第十二章 炎熱

 ばんあつばんだった。とってはすこはやすぎる。は「えんねつくがごとし。」とどおりにあつだった。そして、わたしきたのは、もやはりちかくだった。きるとわたしはもう、めしいにけるげんもないほどあつさにあてられていた。だから、わたししゆうじつたりきたりして、ひたすらよるのくるのをちこがれていた。それには、よしかわからりてきたよみうりしんぶんだいめんていた、しゆそくこうこくから、わたしぶん宿しゆくしつのことをかんがえさせられて、さびしいおもいにめられていたのだ。

 うちに、四へんだちからきこえていたせみこえやや・・うすれてきた。どうわたしは、しずかしよせてくる、あのあくせいがらいただんめんるようなたそがれどきくうなかひたしながら、んだもののようになって、ぼんやりとよこになっていた。おかがやってきたのだ。

「なんだ。てるのかい。」

 これはおかが、わたしはいってきて、さいしよったことだ。わたしはそれにはこたえずにだまっていた。

そとこうじゃないか。あつくてやりきれない。」

 これは、かれだい二のことだ。さっするところかれは、わたしさんしにさそいにきたものらしいようだった。

「まあ、すわりたまえ。そとはまだあついだろう。くにしても、もすこあとにしようじゃないか。」

 わたしはこうって、きようともせずに、やはりよこになっていた。

あついじゃないか。なんのことはない、けられてるかまみたいじゃないか。」

 おかやみそとこうとうのだ。しかしわたしは、ときはちょっとちあがるちがしなかったので、それからもものの・・・はんときばかりは、おかがなんとってもかずに、のままじっとしていた。ふたあいだには、れいって、たのまれもしないばなしこうかんされたことはうまでもない。やがてわたしたちそとへでた。

 やはりそとも、にっちゆうねつけてあつかった。わたし宿やどきんじよでは、ほりみずんでとおりへいていたが、それがあとからあとと、いきりちゆうきゆうされて、あとかたもなくかわいてしまうのをていると、ぜんわたしあたままいおぼえてきた。そして、ときわたしは、しなにわすれてきたせんおもいだしたが、とって、りにきかえすのはおっくうだしするから、それはしたものの、それからはけいあつさがになってきた。おかとおりへると、

「おい、なかはしのところへってみようじゃないか。」とうのだ。「なかはしさそおうじゃないか。」とこううのだ。

 わたしあますすまなかった。がしかし、ふかあらそいもせずに、それからかれいっしよなかはしのところへってみた。わたしは、とおくへかないかぎり、せめてあるくことにって、みついてくるようなしよねつまぎらかそうとおもったのだ。──ころなかはしは、なかみずちようにいたのだ。

 おかなかはしのところへくと、ぐとかれそとれだしてきた。わたしたちは三にんになると、あかじさかう、もとけいかんがっこうのあったところのさかをおりて、おおどおりへてきた。するとおかは、なにからおもいついたのからないが、

「ああ、さけみたいなあ。」と、しぬけにこううのだ。

「おい、きちがえちゃいけないぜ。ぼくこおりしいな。」

 ちようかかったところが、こおりまえだったしするから、わたしわたしでこうった。だがおかは、

こおりなんぞはつまらないや。ぼくさけみたいなあ。」とって、ときはどうしたのかようわたしはつどうじようともしないのだ。それからは、調ちようためのかけごえのようにいっいっするにしたがって、うるさくさけのことをってかないのだ。

みたいなあ。キュッといっぱい……」

 かれひとつことばかりくりかえしていた。

 ところで、わたしもとよりそうゆうはなかった。おかとてもどうようだった。これはさっきかれがまだわたしにいるときに、ふとなにかのことからして、かねはなしになるとかれは、

ならぼくすこかねはいるんだがなあ。今日きように、二三十せんしかないよ。」とっていたからだ。だからわたしは、かれうことなどはにもけなかった。しまいにかれは、なかはしむかって、

「ねえなかはしくんかこういっぱいましてくれるところはないだろうか。かねげつまつはらうことことにするから……」とって、くらか調ちようしずめて、そうだんちかけたものだ。ちかけられると、なかはしはすっかりおかちゆうすかしたのだろう。

「じゃ、こうじゃないか。づきへいってもうよ。」

 なかはしぐとそれにおうじた。

「じゃ、まないが、きみかおしてくれたまえ。」

 それは、にももうわけなさそうな調ちようなのだ。それでいてかれは、もうそうとまるとぶんひとあしさきにあゆみだすのだから、しくなった。

げんきんなやつだなあ。」

 わたしはそれをると、こうってやったが、まったわたしは、おかしんおもいみたときには、ほんとうしくてたまらなかった。

 それから、わたしたちのさきの、あいぞめばしまえの、うらづきけていった。──づきうのは、なかはしげんざいどうせいしているさいくんじっなのだ。