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おれとこなちゃん(3)

双子の妹について

 妹かわいいよ妹。
 双子のいもうとである。おれはこなちゃんも好きだが、妹も好きである。おまけに姉も好きである。みんな大好きである。いつでも受け入れる準備はできている。
 妹には、ぼっちの才能がある。理由を述べる。
 妹は、こなちゃんとみうぃきさんと仲良くなるまでは教室内でぼっちだった。ぼっちといえば昼ごはんの時間。教室内のグループに属していないと孤立した状況で弁当を広げることになる。果ては便所飯である。気の弱い妹は、姉に頼んで教室まで来てもらいぼっちになるのを免れていた過去がある。これは事実である。
 たしか一年生の二学期のときである。文化祭の準備中に、妹とみうぃきさんは仲良くなった。こなちゃんとはその少し前に友達になったはずである。
 妹は、こなちゃんと仲が良い。いつも一緒に遊んでいる。むしろ友達がこなちゃんとみうぃきさんしかいない。みうぃきさんは学校から家が遠い。自然と放課後はこなちゃんと接する時間が長くなる。

 おれが何を言いたいか? 妹がオタク化しているのではないかという懸念である。こなちゃんの影響によって。
 こなちゃんは観賞用/保存用/布教用という買い方をする。財力があるからこそできる。コスプレ喫茶でアルバイトをしているから、こなちゃんには経済力がある。
 こなちゃんは布教する。誰に? 双子のいもうとに。妹は押しに弱い。こなちゃんから読めといわれれば断りにくい。むしろ喜んで貸してもらうかもしれない。なぜなら、妹はマンガが好きである。好きというよりも小説を読む習慣がないだけかもしれない。新聞すらまともに読めない子である。
 こなちゃんは淫猥だ。身長が百四十二センチのくせに異性間もしくは同性間の秘め事についてやたら詳しい。おもに美少女ゲームからの知識ではあるが。
 こなちゃんは、高校生にしては卑猥なものをたくさん持っている。特にお気に入りのものは観賞用/保存用/布教用と1タイトルにつき各3つ在庫を持っている。とうぜん貸すだろう。双子の妹に。

「だめだよ、こなちゃん…。こんなすごいの家に持って帰れないよ…」

 と言いつつも持って帰る妹。双子の姉と部屋は別々である。こっそり読めば、見つかって大騒ぎになることもない。うすい本。たいてい卑猥な内容である。異性間もしくは同性間の秘め事が描かれている30ページにも満たないB5サイズの小冊子。こなちゃんに抜かりはない。すでに原作コミックを双子の妹に読ませてあるはずだ。事前に仕込みをしたうえで薄い本を貸し与える。それを妹は夢中になって読みふける。そしてページをめくらないほうの手が……。