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ZOTAC RTX 3060 Tiの初期不良の顛末

(12月24日更新)末尾に少しだけ後日談の追記があります。

VRも始めたことだしサイバーパンク2077も出るしということで、年内に映像周りを強化しておきたくて、グラボをアップグレードすることにしました。6月に購入したばかりのZOTACGTX 1660 Superは始終快調で、普通に仕事に使うぶんにはこれでまだ数年余裕で戦えたはずなんだけど、古いのを使い続けずに早めに売却するなりしてこまめに更新したほうが、結果的にローコストでQOL上がりそうだなと思ったので。

12月上旬に出たRTX 3060 Tiは、前世代の上位モデルを凌ぐ性能でありながら国内販売価格はその半額程度とあって、なにかと注目を集めていました。各社あるなかでZOTACを選んだのは、自分も使っていた1660 Superの評価が非常に高く(価格.com)、価格も玄人志向などに次いで安いうえ、これといったトラブルを目にすることもなかったから。加えて、ケースがMicro ATXのためあまり大型のカードは選べないことと、消費電力200Wに補助電源が8ピン1本と既存の電源(650W)で事足りるという点も決め手になりました。

なお、ZOTACの3060 Tiは通常版とOC版の2種類がある。価格はさほど変わらず、OC版はアイドル時にファン回転が止まる機能があるのと、ロゴがLEDで光るというくらいで、基本、こだわりがなければ非OCのほうが変なトラブルは少なかろうとの理由で、通常版にしました。

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ショップでは実売6万円前後でどこも大差なさそうだったので、出荷が早いヨドバシ・ドット・コムで。思った通り、翌日速攻で届きました。

開封とセットアップ

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わりとカッチリしたメタル調のつくりで、ファンの反対側も全体的にバックプレートで覆われていて安心感がある。

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だいぶコンパクトにまとまっていた1660 Superに比べると、同じ2連ファンといえどさすがに大きく、カード全体長もあるものの、マザーボード(ASRock B450M Steel Legend)に対しても、ケースに対しても全然余裕はある。変な話、もっと大型のカードでもよかった。

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事前にいくつかのベンチマーク記事で読んだ通り、1660 Superから3060 Tiへは、おおよその環境でざっくりフレームレートが2倍になるくらいの効果があった。

うちはディスプレイが2枚ともEIZOのデザイン業務向けのフルHD/リフレッシュレート60Hzの非ゲーミングモニターなので、おそらくこの環境で望めるほぼMAXの状態かなと思います。これ以上のクラスのグラボはCPU(Ryzen 5 3600)がボトルネックになってきそう。Quest 2とVirtual DesktopによるVR環境のパフォーマンスも大きく向上したし、RTX 3060 Tiは自分としては性能的にはまったく申し分のないものでした。最高。

異音がする…

ただ…使ってみて明らかに異常な点があって、それがカードのファン側を覆うカバー部分から常時発生している「異音」なのでした。

ファンの共振か、あるいは物理的な接触による「カタカタ」あるいは「ジー」というような、いわゆるビビり音がずっと鳴っている。特にひどいのがアイドル状態のときで、ZOTACの提供するGPUコントロールアプリFireStormにおいて、ファン回転数最低の30%のときにこの状態。回転数を上げていくとむしろ静かになるという有様で、自作初心者の自分でもこれが明らかな異常というのはわかる。何度か取り付けをし直したり、検証を繰り返してみて、初期不良を確信しました。

Twitterに書いたところ、いくつか同様のケースがあるとの報告をいただきました(心強かったです、ありがとうございます)。

また、検索した限りでは、同じZOTACの3060 Tiで同様の現象を撮影した動画もいくつか上がっていました。音を聞く限り、自分のものとほぼ同じ原因によるトラブルのように思える。

これがロットによる個体差なのか、それとも製品自体の設計の不備なのかは不明ながら、いずれにせよこのまま我慢して使い続けるのはないと判断して、その日のうちにサポートに問い合わせることにしました。

各社問い合わせ、初期不良交換を経て

初期不良といえば、去年DELLの初期不良を引いて散々のやりとりがあったけど、輸入グラボの場合はどうしたらいいのか。

まず、セオリーとして購入店で確認してもらうのが一番なわけですが、あいにく物理店舗ではなくオンラインで購入したので、まずはヨドバシ・ドット・コムの初期不良の返品・交換30日以内の記載に従い、フォームから問い合わせる。

ヨドバシのサポートのレスポンスは早い。その日のうちに回答があり、今回のケースだと購入店で初期不良にあたるかどうか判断しかねるとのことで(ごもっとも)、先にメーカー判断が必要であると案内される。メーカー側で初期不良と判断されれば、その際の担当者名や問い合わせ番号などを添えて連絡すれば、返品・交換に応じるとのこと。

ZOTAC製品の一年保証を含むサポートは、輸入代理店の株式会社アスクが行うと謳っており、箱にもそのようにステッカーが貼ってあるので、次いでアスクに問い合わせる。電話かメールか迷ったけれど、後者のほうが状況説明が簡潔にできるのと、さして急いでいるわけでもないので、Webの問い合わせフォームから普通に問い合わせました。

問題は、自動返信メールのなかで1~2営業日以内に回答するとあったのに、そこから1週間近くアスクのサポートからは何も回答がなかったこと…。暮れの繁忙期であることと、サイトに断り書きがあったとおりサポート体制も在宅中心シフトになって、いろいろ詰まっているんだろうな~みたいなことを差し引いても、長期間の放置は万全のサポートとは言いにくい。

調べてみると、数年前の話で保証期間内にアスクのサポートを頼ったら解決に1か月くらいかかったみたいな話もあって、やっぱそんなものなのかというのを知る。アスクからの連絡がないので、これはZOTACに直接問い合わせた方が早いのではとも考えて、数日経ってからZOTACへも問い合わせた。

ZOTACのグローバルサイトには、オンラインチャットサポートが英語限定であり、他に通常の問い合わせフォームが日本語でもできるっぽいので、まずそちらへ日本語で送ってみることにしました。この回答はアスクよりも早く、2営業日で普通に日本語のメールが送られてきて、シリアル番号や写真などを添えて報告すれば対応手順を案内するとの内容。代理店のサポート体制が怪しくても、メーカーと直接交渉する手段が残されているのは助かる。

実は、ちょうどこれと前後してアスクからの回答があり、状況からみて初期不良であろうとのことで、購入店の初期不良対応期間内であれば、購入店に連絡するよう案内されました。そのため、再びヨドバシ・ドット・コムにその旨の連絡。ヨドバシのサポートの対応は相変わらず早く、一式梱包して着払いで指定の窓口に送るよう案内されたので、翌日に対応。

時系列でまとめると以下のような流れでした。

12月9日 ヨドバシとアスクへ問い合わせ、ヨドバシから回答
12月15日 アスクへ状況の確認(催促)、ZOTACへ問い合わせ
12月16日 アスクから回答、ヨドバシへ初期不良交換依頼
12月17日 ZOTACから回答、ヨドバシへ不良品の発送
12月19日 ヨドバシから交換商品の発送連絡
12月20日 交換商品の到着

解決

そんなこんなで、今日交換商品が届きました。おそるおそる取り付けてみたところ、前回がウソのように静か! アイドル時はCPUやケースファンと同様の静かさで、カバーをして普段のように離して使っている限りほぼ無音。やっぱどう考えてもこれが正常なんだよ…。

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FireStormで微妙に回転数を上げながら耳をそばだてて確認していくと、やはりカタつくポイントはあるっぽい。あるけれど、普通に使っててこのノイズが気になることはまずないと思う。それよりも高負荷時のファンの風切り音のほうが大きいだろうし、それはまあどのグラボでも多かれ少なかれある。

ZOTACはレビュー記事などではファン音は大きめと言われるけれど、自分はゲーミングPCみたいに机の上にでんとマシンを飾るわけでもないし、そこは高コスパとの兼ね合いだろうから納得はしています。少なくとも、通常使用時に取り立ててうるさいみたいなことは全然ない。なので結果、今回の買い替えそのものには満足です。

ひとまず、今回の教訓としては、
・異常を感じたらためらわず即サポートに問い合わせる
・代理店の対応は遅いこともある…粘り強く交渉したい
・ヨドバシのサポート体制はかなりいい
・6万円の買いものでの失敗はそこそこハートを削られる
・ZOTACは品質管理をちゃんとして

という感じです。

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ナイトシティ巡りもさらに楽しくなりそう

追記:さらなる静音化について

上記のとおり、初期不良交換で大幅に改善したビビリ音ですが、やはり特定の条件でかなり気になるケースが出てきてしまいました。ひとつはファン回転速度が40%程度のとき。もうひとつは、高負荷をかけたあとファンがアイドル状態(30%)に戻ってしばらくの間。いずれも一時的なものですが、カタカタという耳障りな高周波ノイズが連続しており、BGMなどをかけずに作業しているとそれなりに気になる音量です。素材が金属なだけにおそらく温度の影響もあると思われ、コンディションによってこうも変わると夏場も心配になる。

とはいえ、当初(交換前)の状態よりは幾分まし。なにより稼働中のグラボ本体に指を当ててみるとほぼ完全に消音される程度なので、これは物理的な制振効果のあるインシュレーター代わりになるものがあれば簡単に解消するのではと思い、長尾製作所の「VGAサポートステイS マグネット式」を購入してみました。

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実際これは効果覿面で、期待通り、ノイズ問題はほぼ解消されました。ファンの回転速度を少しずつ変えてテストしてみても、特定条件下でのカタつきがなくなった。もし今後、室温などの条件が変わって再びノイズが発生したとしても、接触面の素材(制振ゴムとか?)や位置を工夫する程度の微調整で、基本的には対処可能なはず。

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気をつけるポイントは、高さがショートサイズでも160mmとそこそこあるからCPUファンに干渉しないようにすることくらい。同じ懸念のある方はぜひ試してみてください。

(以下さらに追記)

自分の場合、上記の対策をしてもまだ多少ビビるので、ホームセンターへ行って「ハネナイト」という防振ゴムをVGAステイとの緩衝材にしたところ、ようやく解決しました。要するに「GEFORCE RTX」と書いてある側面のパネル全体が振動の原因になっているので、ここを覆うように長細くカットして押さえつけてあげればいい。ファンの軸ブレや内部の問題ではなさそうだから、対策のしようはあります。見映えはともかく…。

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