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Meta Quest 3所感

10月10日発売のMeta社の新型スタンドアロンVRヘッドセット「Meta Quest 3」が届いたのでざっと感想を書いておきます。わたしはQuest 2も3年前の発売日に買っていて、今回はメインで使うVRデバイスの更新のつもりで購入しました。なので、比較対象は主にQuest 2になります。

過去にOculus GoおよびOculus Quest 2いずれも、Oculus(現Meta)公式ストアで予約購入すると発売日に届かないことから学んで、今回はヨドバシカメラで事前予約しました。

Quest 2と比べてみて

大きさ、重さともにほぼ同じです。Quest 3はパンケーキレンズの採用に伴って内部設計が見直された都合で、接顔パーツを外すと非常に薄いのですが、装着状態では体感ほとんど同じでした。なので、長時間着けていると圧迫感があるのも変わっていません。ただ、Quest 2のときもベルトパーツの左右と上下のアジャストは結構シビアだったので、使いながら自分に合うポジションを探っていく感じになると思います。

またレンズが変わったことにより、明らかに装着時のスイートスポットが広くなりました。Quest 2では同心円状の縞や光の反射が映り込まないように、瞳の中心にレンズが来るよう常に気にする感じだったのが、ほぼ気にならなくなっていました。

ただ、画質や視野、黒レベルが飛躍的に向上したかというと、これはあまり実感できなかった。というか画質に関してはそれだけQuest 2の完成度が高いということなので、あとはソフト側のテクスチャの精細度とかそういう話の気がします。視野などももっと格段に広くなってくれるといいんですけどね。

現状、Quest 3の処理能力に対応する形のアプデを提供しているアプリはごくわずかで、スタンドアロンのグラフィック機能が2.5倍向上したという実力の恩恵に与れる機会は多くありません。例えば、「KORG Gadget VR」でシンセの文字が小さくて潰れているのとかもそのまま(今後に期待しています)。まあ、Quest 2も出てから1年くらいはやることなかったし、これはそういうものだと思っています。アプリが追いつくのを待つほかない。

というわけで率直に、例えばQuest 2を購入して1年か2年の方がQuest 3に買い替える積極的な理由は今はまだあんまりないような気がします。

MR (Mixed Reality)関連の機能

Quest 3で大きく変わったのは、パススルーカメラがステレオかつカラーになったことによるMR関連機能の本格的な導入。これはかなり良くて、例えばヘッドセットを装着したまま障害物のある室内を移動したり、飲み物を飲んだり、スマホをチェックするといった動作は難なくできてしまう。

ただ、パススルー映像がめちゃくちゃきれいかというとそんなこともなく、まだまだ粗い低品質なモニターを通して見ているかのようだし、ハンドジェスチャーの処理の都合か手の周りが大きく歪んでしまうのも気になる。現実とMRを見まがうようなレベルにはまだなくて、これは発展途上なんだなということが理解できます。少なくとも、現時点ではこのテクノロジーの先にどんな可能性があるかを探るためのもの。

プリインストールされている「First Encounters」は、現実の部屋の壁を破って侵略してくるふわふわの宇宙人を銃で撃退していくゲーム。楽しい。けれども、それ以外の今出ている公式のPR映像に出てくるほとんどのMRタイトルのリリースはまだ先(今月~年内)の話で、これもまたアプリの開発が追いつくのを気長に待つ必要がありそうです。

PCVRなど、そのほか

Air LinkとVirtual DesktopのPCとの無線接続いずれも、Quest 2のときとまったく同じ要領で、同じ感覚で使えました。これも格段に映像がきれいになったかというと、体感できるほどでもないです(というか元々が接続速くて超きれい)。Oculus Linkの画面はいまだにハンドジェスチャーが使えないのと、メニューUIがここだけOculus時代からまったく手が加えられていないのを、そろそろなんとかしてくれてもいい。

VRChatに入ってみて気づいたこと。コントローラー使用時のトラッキング精度がQuest 2から明らかに向上していて、腕組みやバンザイなどの動作がアバターに正確に反映されるようになりました。前は同じ動作でよくごちゃっとなっていた。ハンドジェスチャーだとバンザイが若干不安定だったので、やっぱりコントローラーの検出精度が高いんだと思います。

コントローラーといえば、物理リングがなくなった点は大きい。よく別の動作をするときに落とさないよう指をひっかけていたので、なくなったらなくなったでまた不安感がある。でも、互いにガチャガチャぶつけなくなった解放感とでトータル良いのだとは思います。小さいから部屋で片方なくしたら探すのめんどそうだ。

本体の性能向上の影響で、メニュー画面が空間上でブレずにしっかり留まってくれたり、ハンドジェスチャーの使い勝手が良くなったりと、全体的な使用感が堅牢になった印象は受けました。総合的に、Quest 2から3へは手堅いマイナーアップデートという感じ。

VR未体験の層に向けてとこれから

MetaがQuest 2の販売を続ける方針にしたのは正解だと思います。2と3とでは価格差がありすぎるし、たぶんいきなり3に行く人はあんまりいない。Quest 2本当によくできたヘッドセットだし、おそらく中古も潤うこれから先、まだ当分の間はおすすめできます。

かといって今回のQuest 3が不当に高いかというとそうとも思っていなくて、そこそこのスマホが10万円とかする時代に、PCグラボ要らずでVRゲームがバリバリ動く全部入りのデバイスの最新型がこの価格で買えるのは驚異的。これから、3に最適化したアプリが出てくるのも楽しみです。

見かけたなかでは、このPianoVisionというアプリが面白そうだった。現実のMIDIキーボードからUSB有線または無線接続したPCを通してQuest 3から音が出るんだそう。こんなことが実現するなら、仮想スタジオに物理的にはもう置けない大きなシンセをいっぱい並べたり、いくらでもできそうですね。


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