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【禍話リライト】残念

 この話をしてくれた佐々木さんという女性が通っていた小学校には、『開かずの間』と呼ばれる場所があった。  それは体育館の外にある男子トイレの個室のひとつで、扉には古い鍵がかけられており、その錆びた様子からはもう随分と長い間、施錠したまま放置されていることが分かったという。  封鎖の理由は明らかにされていなかったが、その昔、学校関係者でない人が校内に忍び込んでそこで亡くなって以来、『開かずの間』となっている、というのが児童の間に伝わる噂話のひとつだった。  佐々木さんがそ

    • 【禍話リライト】お姉ちゃん

       この話をしてくれたAさんが高校生の頃というのが、ちょうどこっくりさんが流行っていた時期なのだという。  こっくりさんといっても、誰が誰を好きだとか、将来はアイドルになれますかだとか、そんなとりとめのないことを聞くだけだったのだが、ある日、いつものように「こっくりさん、こっくりさん」と全員で声を揃えている時にふと顔を上げたAさんは、Bさんの口が「こっくりさん」ではなく、別の言葉を発音していることに気がついたのだそうだ。放課後、教室で友達とこっくりさんをしていると、普段あまり

      • 【禍話リライト】突かれる傘

         傘は拾わない方がいいんじゃないかな。よく分からない落とし物っていっぱいありますからね。どこから来たのか分からないものって、怖いものでございますから。  ある日、狭い路地を歩いている時に傘を拾った。どこか壊れて捨てられたのかなと思ったが、ほとんどきれいなままの傘だ。その日は午後から雨の予報だったので、傘を持ってくるのを忘れた彼女はちょうどいいやとそのまま使うことにしたそうだ。  天気予報の通り、昼から雨が降ってきた。先ほどの傘を開いてみると、落ちていたにしてはちゃんとした

        • 【禍話リライト】ノックしないでください。

           ノックしないでください、って話。それが平成の話だって言うんです。しかも令和に変わる前くらいだって言うから、最近じゃねえかって言ったんですけど。まあ、場所は九州じゃないそうなんですけどね。学生マンションってことだけにしといてくださいってことなので、場所はちょっと言えないんですが。ほぼ学生専用になってるマンションで、家賃もそこそこしてね、セキュリティもちゃんとしてあった場所らしいんですよ。お値段も高いんだけれども。十階くらいあるのかな、確か。そういうようなマンションで。そこの六

        【禍話リライト】残念

          【禍話リライト】はりつく女

           大学生の時、幽霊が見えるという男がいた。温厚な人で、自分から見えるだなんて言うようなこともなかったので、周囲は「頭でも打って幻覚を見てるんじゃないか」と馬鹿にして信じていなかった。  そんな彼が廃ビルの窓にはりつく女を見たと言い出したのは、仲間内の飲み会でのことだった。  親戚の運転する車に乗っていた彼は、大通りから一本奥の通りに建つ廃ビルを見つけた。そこの二階だか三階だかの窓に女がべたっとはりついているのが見えたのだという。どうにも自分にしか見えていないようで、親戚に

          【禍話リライト】はりつく女