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Eating, me and...


ごはんを作るシゴトをしている。
毎日、毎食、毎回真剣だ。


何十食も立て続けにフライパンを振っていると
次第にやっつけシゴトになってくる。



レストランで働いたことのあるひとはわかるとおもう。



日々当たり前に

山のように捨てられる残り物や食材達。


にんじんの端っこや
容器からあぶれたインゲンは


まだ人の口へ行くのを楽しみに待っているのに
色んな理由から

次々とゴミ箱へ捨てられてゆく。



だから私は一日に
何十本ものにんじんやたまねぎを
腕に抱えてめちゃくちゃに愛を注ぐのとは

別に



家で、自分のためにスーパーで選んで

お金を払って買った
たった一本のにんじんを


大事に料理することに決めた

そして時間がある限り、


働くレストランのテーブルに腰掛けて
仕事が始まる前に

ご飯を食べる事にした。






ここで、自分が食べる。


それを、自分が作っている。


キッチンから、お客さんの顔は一切見えない。


自分が作ったそれを、

一体どこの誰が食べるのか、ほとんど知ることはない。


ただ通ったオーダーを、こなしていく機械的な作業。



だからこそ、自分がきちんと感じて食べることが
何よりも大切だ。



食べるものに囲まれすぎて

感覚が麻痺してしまう前に


いつでも何かに感謝できるように




まだまだ、美味しいものを作れない悔しさ。
思うような味にならないもどかしさ。

度の過ぎた食い意地は、


食べ物に対する愛情に

次第に


柔らかく、変化してゆく




美味しいものが食べたかった。
だから美味しいものが作りたかった。
美味しいものが、食べたい。
だから美味しいものが作りたい。

美味しいものを、
食べさせたい。

だれでもいい、そこにいるひとに、
そして愛する人たちに。

ご飯を作る理由には

そんな単純でシンプルなことから

もっときっと他にも、

色々あるのだけれど


とにかく



ごはんの一粒へ


ひとくちの野菜の甘みへ


今日

涙がでそうなくらいに


やさしくて

やさしくて、

ありがとうと言いたい




食べることと、わたしと。

これから。




Néné Table B.C.  - the story on the table -
March 21, 2009 in NY




2017年6月追記

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