見出し画像

SIAM™エコシステムにおけるコントロールモデルを考察してみた

Service North Japan2023イベントで鈴木が登壇したテーマ「SIAM™ガバナンスにおけるサービスアーキテクチャボートとCoEとの連携 ~クラウドネイティブサービスマネジメントをどのようにSIAM™エコシステムで実現するか~」で講演した内容から、「SIAMエコシステムにおけるコントロールモデル」について解説をしていきます。


コントロールモデルとは何か?

「コントロール」とは、日本語では「制御」「統制」と訳されます。

「制御」という場合は、“ルールや基準に従って制限すること” という意味があります。例えば「アクセス制御(コントロール)」は、ルールを策定してそれに従ってアクセスを制限することです。

「統制」という場合は、“物事を一つにまとめること” の意味があります。例えば「統制の取れたチーム」という言い方がそれにあたります。

本稿での「コントロールモデル」という言葉のコントロールは「統制」として捉えてください。なお、ガバナンス(統治)とコントロール(統制)は、異なる用語であることには留意してください(ただし、本稿ではその違いは説明をしません)。


SIAM ™エコシステムのコントロールとは?

SIAM ™エコシステムでは複数サービスプロバイダやサプライヤが、エコシステム内でサービスマネジメント活動を統合(インテグレーション)させることでエンドツーエンドのサービスマネジメントを実現する必要があります。

具体的には、エコシステム内でのプロセスやツールの統合が含まれますが、それを実現する仕組みを検討する際にコントロールの範囲を明確にする必要があります。

その範囲とは、下図のように「エコシステム境界」「サービスプロバイダ境界」の2つの境界を考慮する必要があります。

変更管理を例にとって説明をすると、サービスプロバイダ内でしか影響が及ばないサービス変更は、サービスプロバイダ境界内の変更管理の仕組みを使って管理をします。その場合、コントロールは特定のサービスプロバイダ境界内に閉じた範囲となります。

サービスプロバイダにおけるサービス変更が、エコシステム全体に影響を及ぼす場合には、サービスインテグレータに変更要求を提示して、エコシステム境界における変更管理の仕組みを使って管理する必要があります。その場合、コントロールはエコシステム境界全体が範囲となります。


疎結合とすべき範囲と統合すべき範囲のコントロールモデルが不可欠

凝集性とは、小さくかつ1つの機能に専念させるように関連するコードが集まるようにして「単一責任の原則」(Robert C. Martin)に従って「変更する理由が同じものは集める、変更する理由が違うものは分ける」という考え方です。疎結合アーキテクチャのベースとなる考え方です。

SIAM ™の特徴でもある柔軟性、俊敏性、最善の組合せで、サービスプロバイダのオンボーディングやオフボーディングし易いエコシステムを実現する上でも、この疎結合アーキテクチャが不可欠です。つまり、凝集性を高めることでサービスプロバイダ境界内の変更はプロバイダ境界内でコントロールすることができるようになります。

一方、エコシステム境界に影響を及ぼす変更のためには、各サービスプロバイダ間の変更管理の仕組み(プロセスやツール)が統合されていなくてはなりません。

従って、変更の種類に応じたコントロール範囲を予め設計するためのコントロールモデルを最初に検討をしておく必要があります。このコントロールモデルは、SIAM ™ガバナンスフレームワークを構築する際に合わせて検討をします。


SIAM ™エコシステムにおけるコントロールモデルのまとめ

複数サービスプロバイダエコシステムにおけるスピードの向上とスケールの伸縮性には、適切なコントロールモデルの設計が不可欠です。各サービスプロバイダ間の疎結合なサービスマネジメント設計と、エコシステム境界におけるエンドツーエンドのサービスマネジメントを実現する統合されたサービスマネジメント設計との間で、コントロールレベルの均衡を図る必要があります。

SIAM™ is a registered trade mark of EXIN Holding B.V.