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暗号と暗号資産投資:暗号学は「若い」

注:投資に関して助言やアドバイスをするものではない。投資は自己責任で行ってください。

2022年と2023年の波乱を終えて、2024年はETF承認と半減期、ETH L2など話題盛りだくさんで期待も高まっている。そんな中「暗号資産」だというのに、「資産」の話ばかりで「暗号」の話がほとんど聞こえないのも寂しいから、暗号の観点でブロックチェーンの長期投資について考えてみたい。

今回は初回、やっぱりまず暗号学が「若い」ことが重要でしょう。

暗号自体は太古の昔から使われていたけれど、今日の主流である公開鍵暗号(ブロックチェーンでも中心的な役割を果たしている)を中核とする現代暗号は1970年代に生まれたものだ。インターネット上の通信は基本的に誰でも傍聴できるため、そこで安全な通信を行うために考案され(若い分野でありながらも)今日ではこれなしには情報社会が成り立たないほど応用が広がっている。

それが投資において何を意味するか。

学問が若いということは、発展する余地が大きいことである。成熟した分野でもブレークスルーが起きることはあるけれど、めぼしい方向が探索し尽くされた領域であり、すでに優秀な人たちがたくさん失敗したわけだからそこから大発見が生まれる確率が低い。一方で若い学問はまだ探索が済んでいない部分が多く、そこそこ優秀な研究者であれば結果を出せる。そしてそこから我々の想像を超えるような応用が出てくることも多い。それらが社会に与えるインパクトが壮絶なものになることは多々ある。例えばかつての物理学、化学、医学などがそうだった。

暗号学はこれまで多くの成果を生み出し、特にインターネットを中心に素晴らしい応用がたくさん生れてきた。その積み重ねの上にブロックチェーンがあることが重要だ。ブロックチェーンにはそれまで培ってきた暗号学の技術がてんこ盛り活用され、言ってみれば暗号学という若い大樹の上に咲く一際大きくて美しい花のようなものだ。

ビットコイン関連でナカモトサトシの天才性がフォーカスされがちだが、1人の天才のひらめきの産物として捉えるならば、天才が再度ひらめくことでもない限りさらなる飛躍は期待しづらい。しかし天才たちが作り上げた学問の発展という大きな流れの中の一幕として考えるならば、まだまだ続きがありそうだ。歴史を振り返ってみても新しい学問が社会に巨大なインパクトを及ぼす際は一人や二人の天才だけで完結することはほとんどない。後から続くものたちが先輩たちの伝説を塗りつぶすような活躍をしていくことで多くのものが生まれてきた。

暗号通貨が生まれてから、実際にブロックチェーンをきっかけに多くの素晴らしい研究成果が生まれ、それがまた新しい機能としてブロックチェーンに組み込まれつつある。それらを見ているともう当初の暗号通貨と今の暗号通貨は別物だと考えたくなるほどだ。

暗号学が若い、まだまだ成長する。という観点で投資を考えると次のことが重要に思える。

  • ブロックチェーンがこうだという固定観念を持たないようにしたい。昨日までは考えていなかったような新しい価値が生み出されていく可能性が高いからだ。

  • この業界の創造性は高い。昨日まで解決できなかった問題が明日には解決策が見つかり、そして世界中の優秀な人たちがこれを検証して実現させる。ここ10年はそうしてきた。

  • 分野自身が高速成長していれば、目先で価格上昇の「材料」がなくなったように見えたとしても、どこからともなくまた新しい「材料」が飛び出すこともある。

注:
いかに可能性が大きいとは言え、全能というわけではない。例えば物理学がいかに発展しようと永久機関を作れるようになるとは思えない(むしろ永久機関を作るのを断念させたことは物理学の成果だ)。すでに情報社会を支えていて、これからも飛躍続けていくだろう、この若くて素晴らしい分野だが、この問題を目の前にするとグーの音も出ない、というような問題もある。場合によってはそれで一夜にしてブロックチェーンの価値が無に帰すことだってありえない話ではない(というと怖い話に聞こえるが、可能性が極めて低くて投資リスクとして考慮するほどでもない)。せっかくなのでその詳細については機会があれば、また

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