【少年社中/モマの火星探検記】観劇記録-2020.1.12ソワレ

※消したTwitterのログをまとめなおしたものです。円盤発売おめでとうございました!


メサイア黎明以来の毛利さん脚本でした!そして繭月以来のサンシャイン!サンシャインは個人的に結構好きな劇場です。

総括すると色々な人に色々な形で響くであろう、良い舞台でした。メインテーマであるモマとユーリとおじさんの継承されていく想いに涙がこぼれました。以下、ネタバレ多分に含みます。


生命のバトン

全ては繋がっている、生きるということへの肯定。決して明るいだけの話ではない、それでも気丈に振る舞う飛行士たちやロケットの打ち上げを絶対に諦めない少年少女たち。児童文学がベースなだけあって、展開や人物設計はとてもわかりやすいんですけれどどれも奥行きが深く、心の奥底までじーんと染み渡る。

SFを題材にしながらも土着的な、伝承的な雰囲気のダンスや音楽の演出により宇宙の神秘さとの対比が深まってて(これはアフトで毛利さん自身がおっしゃってたけれど)より、生命の力強さと美しさと儚さに触れることができました。今回毛利さん先行でチケットを取ったのでサントラを聴いているんですけど音楽、本当に素晴らしい〜〜!サントラは素晴らしい文化。


ガーシュウィンという男

冒頭に書いた通り響くところが人によって変わってくる舞台だなあと思うんですけど、個人的に一番心にきてしまったのは最後、クレバスに落ちてしまったモマを救いきれず慟哭のまま暗転していくガーシュウィンだったのでした。役者贔屓とか抜きにしてガーシュウィンのことがすごく好きだなって思ったのでここからは自己解釈に基づいたガーシュウィンの話をします。

彼は劇中でもいわれていた通り、若きヒーローでスーパースターだったのだと思う。彼の生まれの海の国は温暖化により沈みゆく島、ってことはきっとあまり大きくはないだろう。あの特徴的な髪型や、シェアすべき嬉しいことがあった時に「じゃあ、踊ります!」と真っ先に言えるあたりきっと小さいながらも独特な土着文化が息づいている神秘性のある国だったんでしょう。

そこで素潜りの世界チャンピオンとして名を馳せ、火星へと旅立つメンバーに選ばれた。きっと彼の国では、彼のことを知らない人なんていない英雄だった。終わりゆく国の最期の希望。いわば、彼自身が国を背負って立っている。

宇宙へと旅立って早々、彼は地球に帰る場所を失った。もちろん、国の人々は別の土地に移住して生きているけれど。島で行われていた独自の慣習とかは消えていってしまう。海の底の沈んだ彼の地は忘れ去られていく。
彼は戯けた表情が似合うスーパーヒーロー。でも、どことなく他のメンバーよりもちょっと幼さというか、青さを感じるなと思ってたんですけど飛行士メンツの中だと最年少だったんですね(キャラクターカードに書いてあった) 達観している他のメンバーに比べて、もっと純粋というか。多分、義理人情に厚い男だ。それは前述した通りきっと彼の生まれ育った土地に起因するものだと思うんだけども。

そんな彼が。モマを見捨てなければならない、その原因を作ってしまったのは自分に起因するとなった時に。ああいう言葉が出てくるのは当然の心理でしょう。宇宙飛行士としては未熟でありながら、彼の持つ英雄性による発言。そして飛行士達の親とも言えるタケミツからの叱咤と慟哭。この時、ガーシュウィンはようやく広大な宇宙がキラキラと煌めくだけのものではないと真に理解しただろうし、その後彼がどうなったかは語られることはなかったけれど。どうかこのまま、宇宙での探検を続けていってほしい。それは地球に帰る場所がないからとかではなく、モマや彼の国の人々の意思を受け継いでいってほしいから。語り部として宇宙飛行士を続けてほしいと願う。

今回は再演ということもあり、先代や先先代ガーシュウィンがどのように演じたのか私はわからないのですが(でも役者さん的にこのことを糧にしてさらなる励みにしていきそうな気がする)山崎ガーシュウィンはどこか繊細で、硬度は高くも靭性のもろいダイヤモンドのようだと思った。どうかこの出来事が、彼の心を砕いてしまっていませんように。でも大丈夫かな、彼はスーパースターだもの。

ある舞台俳優と私

ここからは私情の話。というか贔屓の話なので読み飛ばしていただいてもOKです。

モマのチケを取ったのは、社中さんの舞台を一度観てみたかったからというのと、一回生で芝居を観たい役者さんが結構いらっしゃったということ、そして何より贔屓であるガーシュウィン役山崎大輝くんが出演なされるというのが大きいです。私は板の上で生きる彼の演技が本当に好きで、しかも社中さんとなれば取るしかないと。理由がよこしまで申し訳ない。でもガーシュウィンのことは本当に贔屓目なしで刺さったんですよ ほんとですよ……

ちょうど一年前の2019年1月12日、青年館ホールであんステMoMを観て。初めて彼のお芝居を見て、一気に心惹かれて。ぴったり1年後の2020年1月12日にモマでまた彼を観るということができたのが、なんだか感慨深い。1年前は名前も顔もほとんどわからなかったのに。彼のお芝居が観たくて遠征重ねてはや1年。私は役者さんのことを「推し」と呼ぶハードルがめちゃくちゃ高いんですけど(いかんせん遠征中心の茶の間寄りのオタクで、どうしても個イベとかは優先度低くなってしまうので) 彼のことは推しと呼んでもいいのかな、と最近思い始めています。チェーザレも観たいね。板の上にいる彼が観たい。その気持ちは初めてお芝居を見た日から色あせることがない。

MoMが終わってから、彼の出演していた舞台やキュウレンなんかを観たりして。お芝居を観ることが結構好きになってしまっていて(ジャンルに偏りはありますが)そこそこ知識をつけていくうちに、毛利さんの脚本が好きだし(これは贔屓さんも出ていたメサイアのせいです)(メサイアについては長くなるので省略しますが割と観劇において人生変えた作品その②です。①はMoM) 少年社中さんの舞台観たいな〜〜という漠然とした思いはあったんですけどわりと早めに実現できてよかった。社中さん、今後ともよろしくお願いします……。

割と繊細な役柄の多い山崎氏なので、今回の明朗快活な雰囲気は意外性があってすっごくよかったなあ〜〜!!あとあの髪型や衣装が似合うってすごい。MoMのときは繊細で麗しいお人形さんみたいな耽美的な雰囲気を纏っていたのに、モマではエキゾチックでワイルドな魅力を纏った、生命力溢れる力強さ。腕の筋肉とか細いんだけどしっかりとついていて正反対の美しさだった。鼻筋が通っていて目力があるからエキゾチックな雰囲気も似合ってしまう……ダンスも力強くてしなやか、目で追ってしまう。彼のダンスは大好きなのでこんなにがっつり観れるとはおもわず。バリバリ動いていて土着的なあの雰囲気にぴったりなんだ…………神秘性も持ち合わせているからかな。
お芝居もコミカルなところはコミカルに、緩急がついていて安定感。それでもやっぱりどこか繊細かつ青い感じがにじみ出ているのはやっぱり彼自身の持つ魅力から起因するものだと思う。

どうでもいいんですが毛利氏はわりと山崎氏に対して闇落ちさせたり(キュウレン )、孤独のなかで生き情などくだらない、誰も信じないと言い切らせ儚く散らせたり(メサ黎明)、今回は明朗な男が帰る場所と大切な仲間をなくすということをしてますが 信頼されているからこういう役を任されているとはわかりますが酷い目に遭いまくっている……とは思う 好きですが それでいて山崎氏本人はあの孫みを感じる性格と瞳のそばで星が瞬いているような感じなのでギャップがすごいなと毎度思います。


終わりに

マジで8割ガーシュウィンと演者の話しかしてない 

本筋のモマとユーリとおじさんの話も(坂道アイドル詳しくないけど生駒ちゃん超かわいくてリアルアイドルは違うなって思った)ホルストとジュピターの話も(けんけんさんはマジ年取らなさすぎてびびる)マイクロスコープとテレスコープの存在も(鈴木勝吾さんのお芝居は一度生で見たかったのですがほんと〜〜に染みた)他諸々全部良かったです!!あとアフトでのすけさんの素の姿を初めて拝見したんですけどめちゃくちゃ愉快な人だなって思いました(ツイッターの文章がいつもきっちりしている男前な人だと思っていたので)

〆!演劇初心者にもお勧めしたい良舞台でした〜!!ありがとう毛利脚本!