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海外からの中学受験最強説。

帰国生入試がたけなわ(?)です。
海外から中学受験を目指すとき、真っ先に頭に思い浮かべるのが「帰国生入試」でしょう。
海外在住経験者のみに与えられる帰国生資格を利用できるのですから、帰国生入試制度を利用して受験を考えるのは当然と言えば当然です。

しかし、帰国生入試に絞って中学受験を捉えると中学受験をするメリットを半減させてしまうかもしれません。その上、中学進学後に大きなビハインドを背負って中学生活をスタートしなければならないこともあり得ます。

中学受験をする最大のメリットは、学校を選べるということです。
本来は義務教育期間中であり、通常は決められた学区の決まった中学校に進学するはず。しかし、中学受験をすることでその制約を免れるわけです。

日本中どこでもとまでは言わなくても、その地域に数多ある学校の中から子どもに合った学校を選択できるのです。

例えば、日本人学校に通っていて、せっかく帰国枠が使えるので中学受験を検討するとします。
日本人学校に通う生徒が受験する帰国生入試の多くは算数・国語の2科であることが多く、一般入試では求められる理科・社会が免除されます。
一見、とても魅力的です。
そこで、算数・国語の2科で受験できる帰国生入試に絞って学校探しを始めるとします。
まず、この時点で4科目受験という選択肢を捨てていることになり、非常に多くの学校が選択肢から外れます。その中には、ほぼ全ての難関校と呼ばれる学校が含まれます。また、帰国生入試を実施しているが一般入試と同一日・同一問題で試験を実施する学校も省かれます。
結果、ここで選択肢はほぼ半減しているはずです。

とは言え、算数・国語での帰国生入試を実施している学校の中にはまだまだ魅力的な学校が残っています。例えば、聖光学院、海城、広尾学園といった学校がそうです。
ということで、算数・国語に絞って、このような学校を目指したとします。
入試問題の難度は一般入試とさほど変わりません。
その中で、理科・社会の学習から得られる語彙や教養、俯瞰する目や論理性を身につけずに、難関校の入試に臨むという点で、ビハインドを追ってしまっている可能性があります。
理社の学習に充てる時間を算数と国語に充てられるので、効率よく学習できると思われがちですが、通常はそんなマジックは起こりません。やはり負荷の大きな学習環境に身を置いている受験生の体力と対等になることは考えにくいはずです。

それでも、合格まで辿り着くことはあります。
そして、入学を迎えます。
当然ですが、周りの同級生は4科をしっかり学んできた生徒ばかりです。
その中で、理科と社会のビハインドを負ってスタートを切ることは、大きなリスクにもなりかねません。

では、帰国生はそもそも不利なのかというと、そんなことはありません。
帰国生入試はあくまで制度として存在するものであり、理科と社会をやらなくていよいというメッセージではありません。ですので、考え方としては、帰国生入試も受験できる上に、一般入試まで受験することができると捉えるのが正しいはずです。ということで、めちゃくちゃ選択肢が豊富なわけです。

海外から一般入試は難しいという声をよく聞きますが、一般入試が難しいのは国内生だって同じです。
理科と社会を学習することで大きなアドバンテージを取れるのは実は帰国生、国内生には得ることができない海外体験を持って、受験に臨むことができるなんて、これほど素晴らしいことはありません。