまでだけれど、君が、時間やお金を無駄にしたくない…と思う気持ちがあるなら、留学する前に日本でいったい何ができるか?を、今のうちの考えてみてほしい。
ではでは、参考になったら幸いです。


あとそれから、前出の犬のやつは

If my mother had taken the dog for walk, I didn’t have to go.

かな。

無いよりマシは

better than nothing

です。

hardly any neck は、ほとんど首がない、要するに、太りすぎて首が身体に埋まって見えない体型って事です。

余裕でわかっていたらごめんね。蛇足でした。

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