36.恋との決別③残されたのは、後悔のみ

次の日は日曜日で、朝から集会でした。

私は重い気持ちで王国会館に入ると、入り口でいつものように彼が出迎えていました。

私は挨拶したあと彼に『昨日はお時間を取ってしまいすみませんでした。』と謝りました。

それに対して彼は『いいえ。』と笑顔で答えました。

でも明らかに目が笑っていなくて、私はその目を不気味に感じて最後の攻撃に出てみます、
『昨日の話は言わない方がよかったですね。』

すると彼は間髪入れずに『ですね!!』と笑顔のまま声を荒げました。

彼の本性を直接確認することができましたし、
この日から私は自分の心の中をどれだけ探しても彼に対する好意や未練の気持ちが少しも湧き出てこなかったのです。

私の心の中に残ったのは大きく穴をあけた真っ黒な後悔だけでした。

なんで私はこんな男のことを4年間も好きだったのだろう?

私の中で何度も『この男はやめておけ』と警告音が鳴っていたのに、自分が発するSOSを無視し続けたのだろうか?

恋をするのなら他にもすてきな男性はいたはずです。

たとえばの話、
A兄弟の最初のパートナーだったY兄弟は、常に女性には触れないように距離を置いていて、でもとても暖かい人で、

のちに私が排斥処分になった時には既に他の会衆に異動してもう関係はないのに誰から聞いたのか
集会で発表がされたその真夜中に母と妹に『姉妹たち、大丈夫ですか?』と電話をかけてきたらしいのです。

母からあとで聞いて人として暖かくて優しさに溢れた男性だと、
その時には既に兄弟はご結婚されていたので、奥さんとなった姉妹は幸せなんだろうなと自然に思えました。

たとえばの話、
もしN兄弟が私に好意を持ってくれていたとしたら、仮に彼から好意を告げられた時にそれに応えることができたら、
私はもしかしたら今でもエホバの証人として人生を歩んでいたかもしれません。

人に対する本当の優しさを持った暖かい男性を好きになっていたら、
片思いでもいいからもっと人として魅力的な男性を好きになっておけば、

その方が叶わない恋で苦しくても、今よりずっと幸せだったでしょう。

私は勘は働く方だと思っていますが、こんなに人を見る目がなかった人間なんだと。

なんで私はあの男に固執して、4年もの間自分の心を傷めつけてしまったんだろう、
なんで自分のことを大切にしてあげられなかったんだろう…。

私が自分を愛する方法を、『愛』ってなんなのかいまだにわからなくて苦しいのは、彼への片想いが原因だと断言しても過言ではないと思っています。

それからの私は一切彼に近づくことも彼と話すこともやめました。

会衆のことに関する業務的な話でも、H兄弟や他の長老、奉仕の僕もいるのだからその人たちに伝達すればよかったし、
挨拶以外は私的な会話も一切しませんでした。

彼も私と話すどころか近づこうともしません。

ただ私がいないところではどうだったかは知りませんが、
私の前ではあの子が彼に抱きつくところはあれから見ることはなくなりましたし、他の姉妹たちにべたべた触ることも見ることはなくなりました。

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