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帰国生入試の出願書類、出す前に見ますよ。でも…。

帰国生入試の出願書類

帰国生入試を受験する場合、通常は志望理由や海外体験についての作文形式の提出書類が求められます。

当然と言えば当然ですよね。

毎年、中学入試でも高校入試でも、出願前にチェックを求められます。

もちろん添削するのですが、大抵の場合はファーストドラフトは当たり障りのない「良い子的」内容のものばかりです。

そこから少々尖った内容に変えていくのですが、まず大切なのはなぜそのような書類をわざわざ書かせるのかということを考えてみるべきです。

慶應と早稲田の志望理由が同じ!?

例えば、慶應義塾高校と早大本庄高校に出願するとして、志望理由が同じになるでしょうか?

いや、分かりますよ。どちらも受かったら行きたいから、明確に志望理由に違いはないことも多いでしょう。

とは言え、例えそうだとしても、もう少し深く突き詰めると、感じているイメージも違うでしょうし、ウェブサイトを読んでみると校風の違いも感じるはずです。確かに何を書いても、しっかり得点できさえすれば合否に大きな影響は与えないでしょう。

しかし、選考プロセスはブラックボックスな訳ですから、ギリギリの勝負になった時に影響は皆無と言えないでしょう。また、当たり障りない出願書類を出して、試験当日の手応えはまあまあ、そして仮に不合格になったとして、当たり障りない書類を出したことを後悔しないでしょうか?

もちろん、不合格の原因が書類かどうかは分かりません。でも、出願から合格発表までのプロセスで、ひとつでも全力を尽くせていないものがあれば、不合格になった時の気分は良くないのは容易に想像できます。

また、そんなことを言い訳のようにするのもイヤなはずですし、私たちも聞きたくありません。

だとしたら、特に志望理由がなくても捻り出す努力はすべきだと思います。

「ウソを書けば良いの?」というと、そういうことでもありません。多少の「盛り」はあるでしょうが、ちゃんと調べた上で全く何も良いと思わないなんてことはないでしょう。「受験生なんだから、それくらいは向き合おうぜ」と思います。

「異文化体験から色々学んだ!」
それって答えですか?

また、海外体験に記述についても、曖昧な答えは避けるべきです。

「異文化の中で色々学ぶことができました。」

一見、模範的な答えですが、「いやいや、一体何を学んだんだよ?」と突っ込みたくなるわけです。

異文化と言っても、ドイツと香港では全然違うわけですし、そこで感じること経験することも当然違うわけです。

それを具体的に書こうぜということです。また、経験談にしても表面的に感じたことだけで留まるのではなく、掘り下げてみたいところです。

それとは逆に、直感的に思っていることも大切です。海外経験が長いと、常識だと思っていることや、当たり前に認識していることが、日本では全然違うこともあります。

こんな面白いことがありました。

多くの日本人の認識として、「働く」ということについて日本人は長時間労働も厭わない。最近でこそ、働き方に変化が見られるようになりましたが、労働時間は長いという認識が一般的だと思います。

しかし、お父さんがアメリカ人、お母さんが日本人のダブルのMくんにとっては、そんな認識は全くなかったようです。

彼の父親は香港で投資会社き勤務するゴリゴリの金融マンで、平日父親の姿を見かけることはほとんどなく、土日も家で仕事をしているのが普通だったようです。そんな父親を小さい頃から見ている彼にとって、「日本は労働時間が短くゆったりした国だ」という認識だったようで、ワークライフバランスや働き方改革のような話を聞いて、びっくりしたようです。

SFCを受験する際の小論文指導で発覚した彼の認識でした。

いや〜、おもしろい!

「何を言ってんだ!」と思うかもしれませんが、海外生のこういう視点を大事にしてほしいと思うのです。

まずは直感的に感じていることに気づき、それを深く掘り下げる、つまり自分が見ていること、経験していることを客観視し、それを言語化していく努力をこのタイミングで行うことをお勧めします。