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年度末

 わかいときは、この時期になると、落ち込みが激しかった。いまはにぶい。でも、ずっとダラダラと気分が悪かったりする。ナチスに奪われたクリムトの描いた叔母の絵をオーストリアという国家からとりもどそうとするという話を映画化した「黄金のアデーレ」を見にいった。芸術品といえども、親族への思いれか、大衆のものかっていう微妙なテーマで、どちらかというと私有することにこだわるなんて、やぼなことをいうなっていうほうなので、見るのを迷った。やはり、名女優ヘレン・ミレンの名演に泣かされてしまった。論理は現実の感情の表現に勝てないなあ。ずるいぞと思うけど、割り切れないというしかない。このあいまいな感情はわるくない。割り切ったらサクサクと進むけれど、大切なものも見失ってしまうような気がする。年末のはやく日が暮れるころの気分にぴったりですな。

 今年は、なんだか、絵画をテーマにした映画をたくさんみてる。たぶん、デジタル化がすすんで名画を細密にみれるから、やってみたいという監督が多くなったのかなと思う。

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