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ムシが無理

世の中にニガテなものが5000個ぐらいあるんだけど、ムシ全般はそのなかでも筆頭ポジションにいる。だいぶ無理。なんで急にこんな話をするかっていうと、昨晩、数年ぶりに寝室に足がいっぱいあるムシがコンニチワして死闘を繰り広げたからだ。深夜2時に!

(以下、この記事にはムシのイメージ写真、イラストはいっさい登場しませんのでごあんしんください)

絶対に凍らす

たまたま、科学の力で瞬間凍結して殺す、凍殺ジェットみたいなスプレーの買い置きがあったのでバトルに勝利することができた。いまどきのこういうスプレーってすごいよ。昔みたいにこう、新聞紙マルメターノとかで直にカラテして変な汁を見なくていいし、殺虫成分を含んだやつでゆっくり弱っていく様子をわざわざ観察しなくてもいい。昔のドラゴンボールのレッドリボン軍のなんか太ったあいつみたいに、一瞬で真っ白になって凍る。しかし欲を言えば、プシュッとした瞬間に原子分解してコインになるのがいい。もっと言うと、そのあとバトルしたこと自体を記憶から消したい。

一体わたしはいつからムシがニガテになったのかなあ、ということを考える。子供のころは昭和の小学生らしく、バッタ捕まえたりカブトムシ育てたり普通にしていたはずなのに、いつの間にか本当にダメになった。もともと田舎で育ったわけでもないし、触れなくなったらとことんニガテになっていた。

ていうかニンゲンをびっくりさすために出てくるでしょ、ムシって。別に正攻法で戦ってニンゲンに勝利できるわけでもないのに、必ず出てきたら一番イヤなタイミングで出てくる。その意味で、『妖怪処刑人小泉ハーン』に出てくる妖怪といっしょなのだ。今ならノッペラボウを殺すために体を鍛えマーシャルアーツを習いムキムキになったトレヴォー・S・マイルズ=サンの気持ちがよくわかる。この世の全ムシを抹殺するムシスレイヤーの登場を心待ちにしている自分がいる。

冷静に考えて

くやしいのは、冷静に考えると別にコワくもなんともないんだよ。子猿くらいの大きさのやつが出てくるならまだしも、せいぜい数センチとかそこらでしょう。赤コーナーからわたしが出て青コーナーからあのムシが出てきたら勝てますよそれは。

だったらなんでコワいのかと考えると、病原体を持っている可能性だとかで遺伝子に刷り込まれているのかなんなのか。いつもこっちのフィールドで戦わなければいけないのがイヤだよね。そのくせ物陰に隠れるし。せめて出たり入ったりしなければ、こんなにコワいはずはないのだ。

別に、ムシならなんでも殺すみたいな殺意を持っているわけではない。どちらかといえば殺生そのものをなるべくしたくないので、例えば蟻んこや子グモなんかが部屋に迷い込んできたら、新聞紙かなにかに乗るように仕向けて窓から丁重にお帰りいただく。

傾向と対策

ただ黒いやつと足がいっぱいあるやつはだめだ…。もう初夏から初秋にかけては本当に憂鬱なので、換気は最低限にして基本的に網戸にすらしない。閉め切っていて暑ければエアコンはガンガン使うし、奴らの出入り口になるような経路は塞いでいるつもりでいた。

なので今回あんなにも堂々と部屋に出てきたのは、本当にナンデという思いがある。時空間を捻じ曲げて転移してきたのか。無から現れたのか。あまりにもイヤすぎることが逆になんらかのアンカーポイントになってしまい非物質世界から召喚してしまったのか。

ひとつだけ考えられるのはエアコンのドレンパイプ(排水管)で、ここは唯一対策をしていなかった。今朝あらためて屋外のドレンパイプの状況を見てみると、接地はしていないものの壁に接触する状態になっており、なるほどこれは入ってきてもおかしくないなと思えた。

ネットで調べたところパイプの出口に被せる専用キャップがあるそうで、さっそくホームセンターで探してみたものの、うちの近所の店では見当たらなかった。でもまあ、メッシュ状のもので外部から異物が侵入せず、かつ排水ができれば問題ないだろうということで、いったん台所の排水溝ネットを適当にカットしたものをパイプ出口に輪ゴムで巻いておいた。

これに加えて室外にブラックキャップ(毒エサ持ち帰った巣ごと殲滅するやつ)を複数設置し、件の凍殺ジェット(凍殺というのもすごい日本語だ)をいつでも持ち出せるようにしている。

でももう今期は十分だ…戦いたくない。わたしは別にムシと戦うためにカラテを鍛えているわけではないので、そっちにリソースを割きたくない。人とムシはなぜ争うのか…愛とは…。

あとねたまに考えるんだけど、殺虫剤メーカーでムシ研究している人たちいるじゃないですか。密室にムシを数十万匹飼っててなんともないおかしい人たち。ああいう人ってムシ大好きなんだろうし、そのなかには、ニンゲンとムシの戦争でムシ側につくティピカルマッドサイエンティストみたいな研究者が絶対いるわけですよ。彼らが仮にどんな殺虫剤でも死ななくて小猿くらいの大きさのムシを地下の培養ポッドで大量生産していたらと思うと…。

ほらあーやっぱ無理でしょ!

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