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冷戦×バレエ 〜赤いバレエ

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ざっくり言うと、冷戦期にソヴィエト政府によってバレエが政治利用されていたというお話です。 マイナーなテーマだけど面白い!ので、少しでも多くの人に知った貰えたら…という思いで書いて…
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#文化と政治

③バレエ・リュスの革命と西側バレエの発展

1.クラシックバレエの黄金期と革命の兆し いわゆる「モダンバレエ」の発展について述べようとすると、まずはロシア革命が起きる前のロシア帝国時代へと時代を遡る必要があります。 ロシア帝国では19世紀後半にクラシックバレエが開花し、19世紀末にかけてバレエ黄金時代を迎えました。この時代を支えた振付家として、マリウス・プティパという人物がいます。 プティパが作り上げたバレエの主流は、マイムと踊りを明確に分け、踊りを舞台の最高位と置くものでした。現在のイメージであるようなトウシュ

②社会主義とバレエ (社会主義プロパガンダ化計画)

1.社会主義リアリズムとバレエでは、どのようにバレエがプロパガンダ化されていったのか?ということですが、実は当時のソヴィエトには芸術作品をプロパガンダ化するための公式マニュアルのようなものがありました。 それは「社会主義リアリズム」と呼ばれるもので、当時ソヴィエトが定めていた芸術全般における政府「公式」の表現方針です。 つまり、社会主義の目指す理想郷・あるべき姿を描きなさい、ただし、(それが空想だとバレないように)その光景がソヴィエトに存在していると伝わるように具体的に

①社会主義とバレエ (革命〜ソヴィエト政府の成立)

1. ロシア革命と帝国バレエソヴィエト政府とバレエの繋がりについて解き明かすため、まずはロシア・バレエの歴史を追っていきたいと思います。☺︎ 前回述べたとおり、バレエはイタリアで生まれ、フランスにて宮廷文化として発展し、その後西洋化を推進していたロシア帝国において、皇帝権力のもとで大成しました。 「白鳥の湖」や「くるみ割り人形」などの名作も、まさに当時の帝国繁栄の象徴的存在でした。 しかし、その地位を大きく揺るがす出来事が巻き起こります。 ロシア革命です。 皇帝権力と親