序 - 『近代の小説』田山花袋
自分が知っていなかったために、または遠くに離れていたために、真相がぼんやりしていたり、観察が透徹していなかったりしたところもあるかも知れません。また、そう思い込んで了ったために、間違った断定を下しているようなところもないことはないでしょう。しかし、これでも感じたことを本当に率直には書いたつもりです。そしてその中には私というものも十分に入れて書いているつもりです。何うか一読して頂きたいと思います。
大正十二年立春の日に 花袋生
底本
近代の小説 - 国立国会図書館デジタルコレクション
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/968939