言語に対するセンスがいいということ。
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前のテキスト「英語の上達が速い留学生にみられる共通点―言語の習得に圧倒的な差が出る2つの条件」で、言語に対するセンスがいいということと、耳がいい(言葉を聞き分ける能力が高い)ということをあげました。
今回は「言語に対するセンス」について書いてみようと思います。「センス」ってそもそも、何なんでしょうか。デジタル大辞泉によると、センスという言葉の定義は
【センス】
1. 物事の感じや味わいを微妙な点まで悟る働き。感覚。また、それが具体的に表現されたもの。「文学的な―がある」「―のよくない服装」「バッティング―」
2. 判断力。思慮。良識。「社会人としての―を問われる」
とあります。
キーワードは「微妙な点」「悟る」「感覚」「判断力」。
例えば、日本人であればだれでも日本語をなに不自由なく話すことができるのに、国語という科目で読解問題をやってみると、明らかに得意な人とそうでない人がいます。
これは、日本語に対する「感覚」、「微妙な点」を「悟る」ことができるか、その直観的な「判断力」があるかどうか、に個人差があるからです。母語と外国語では習得の過程が異なるので、ちょっと話はずれるんですが、言語のセンスというのがなんとなく分かっていただけるでしょうか。
例を書いてみます。下のAとBの文章を比べてみてください。
A.「川が流れている。とてもきれいな水だ。その水の表面に空が反射して雲が見える。その雲が流れていく様子が水面にうつし出されていて、それをずっと見つめている私は全然あきなかった。」
B.「川が流れている。とてもきれいな水だ。表面には空が反射して、雲の流れる様子が映し出されている。私はそれをあきることなくずっと見つめていた。」
AもBも文法的な間違いはありません。内容も同じで、文章の書き方が違うだけ。もし日本語を勉強している人がこの文章を書いたのだとしたら、どちらのほうが上級者だと思いますか?そして、日本語のネイティブとして、どちらのほうがいいと思いますか?
AとB、内容は同じですが、なんとなくBのほうがまとまりが良くて、自然な感じがしませんか?
このAとBの違いを日本語の学習者に説明するのがとっても大変なんです。なぜならこれは書き手の「感覚的」なものだからです。文法や一つ一つの文章の問題ではなく、文と文の組み合わせ方のセンスの違いだからです。語感がいい、とも言われますね。
この言語のセンスがいいかどうかというのは、言語の習得においてとても大切なことです。話すときや書くときだけでなく、読んだり聞いたりするときにも重要な役割を果たすからです。
英語の学習にも同じことが言えます。とくに中級以上になってくると、この英語のセンスがいいかどうかで大きな差が現れてきます。
いえいえ、そうでもありません。「センスを磨く」って言いますよね?国語の読解問題だって、がんばって勉強すれば成績は上がるはずです。英語のセンスを磨けばいいのです。そのセンスの磨き方はまた別のテキストで書きたいと思います。
読んでくださってありがとうございました。
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