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PARaDEでいこう! トークイベント「これからの時代のいい会社を考える」

9月22日に渋谷のスクランブルスクエアで開催されたトークイベントに行ってきた。


COTENの深井龍之介さんが登壇されるイベントで彼の生の語りを聴いてみたいとずっと思っていたのと、PARaDEが結成されたことを知って以来興味があったのとで、勇気を出して会場チケットを申し込んでみた。

テーマは「これからの時代のいい会社を考える」。深井さんとともにゲスト登壇されたバリューブックスの鳥居希さんということで(バリューブックスが以前からCOTENとコラボしたりサポートしたりしていることを知っていたので)そういう話が聞けるのかなと思ったら、そうではなかった。

・いい会社に与えられる認証、「B Corp™️」とは?
・歴史的に「いい会社」に求められるものは、どう変わってきたのか?
・PARaDEの考える「いい会社」とは?

予習をしっかりしてから望んだ方が解像度高く鳥居さんや皆さんのお話を聞くことができたはずなのに、「B Corp」ってなにー!? 状態で参加してしまったことは反省している。

「B Corp」の「B」は「Best for All」を表しており、社会や環境に「いい会社」に対する国際的な認証制度のことだ。審査や面談、証拠の資料を提出することで、200点満点中80点以上を取得すると、認証が取れるらしい。
たとえば「パートタイム社員と福利厚生」「サプライヤーの会社所有者の多様性」「環境ビジネスモデル」「十分なサービスを受けていない人々へのインパクト」などの観点がある。
2022年9月22日時点では14の日本法人が「B Corp」認証を取得済みだ。

鳥居さんはゼミを立ち上げ、バリューブックスパブリッシングから『B Corpハンドブック』を翻訳出版した。
前職(証券会社)で人びとのお金に対するもの凄いパワーを目の当たりにした鳥居さんは、そのパワーを社会のために生かせないだろうかと考えていたときバリューブックスに出会い、そこでは「B Corp」が参考にされていた。
バリューブックスでは「B Corp」認証を取るために申請の準備を進めている。自分たちだけではなく、ほかの会社が「B Corpを取りたい」と思ったときのために仕組み化する必要を感じた。それが翻訳出版の動機だそうだ。

この日鳥居さんが繰り返し語っていたのは「B Corp」はみんなで「いい会社」を考えることや、会話を始めるためのきっかけであり、ツールにすぎないということだ。
考えたいけれどどうしたらいいかわからないとか、ある程度自分たちの行きたい方向性にフィットしそうならハンドブックを役立ててほしいという。

そして深井さん。彼は歴史の文脈から現代社会を言い表していたけれど、とにかく言葉がソリッドでやっぱりかっこよかった。
公共サービスの文脈を歴史的に紐解くと、サービス提供の主体者は次のように移行してきている。

キリスト教会(中世ヨーロッパ)▶︎君主(たとえばエリザベス1世の時代)▶︎国民国家(フランス革命以降)▶︎企業(スマートフォン登場以降 ※移行期)

こういう移行はメディアの発達とも連動しており、活版印刷の誕生から宗教改革が起きたり、マスメディア(ラジオ)の発達からナチスが台頭したりしてきた。
スマートフォン登場によって個人がインターネットにつながれる世界が到来し、プラットフォーマーがそこから民意を吸い上げて政治的な意見を言うなどの動きが出てきている。公共サービスの提供主体者は国民国家から企業に移行しつつあるというお話。
ダイバーシティ&インクルージョンをめぐっても、深井さんの発言からかなり整理できた感覚があり、今現在の社会の見方もさらにクリアになった気がして嬉しい。(嬉しいけど、移行先のビジョンに目を向けられず、現状の厳しさばかりを見てしまうのでつらい。)

それと、日本企業が「B Corp」のようなものを目指す際に「クリアすればいいんでしょ」という感じであるならあんまりうまくいかないのではないかという率直な意見にも同意できた。
それぞれの企業が自分たちにとってのソーシャルグッドを考えていき、「B Corp」やESGのような一般的指標と突き合わせながら、哲学を打ち出し、それに人が集まってくるという形のほうが理想的との言葉には、たぶん会場中が納得していた。

ちなみにQ&Aの時に、インクルージョンについてはアメリカの公民権運動からの流れを学ぶとかなり理解できると深井さんがおっしゃって、やっぱり歴史的な知見がスラスラ出てくるのはかっこよすぎるな。



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