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おれとこなちゃん(6)

虚弱な親戚の子

 こなちゃんよりも低身長である。高校1年生にして137センチメートル。実姉は現役の婦人警官を務めるほどの健康な肉体の持ち主。血のつながりを疑ってよいと思う。
 あるときから、こなちゃんの家に居候することになる。通学のためだ。こなちゃんと同じ高校に通うため都合がいい。実家からだと遠距離通学になってしまう。
 虚弱な親戚の子は、こなちゃんのことを「お姉ちゃん」と呼びかけて、実姉同然に慕う。当のこなちゃんも悪くない気分のようで、虚弱をなにかと気にかけてやる。婦警の実姉よりも、よほど姉妹というふうに見える。

 あずまんが大王における「ちよちゃん」は天才中学生だったので救いがあった。加えてあちらさんは飛び級の実力である。虚弱な親戚の子は天才ではない。むしろ学力は平凡である。頭の出来が悪いわけではない。虚弱体質であるため、五十分間の授業に耐えられないのだ。もし耐えられたとしても午前中が精一杯だろう。あとは放課後までを保健室で過ごすことになり他のクラスメイトたちに比べて学習が遅れる。

 おれは思う。虚弱な親戚の子は長く生きられない。10年後くらいに悲劇が待ち受けている。その瞬間が描かれることはないだろう。連載が終了しているからである。そもそも誰も見たくない。おれだってそんな場面を読みたくない。なんの罰ゲームだ。

 そんな薄幸で虚弱な親戚の子のもとにも幸運が訪れる。無二の親友を得ることが出来たのだ。相手は、無口で内気な百六十三センチの同級生。かけがいのない親友であり運命の相手でもあった──。