55.混沌とした同居

抗うつ病『パキシル』と精神安定剤『デパス』を処方してもらい、とりあえず彼の実家で週末を過ごしました。

月曜日の朝出勤するために彼が運転して部屋まで送ってくれて、
『先に出勤しているからまたあとでね。』と言われて彼を見送り部屋の玄関に入りました。

そこからの記憶が私には全くなく、
気がつくと部屋のベッドの上で、時計の針は10時を過ぎていました。

私は無断欠勤状態だとパニックになり、会社に電話をかけました。

社会人になってから今まで無断欠勤どころか遅刻さえしたことがない私が、精神安定剤の『デパス』により猛烈な眠気に襲われて記憶を無くし、
以降『デパス』に頼らざるを得ないけれど振り回されてしまう日々が続くことになるのです。

だんだん体を動かすのも億劫になり、ある日の朝会社の駐車場に車を停めたのはいいけれどそこから会社への入り口へ登る階段を見上げた時、
私にはこの階段はもう登れない、登った先には死が待っていると思いました。

その日から私は会社に行けなくなり、
毎日仕事終わりに様子を見に来てくれていた彼は私が昼間ひとりで部屋にいる間なにをするか分からないと心配し『俺の家に行こう。』と提案してきました。

彼は平日は仕事なので昼間は彼のおかあさんが私を見てくれるとのことでした。

彼は『ERIEを勝手に家に連れて行ったら、誘拐と思われても仕方なくなる、ここは筋を通す。』と言って私と一緒に実家へ行き、
そこで彼と母が初めて対面しました。

母は私が病気になってしまったことは心配してくれて私たちに会うと言ってくれました。

会って話してみて、事情が事情なだけに私の面倒を自分が見ると言われて、
彼が誠実な人というのは認めてくれたと思いますが、

本来ならまだ他人様に世話してもらうなんて非常識な話ですし、
では実家に帰るかとなると、母も日中仕事をしているので私がひとりになる時間は変わらないし、
気持ちとして排斥を希望している私を受け入れたくはないだろうし、

私も実家に帰る=私の所在を知ったエホバの証人が私に接触してくるかもしれない、
それだけはどうしても嫌だったのです。

私は約半年彼の家で身の回りのこと全ておかあさんのお世話になるという非常に混沌とした環境の中過ごし、
その後彼の仕事の都合で会社の近くでふたり暮らしを始めます。

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