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私がここ一年ほどに書いた詩のアーカイブと新しく書いた詩を投稿していきます。
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2022年5月の記事一覧

【詩】Mixing process, reproduce

赤白黒の鉱物に 紫黄色の水晶と針を混ぜ 嵐打つ窓の暗い部屋 繰り返し何かを探しても 全てのものはほどけてしまう 絡まない微粒子の金の粉 整然と当然と短い詞 こんな単純なものから 生まれくるものを待っている 寄り道ではなく偽装でもない そうあるべきと教えられたでもない 想像を超える複雑さ 誰の手にも作れない煩雑さ 摩擦さえもない小さな真球の 些細な力で重なり合った 遍在する奇跡の構造 花びらひとつの透き通る 小さな光の幾千万を 震えもしない指先で 君も生み出していくのか 目

【詩】純粋になりたい炎

氷の星無数のカケラ 暗い深海底に隠すの 解けない氷になって 闇の中では色さえ見えない 本当は原色のキャンディのように キラキラ輝いている 無重力と深海圧に透き通る 色のない暗闇に沈ませて 周回する伴星の原色を 私だけが手の上で見つめる 光を失い黒に変わる 透明だけのグラデーション 生命の姿も闇に溶かして 何もない純潔になりたい炎 埋め尽くしてほしい無数の星で 誰も触らなかった物語で 語らなかった言葉を残して いつか消えるわ 純粋になりたい炎

【詩】小さな僕の小さな願いごと

オルゴールの小箱に収まるだけの 小さな僕の小さな世界の話 ねじを回せば四季が廻る ほんの小さな草花模様 ありふれた生き物たちの一巡 金色の短い音楽に 満ちている陽光と風の匂い 特別ではない日々の断章 砂につける足跡のようにささやかに 目的もない散歩をしている 蝶たちや貝たちと同じように 優しい君の歌のように オルゴールは甘く繰り返す 僕の宝物、 しあわせという名前の甘いクリーム ねじを回せば道が廻る 色を変えて咲く草花模様 ありふれた二人の一巡 金色の小さな音楽に 君が優し

【詩】noreal star u

ゆめひとつ願ったこともない 自転車で駆けた夏夜空 グリーンコメットイエロースター 精一杯で息苦しさを守り続けてる 正直でいようとして嘘を買い集め 出版された地図なしでは歩けない街を作った アンラッキースターに埋もれ 一番嫌いな灰色の服を選び ラベル剥がしたペットボトルの杯で アスファルトかディスプレイとビタミンに 四六時中酔っている 目は悪くなったから もう星は少ないのに ロングテイルのブルースター駆ける 乱雑に視界飛びまわるシューティングスター そんなたくさんの 夢も望

【詩】ミラクルスター!

水と光、輝くものに宿るもの 宝石輝石氷晶と海 透き通るものに宿るもの 太陽の向こう、星の魂 虹の燦き瞳の底の闇の中 信じない 形ないものも言葉なきものも 君は信じないために涙で贖う 光速の上端を超えて 水平線の向こうからパルサー 送る七色無限幅を一瞬間 水と光に宿るもの 君の祈り続けた万有の闇 書き下せない高次のレター その古い望遠鏡では見えない けれどずっと昔から知っていた 君のたったひとつのミラクルスター 宝石と海に宿るもの 君の信じぬ

【詩】二度とミラには帰らない

憎悪の彩り縁取る蒼穹に 遠い星から花びらが降る 燃やし尽くして血に濡らし 僕らの閉ざしたゲート いつか白い翼を手に入れたなら 嘘も赦されると思ってた 人が幸福と呼ぶものを背に生やし 振り返った時笑ってもらえると思ってた 僕らの閉ざしたゲート 最も欲しかったものを得られないまま 疵の寓話を書き終えた 大人になるために閉ざした扉 もしそれを開けて叫んだら 僕はもう魔物 白い翼のグロテスク それでも行こうか罠に噛まれた後肢のまま 全ての花がエメラルドの

【詩】悲劇の西へ、最愛よ

鈍色の厚い頁を捲り マイカの光が射してもまだ遠い西の空 夕暮れの焦燥が視線を風に攫う 最愛よ、いつも姿なき者よ 稜線が刃となって天を割いたなら 満ち足りた水滸に咲く花の名を ひと声だけでも聞かせてくれるかこの耳に 黒い水だけを手にして まだ走り続けるこの脚で 鉄の上も砂の中も 心臓が止まるまでこのままなら 最愛よ、君に証ができるのか 照らせ金光、疾風に煽られる翼を 漣立ち鱗のように逸る表象を 未だ落ちないマイカの光を睨み 最愛よ、我は行く 皮膚など全て剥がしてそこへ行く 質

【詩】絶対シ*ナイ

絶対気づかないように 恐れとはそのようなもの 絶対見えないままに 守られるものそれはシの向こう 誰もが齧る赤林檎 世界の秘密黄金迷路 虫に喰われた平穏から滲みだす 甘露に沈む数多、オーソクレースプラジオクレース 絶対溺れないように 赤黒の大気を喉に流すんだ 約束しよう絶対破れないよう虹色の夢 絶対影を踏まないで絶対道に迷わない シらないものをタドり摑まえるまで何度でも 何度でも絶対諦めない絶対何度でも息をしてシを遠ざけて 灰色に均されるイシキ外界地平

【詩】きみのスターストリーム

あかるい宙を流れる スターストリームきみの髪 透明なゼリーの小さな星々と銀のアラザン 誰も知らないきみの内側のせかい はてしない光年にひろがる やわらかなひかりのループと たしかな血流透き通る虹色の 幻想と呼ばれた現実の体内 果ても壁もないのにひかり満ちた真空に 余った星団を散りばめて 水面もないのにきらめく反射、きみの循環 みんなお手上げだろうね 枝分かれてまた繋がる宇宙 無限の水と知っててもおねがい 傷口から流して見せないで すべて大切だから、そのカーブ 甘いアクア 隠さ

【詩】スターリーユニコーンダンス

低温と暗闇に飛び散る非循環 解放された生命のストリーム 幻想と永遠を注ぐ虚構の聖杯 毒だと言っても飲んで欲しい 青い血を零す君の口許に 雨降る百万の星を捧げよう 駆け抜ける暗いおとぎの森から 一直線に嵐より速く 死の罠と知っていてもモノセロス 青方偏移のセレスティアル 大人は見えないエクストリーム ミニマルで完全なユニバース 水色の空を飛ぶラジアルスター 破裂するまで研ぎ澄ますよ 幻想と永遠を繰り返すインテンパランス 目を離さないで首を切られるまで 悠かシンギュラリティに咲

【詩】寄せ波answerer

なるほどフラスコの底落ちて気体になる とっておきの氷砂糖 引っ掻き回したいな君の中 赤色絵の具五指につけ 夏の軌跡を目隠しで たしかに引き波が砂を撫でる でも何もかもゼロにはならない ここに立っていたら足元の砂だけ浚われて もっと深くが露わになるだろう 笑って泣いて無理って言って 垂直の陽射しを煽るから 温暖化も水位上昇も君のせい 反論もないだろこの指止まれ 残念ながら君の血は赤く濃い 喉の奥に隠しても溶け残る 晒して見せるか飲み込むか 解は真逆の二値を取る 不可能問題じゃ

【詩】不溶の難問/夏

真紅薔薇の五枚花弁は水に溶けますか? それは思いもよらない難問 研究室で私たち 虚数の味を弄んでいる口の中 まだ回り道をしなくてはいけないの 道具箱の隅手探りで 痛覚を拾おうと努力する 私の頭を掴んで引き上げて どんななんでも溶かしてしまう 素敵な無色透明の液体、綺麗な小瓶 片手で払って落として割って 止めても聞かず窓を開けて 夏の精髄を頭の右から解らせて 薄すぎたルーズリーフを 丸めて捨てられたらいいと夢見てる 否定不可な質量と事柄で シャープペンの芯を折り 起承転結序

【詩】夜浜の歌

夏海に赤日落ちれば潮満ちて 珊瑚蝦蟹月の綱引く 君の眠れる夜浜の歌騒ぎ賑やかし 白めば消える夜毎の泡の星祭り 朝に残るは砂の海星と貝の花 錦織るお宮の君へ夜番よりの献り