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016.ゆっくり進む

巷でよく言われる「プロセスを楽しむ」というのが、私にはずっと理解できなかった。

なぜやりたいことがあるのに、すぐに手に入れたくならないのか。なぜ仲良くなりたいのに、すぐにぐっと近くにいかないのか。

不思議で仕方なかった。

それはもう長年の疑問だったのだが、ライバーを経験したことで、いきなり理解できた。(なんの前触れもなく、唐突に腑に落ちたりするなんて、人生って不思議なものですね)



先月から始めた投げ銭アプリのライバー活動。ライブ配信の活動とはリスナーさんとコミュニケーションをとって、応援してもらうこと。いろんな形で応援をもらえるので、ライバーもリスナーもそれぞれの立場で楽しめる設計になっていて、飽きないように工夫がしてある。

そういえば、人とコミュニケーションをとって繋がることって、私が一番好きなことだった。当たり前すぎて意識していなかった。そういえば、そうだった。そして、深く長く繋がれることを望んでいる。いつも、いつでも。

リスナーさんは画面越しだし、顔をみてお話しできるわけではないので、最初は繋がりはもちろん薄い。でも、画面越しでも毎日会ってると繋がりはだんだん強くなる。配信を始めて3週間。1日お休みした以外は毎日配信していて、驚くことに毎回来てくれる方がいる。その方達とは既に長年の知り合いのような感覚がある。

ライブ配信のあとはリスナーさんへのお礼を兼ねて、文章で配信の記録を残している。来てくれた人のアカウントをタグ付けすると通知がいく仕組みで、配信後にもう一度ありがとうを伝えることができるのだ。

文章を書いているときは自然と配信中にあったことを思い出す作業をすることになる。「ああ、楽しかったなあ」って思い出しては、そのときにいたメンバー、会話の内容、感情が、まざまざと記憶に蘇る。たいていはみずみずしくてフレッシュな気持ちになるものばかりで、もう2度と同じことは体験できないと思うと、なんてかけがえのない時間だったんだろう、と、毎日思う。

配信のとき話すことは決めていない。私の場合は朝配信なので、自然とリスナーさんにおはようと挨拶し、お仕事の人にはいってらっしゃいを言うお見送り配信になった。意味のあることなんて、ほとんど話さない。また会えたね、うれしいね、今日もみんないい1日になるといいね。そういう気持ちがただただ交差する。

🎵あの日あの時あの場所で君に会わなかったら〜🎵って、メロディが頭のなかに流れてくる。バーチャルな空間に、あの人やこの人やあなたや私がたまたま集う。その時なにが起こるかなんて、そのときにならないとわからない。だからこそ、今ここに存在すること、集中してそこにいること、それだけを心がけている。

私がしているのは湧き上がった感情を正直に表現すること。配信中のうれしい、楽しい、幸せ、悲しい、嫌だ、すべてだ。リスナーさんはそれを受け取り、何かしらの形で反応が返ってくる。私はそれを声にして読み上げる。また感情が湧く、まっすぐに表現する、この繰り返し。日常でこんなにも思ったままを伝えることはない。こんなストレートなコミュニケーションはここでしかできないことだ。だからなのだろう、何も起こらない日なんてない。毎日なにかしらの宝物を得る。かけがえのない瞬間が毎日訪れる。

こういう宝物のような代替品のない日常のワンシーン。そのひとつひとつの積み重ねで、リスナーさんとの繋がりが深く強くなっている。そのプロセスのまっただなかにいるのを感じる。日々少しづつ変化していて、気づいたら繋がり自体が長くなっている。

そんなわけで、ある日いきなりあることに気がついて、はっとした。あれ、これってもしかして、仲良くなるプロセスを楽しむってやつなのでは。いきなり最初からぐっと近くて深くて仲良くなってしまったら、なんだかつまらない。本来起こるべくして起こるプロセスの一歩づつを、先を急がずにちゃんと体感しながら進みたい。山場はもっと後でいい。

山頂までの道のりを楽しみ、頂きを楽しみ、帰りの道のりをまた楽しむ。それぞれの楽しみがあるのに、登り坂だけダッシュで過ぎ去るのはもったいない。起こったことを味わいながら進むなら、ゆっくりがいい。やみくもに山頂を目指す必要はない。山頂だけに楽しみがあるのではないって、やっとわかった。

こうして私は「プロセスを楽しむ」ことの意味を理解したのでした。今までずいぶんと生き急いじゃったな。

感じた事を言葉にして生きています。サポート頂けたらうれしい!!