サービスマネジメントにおける利用文脈(Context of use)
消費者体験(CX: Consumer eXperience)の重要性がますます高まっています。サービスを利用するまでの手続き(これをオンボーディングという)からサービス利用中における消費者が認知する様々な貧弱な体験は、サービス提供者に対する不満足やストレスに繋がります。
今回は、この消費者体験の改善における利用文脈の重要性についてお話したいと思います。
利用文脈とは
利用文脈とは、下図にあるように消費者と製品・サービス間でのそれらを利用する際の状況やその背景などをいいます。
利用文脈は、人によって異なるとともに、同一人物であっても日によって異なる背景状況があるため、いつも同じ文脈とは限りません。そして、この利用文脈はCXとも深い関係性があり、いかに消費者体験を向上するために利用文脈を考慮したサービスデザインやサービス提供・サポートを行うことができるかが重要なポイントとなります。
利用文脈の検討事項
利用文脈には大きくは「環境」「作業」「消費者特性」などが考えられます。
「環境」に関する文脈としては、以下のようなことを考慮しなければなりません。
組織的環境(勤務時間、作業慣行、管理構造、サービス利用方針、職務設計など)
技術的環境(クライアント環境、構成、ハードウェア、ソフトウェアなど)
物理的環境(作業場所の状況、作業場所の安全衛生、気候、温熱、音響など)
「作業」に関する文脈としては、以下のようなことを考慮しなければなりません。
作業頻度、作業期間
作業に対する意図した結果
誤りに起因するリスク
生理的及び精神的負担
「消費者特性」に関する文脈としては、以下のようなことを考慮しなければなりません。
知識
技能
経験
教育・トレーニング
習慣・好み
身体的特性
サービマネジメントにおける利用文脈
このような利用文脈は、サービスにオンボーディングする時からサービス利用中までを含む消費者ジャーニー(もしくはカスタマージャーニー)の旅路の期間における、多様な人々の状況を理解する必要があることを示しています。
ジャーニーに沿った利用文脈を把握することで、貧弱なCX体験を改善すること、それはつまりサービス体験をより良い体験にするためのサービスマネジメントの活動の1つということになります。逆に利用文脈を理解することなくサービスマネジメントすることは、サービス品質(体験)をマネジメントしていないため多くの課題を引き起こすことになります。
まとめ
サービス設計や提供に関わる人々は、自分たち目線でユーザーのことを勝手に解釈しユーザーのことを理解しているつもりになるのではなく、ユーザー目線でユーザーの立場や背景状況(利用文脈)を考慮したサービスマネジメントを実践できるようになって頂きたいと思います。