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海亀との時間

大好きな西表島に来た。
海亀を見たかった。

ガイドさんがツアー参加者のカヌー経験や海況を考慮して下さり、シーカヤックで水落の滝とイダの浜へ行くことになった。
カヌーを漕いでいると、「ここは湖か?」と思うほど、なだらかな水面。
水面に雲が写り、空を漕いでるかのよう。
ハッと海を覗くと、すーーーっと海亀が泳いでいった。
はっきりと見たのは初めてなので一気に興奮した。

イダの浜に着いたら待ちに待ったシュノーケリング。
でもシュノーケリングが不安な私…。
「ゆっくり落ち着いて行っておいで」とガイドさんに言われ、呼吸を整えいざ海へ。
お目当ての海亀は中々見つけられず、顔をあげ、浜辺に座るガイドさんに顔をやる。
「(とめてある)カヌーとカヌーの間にいるよ!」とガイドさん。
再び顔をつけて探すと、海亀が。
私の真下に海亀がいる。手を伸ばせば届きそうな距離だ。
海亀に自分の体が当たらないように注意する。海亀は私に気づいているのかいないのか、必死にお食事している。

私とこの海亀の周りには誰もいない。
一方的ではあるが、私の人生の中に海亀と過ごした時間がある。
尊い時間だった。
シュノーケルを不安がっていたことを忘れるくらい夢中だった。
どれだけ時間がだったのかわからない。
我に返り、不安で顔をあげた。
ただただ穏やかな海だ。
もう一回海に顔をつけると、もう海亀はいなかった。
どこかへ行ってしまった。
ただただ尊い時間だった。



#わたしの旅行記

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