国立民族学博物館で遊ぼう!
国立民族学博物館に行ってきたよ~。
1.国立民族学博物館とは
大阪府吹田市にある民族学の博物館である。
言語、音楽、宗教、日常生活まで、民族文化に関するものは何でも扱う博物館だ。
かつて大阪万博が行われた、万博記念公園の内部にある。
略称は「みんぱく」である。
2.西アフリカの昔話を見る
ちょうど到着したときに西アフリカの昔話というイベントがやっていたので見た。
配布されていたちらしによると、吹田PINOという団体がやっているらしい。
プログラムは「ゾウとカバの綱引き」「目と手と足」「いじわるな王様と心のやさしい家来」の三本立て。
アフリカンプリントをの衣装を見にまとった人々が、西アフリカの昔話を語ったり、たいこを叩いて踊ったりしていた。
演奏は、太鼓しか使っていないのに、ダイナミックですごかった。
外見のご機嫌さとは裏腹に、物語はキャラクターが死んだり殺されたりするのが民話らしくてよかった。子どもへの配慮がない。
目と手と足を別キャラクターとして出す斬新さがあり、面白かった。
踊りも披露してくれたのだが、裸足で踊り出す人がダイナミックだった。
アフリカンプリントの服かわいいよね。
吹田の団体らしい。
3.客家と日本
私は、最近日本に渡ってきた外国人の歴史に興味がある。
客家とは漢民族の一派で、他国への移住を繰り返しその土地で暮らしている。
客家は多数派であり少数派でもある。
客家のルーツは漢民族だ。漢民族自体は非常に母数が大きい。しかし客家は、移民を繰り返してきた人々であるので少数派であるともいえる。
他の漢民族とは文化や言葉が異なり、「自分達は客家である」という自己を保ち続けている。
また、客家の人々は海外に出ても共通する文化を保ち続けている。
日本で例えると、大阪の人間が国外に出ても大阪の人間同士で付き合うようなものだろうか。
日本の客家の多くは台湾から来た人たちである。
日本の植民地統治は客家に影響を与えた。
普段は日本人として暮らしているが、客家の祭祀や文化を一部継承している人たちもいるらしい。
日本に移住した台湾の客家たちは、崇正会と呼ばれる団体を各地に作る。
「政治を問わない、宗教を問わない、国籍を問わない」というスローガンに、客家内でも多様な価値観があったことを感じた。
客家の人たちに特徴的なのは徐福という人物への信仰である。
徐福というのは始皇帝のために不老不死の薬を求めて旅に出た人らしい。
日本は中国の東にあるので、徐福がここで死んだという説があるそうだ。
徐福をネタにしたお土産があったり、土地としても伝説に乗っかる姿勢なのが面白い。
展示の中では客家料理レシピを配っている。一人暮らしでは作れそうにない内容だったのでもらってこなかった。見る分には楽しいけど。
4.パレスチナ・ディアスポラ
常設展は、じっくり見すぎると時間がいくらあっても足りないので好きな展示だけかいつまんで見る。
宗教的な展示は人間の創造力を感じるので好きだ。
西アジアのコーナーの中に、パレスチナ・ディアスポラの展示があった。
パレスチナの女性たちの民族衣裳や、パレスチナの文化に関する物品を収集している女性の話を紹介している。
パレスチナの人々は繰り返される戦乱で移住を強いられ、元々あった文化が散逸しそうになっている。
展示は明らかにユダヤ人がやって来る前のパレスチナ人の立場で作られている。入植してきたユダヤ人への擁護もない。ここが国立の博物館だということを思うと、思いきった展示だ。
ディアスポラも元々ユダヤ人の離散を示す言葉であり、皮肉の面もあると思うな。
展示が否定するのはあくまで戦争であって民族ではない。
「パレスチナ」と書いていても、宗教を限定していないのは、パレスチナにおける様々な宗教への配慮だろうか。
私が何かの感想を書き続けているのは、「忘れられることに抗いたい」という欲求からなのだが、この展示は同じようでいてもっと切実だった。
5.ミュージアムショップに行こう
ミュージアムショップでパレスチナの鞄を買った。
パレスチナ・ディアスポラを見たので寄付代わりに買っておこうと思った。
かわいい~!!
パレスチナの女性を支援する会、「サラーム」が販売しているらしい。
仮面をモチーフにしたデザインのTシャツもほしかったんだけど、かばんを衝動買いしてしまったので今回は見送った。でもほしかったな……みんぱくのグッズってセンス良いんだよね。
6.吟遊詩人の世界
特別展である「吟遊詩人の世界」も見た。
今回は音楽が主となった展示である。
世界各国に音楽家はいる中で、ここでは「歌って物語を伝える」人々をテーマとしている。
展示内には液晶画面が設置され、映像がたくさん流れている。
展示の中央部にはベンチが置いてあり、スピーカーもある。座って音の世界に浸ることができる
瞽女の展示が面白かった。
瞽女(ごぜ)というのは、盲目の女性歌手であり、各地を流浪していたようだ。
盲目の彼女たちは先導者に連れられ、おしゃれをし、当時の人々に娯楽を提供していた。
こちらの展示は日本語の他に点字で解説が書かれている。音声による解説読み上げもある。
みんぱくには視覚障害の研究者がいるため、このような展示も可能なのだ。
この展示は、ラップも「吟遊詩人の形態のひとつ」として評価している。
モンゴルのラップは伝統芸能の中の韻をラップにも応用している。
日本にはあまり韻を踏む詩がないので、この辺はちょっと特殊ではある。Jpopの歌詞も韻を踏んでいるとは限らないし。
2階には来場者の投稿スペースがあった。
韻を踏んだ2行詩を投稿できる。
万博記念公園や飼っているペットにまつわるもの、日常のことなどいろいろだった。
7.ビデオテークを見る
最後に時間が余ったので、ビデオテークを見ていた。液晶画面を操作してサンティアゴ・デ・コンポステラの動画を見ていた。
フランスとスペインにかけて、キリスト教カトリックの巡礼路がある。そこを旅行する人々にインタビューしつつ巡礼文化について紹介する動画だ。
巡礼路を歩く人はカトリックではない人も多く、日本人観光者もいる。民族や宗教、育ってきた環境の違う人々がただ同じ場所を目指して、歩くのは不思議な魅力がある。
日本のお遍路と似た文化もあったので、巡礼文化というのは似通って行くのだなあと感じた。
ビデオテークは無料のスペース内にあるので、チケットなしで見られる。複数人で同じビデオを見る仕組みなので、先客がいると好きなビデオは見られない。私が来たときはたまたま他の人がいなかった。
ビデオテークももっとたくさん見たいけど、いかんせん時間が足りない。仕事サボってみんぱくに行きたい。
8.食べたもの
ミュージアムカフェでハンバーグセットを食べた。
おいしい。
おやつはみんぱくの近くのおしゃれカフェで食べようとしたのだが、おやつどきにはすごい行列になっていた。万博公園内には食べるところが少ないのだ。
仕方ないのでおやつもみんぱくのミュージアムカフェで食べる。
プリンを食べた。まあ普通のプリンだけど……かわいいからよしとする。
アイスが乗っているのいいね。
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