TACHISM 9/30 DJ set list
9/30にTACHISMでEPOCALCがDJでプレイした曲のセットリストです。
テーマについて
初めてのDJということもあってテーマからガチガチに決めた。テーマとしてブラジル縛り、アニクラ風、アンビエントオンリー、はたまた80~90年代のハウスをかけまくって往時にタイムスリップ……などなど色々考えたが、ある程度幅を持たせることも考えて今回はかねてから興味のあった「和DJ」で行くことにした。
さて当日、DJセットが使えなかった。Seratoの無料版は使えない機材があるらしい。しょうがないのでPCで直接操作した。これからDJをする人は注意しよう。
"Uka" Ajate
一曲目はテーマがすぐに伝わるものにしようと選曲。仙台のBook Offで拾った「東北音頭」と迷ったが、ノリの良さからこっちにした。祭囃子Meetsブラックミュージックで楽しい。
"Putty Boy Strut" Flying Lotus
浪人時代に初めて聴いたとき「エレクトロ祭囃子だろコレ」という印象しかなかったので絶対にかけようと思っていた曲。「和」のテーマながら、洋楽もできる限り流したかった。
ただこれをベタに流すだけでは芸がないので、途中でお経も若干マッシュアップ。
"江戸" 松武秀樹
四人目のYMOとして高名な松武秀樹による和テクノ。和楽器+電子楽器は当時としては相当斬新である。浅草らへんを闊歩するときによく聴いている。最近LPで再発されたのだが、サブスクにないしCDもほとんど流通していないので人に勧めずらいのが難点。
"en" Oren Ambarchi / Johan Berthling / Andreas Werliin
Sunn O))) のギターもやっているOren Ambarchiによる新譜。ひたすら反復するギターとドラムが心地よい。Oren Ambarchiは初めて聴いた前衛音楽の内の一つなので何かしらかけたかった。
"太陽賛歌" 佐藤總明
同郷の現代音楽家の作品。ディレイをかけたピアノがぐるぐると変化していく。YouTubeになかったので上に貼った動画は同じアルバムに入っている別の曲です。大体一緒。
"竜安寺の石庭" 山本邦山+菊地雅章
ここからしばらく和ジャズゾーン。オープニングは名盤「銀界」から。尺八の人間国宝とモダンジャズの巨匠による即興作品である。サブスクにないのにもかかわらず、今でも一定の人気がある素晴らしい作品。
"諏訪雷" 佐藤允彦+御諏訪太鼓
武田信玄の必勝祈願がルーツである御諏訪太鼓とジャズドラマー佐藤允彦のコラボ。不思議な取り合わせだが、そもそも御諏訪太鼓の録音は希少なものらしくその意味でも貴重な録音。
"陰と陽" 村岡実
尺八Take Fiveで有名な名盤Bambooから。銀界は静の尺八ジャズだが、こちらは動の尺八ジャズ。ファンキーなジャズロックが楽しめる。海外人気が高く、最近もオーストラリアのバンドがカバーしていた。
"そうらん節" 沢井忠雄
沢井忠雄は琴ジャズの名手。さらにこの作品ではバックが石川昌、尺八が山本邦山とよりどりみどりな組み合わせ。アッパーな曲も自在にやってしまう山本邦山の引き出しの広さにうならされる。サブスクにはないがMr.Bongoで再発がかかっているので入手も簡単。是非聴こう。
"佐渡おけさ" 寺内タケシ
和ジャズではないが、インスト民謡再解釈にこの人は外せない。親世代から評判の悪かったGSを認めさせるために民謡をやったそうだが、この和洋折衷な空気感は日本のロックを語るうえでは欠かせない存在だろう。
"Edo Townfolk" 喜多嶋修
和サイケの第一人者・喜多嶋修の作品。ロックともフュージョンともつかない異様な世界観は非常に不可思議である。なんだかよく分からないので批評されにくい人。
佐藤允彦ランガトゥーガ “大悦舞“
時間が不足しているのに気づいて慌てて追加したもの。和ジャズのアベンジャーズみたいな人選で作られている。やはりサブスクにない。
"東洋の黄色い卵" 富樫雅彦,鈴木勲
実際にかけた曲はネットになかったので上に貼ったのは同アルバムの別の曲。
一番好きなドラマー・富樫雅彦によるミニマルなスピリチュアルジャズ。収録アルバム「陽光」は和製スピリチュアルジャズとしてこれ以上ないほど完成された名盤である。和ジャズゾーンはここで終了。
"木霊山彦" 志人
和の音楽家と言って志人を抜きにして語るわけにはいかない。今存命の日本人音楽家の中でこの人とCorneliusは別格であるだろう。真似しようと思ってもできない領域に到達している。
前曲の富樫雅彦と怖ろしいほどにマッチしていたので、実際流した時には2曲流れているのに気付かなかった方もいるかもしれない。こういうのを探すのがDJという行為なんだなあ。
この曲もネットになかったので上に貼ったのは同アルバムの別曲。
"Esashi" 細野晴臣
ここからはアンビエントゾーン。細野晴臣の名盤omni Sight Seeingから。これがOPトラックなのは、全世界をごった煮にしたこのアルバムの世界観の起点としての日本を表現しているのだろう。相対的な日本の立ち位置をよく表した曲。
"立春" 冥丁
ご存じ冥丁。アルバム曲は客層的にみんな知っていると思ったので、敢えてEP曲から選曲。冥丁お馴染みの古レコードからのサンプリングはなし、ピアノだけで勝負している。しかしこれもまた幽玄でとても好き。
"Garden in the Night" Ken Sugai
虫の鳴き声が聞こえた方がいらっしゃったかもしれないが、それフィルレコやサンプリングじゃなくて曲です。
サンプリング一切なし、打ち込みシンセだけで虫や蛙を表現した凄まじい作品。非常に優れた作品なのだが、サブスクにもないしCDは入手困難なので再発かサブスク解禁してほしい。
"Ambience" トベタ・バジュン
俗流アンビエントの名所・Dellaから出ていたアンビエント。なんでも「聴くごとにふしぎと空気がきれいになる…」そうである。空気清浄効果はともかく、アンビエントとしては一流の作品。少なくとも心は浄化される。
“祐天寺の日暮れ” Fuantei
日常生活の音が印象的なアンビエント。祐天寺ってどこだろう。
”fear“ frail
謎の覆面アンビエント作家・frailの1stより。日本はなにも和だけじゃないぞの意味をこめてのアニメジャケ作品。DJで実際にかけたのは現在試聴不可能なrepairedバージョンです。
"Jungle Book" Yas-Kaz
さっきのSugai Kenをアコースティックでやったような曲がこのJungle Book。こちらは鳥の鳴き声やざわめきを楽器で再現する。同じアルバムにはよりDJ向きの曲もあるのだが、「自然音再現」のコンセプトには独特の魅力がある。
"岩戸開き"
ここでアンビエントゾーンは終了。「アマテラス」イメージアルバムより。タイトル通り天岩戸開きをモチーフにした、アンビエントが突然太鼓になる曲である。「こもってないでとっとと出てこい」的な意味合いか。
"Atlas" Battles
最後の最後に大ネタ!お囃子ロックと言ったらこの曲をおいてほかにない。フルでかけたし、DJをほったらかして拍子木も使った。
音頭と混ぜようと色々曲探しをしていたが、どうしてもテンポや雰囲気が合わない。お囃子もちょうどよいのが無かった。意外と日本のお囃子とは違うらしい。
しかしベタに流すだけだと芸がないし日本的にはしたかったので、間奏で土取利行の歌う「ダイナマイト節」を無理やりくっつけた。みんな相当ウケていたのでよかった。
"よろしくどうぞ" サディスティック・ミカ・バンド
私はオープニングを司るDJだったため、TACHISMを代表して「よろしくどうぞ」の挨拶を込めて。
サポートしていただくとマーマイトやサルミアッキなどを買えます。