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理解-泳げるようになるために


 

説法

わたしの好きな説法のなかに、ひとつ、こんな下りがある。

ある船乗りと、学者が一緒の船に乗り合わせた。

船乗りは文字も読めないし書けないほど、教養は無いまま
高齢になり

毎晩のように若い学者がひけらかす、
天文学や、地理学や、海洋学などの知識に触れるのが楽しみだった。

学者は船乗りにこういった。

「じいさんこんなことも知らないのか」
「人生の半分は無駄にしたな」

「そんなことも知らずに生きてこれるんだな」

「人生の4分の3は無駄にしたな」

船乗りは、「そうか、

自分は今まで何も知らずに生きてきて、

人生を無駄にしてしまったのだ、」

と思いながら、

毎晩毎晩、熱心に若い学者の話に耳を傾けた。



ある嵐のよる、波は荒れて

船は大きく傾いた。

水しぶきが甲板を覆い、激しく揺れる船の上で

人々は慌てふためいた。

船乗りは、必死で船に乗っている人々に声をかけるなか

その若い学者に言った。

「先生!!水泳学は知っているか!!!

船が間も無く沈没する!」

学者は泳げなかった。



文字は読めず、天文学も地理学も海洋学も
何も知らなかった船乗りは

無事に救出され、

そして船は沈んだ。



Learn English

アメリカにいたころ、何人かのTutorにレッスンをお願いしていた。

Tutorというのは家庭教師というか、
個人で英会話のレッスンをしてくれる人のことを言う。

語学学校にいたころ
たくさんの授業を受けたが、たくさんの先生がいて、

そして当然ながら、レッスンの内容は全員違った。


その中で、わたしが

プライベートで個人的にレッスンをお願いできないか、と

頼んだ先生がいた。

大きな体でふわふわのカールした長い髪の、

チャーミングな女性だった。



彼女のレッスンは、ほかの先生とは違った。

1時間、時間内に、

とにかく、わたしに、「喋らせる」時間を

徹底して与えた。


彼女が投げかけるもの。

わたしに何かを説明をしたり、

彼女が話をして私がそれを聞いたりする時間

は、毎回最小限に留まった。



受け身であることは、実に楽なのだということを

わたしは知った。


先生の話をうんうんと聞くことは、

楽なのだ。



実際に自分が1時間みっちり英語で喋らされたときの

疲れとは雲泥の差であった。


英語を学ぶ段階で、

もちろんリスニングは大事である。

聞こえないものを、発することはできない。


でもこれもまた、次の段階にいくと、

相手が何を言っているかは理解できるが

自分が同じことをスムーズに英語で表現できるわけではない

というところに来る。



英語に限らず、

何に取り組むかにかかわらず

その都度目的をしっかりと定めることは

上達の一番の近道だ。



本当にやりたくないとき、

その先生のレッスンに行くのはしんどかった。


先生が説明してくれるのを聞いているだけでいいレッスンは、
疲れているときも、頭をぼんやりしながら受けることができるが、

彼女との1時間はそういうわけにはいかなかった。


わたしはその先生が、最初から最後まで、

大好きだった。


余分な世間話は1分で終わり、

彼女はすぐにわたしに喋らせるように

見事に誘導をした。




わたしは毎回のレッスンでとても体力を消耗したが、

ほかのどの先生のときよりも



わたしの英語は、


上達した。



 

理解と実践


最初のころ、セラピストとして
1回きりの単発セッションをメインで行った。


次第に継続して受けるひとが出てきて、

皆の変化を見守らせていただけることになって、

そして、その後初めてしっかりとしたコースを組んだ。



それぞれの段階があるので、

背中を押して最後自分で動いていくキッカケにされる方や


純粋にわたしに会うためににきてくださる方

色々それぞれの内容で、

全てに意味はあった。



でも感情の解放に関しては、

実際一回90分のセッションのなかでできることといえば、

「仕組み」を説明すること。


今現状のお話をきいて、

そのためには今後、

「なにをどんな流れで取り組んでいくといいのか」

理解してもらうことであった。



その中にはもちろん、

感情の解放が一体どういうものであるのか、

感情を感じるということがどういうものであるのか
わかりやすく説明することも含まれている。


それを続けてきて、

継続して受けてくださる方の変化を見て、

そして

変わっていく人と

同じ場所に留まり続ける人に

はっきり分かれていくのがわかった。




不安と思考


不安が強く、思考に振り回されている段階のクライアントさんは、

まず、取り掛かる前に「理解」をしたがる。




それは当然のことで、

先の見えない場所に突然放り込まれるのは

誰だっていやである。



そういうとき、

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