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スニーカーペインティングをしたらみんなで蟹鍋状態になった話

今週は、人事評価まわりの仕事が立て込んでもうクラクラするくらい忙しくて、ものすごいプレッシャーのかかる局面もあったのだけど、年末感謝祭モードのお祝い系会議やアクティビティもパラレルワールドで続いている。どっちも大事な仕事なので、歯を食いしばって脳みそを回転させる時間と、ゆったりした笑顔で過ごす時間とを、何往復もした一週間だった。たまに精神がちぎれてしまいそうになって、帰宅途中に人通りの多い交差点で気がついたら涙が溢れたりするのだけど、なんとか金曜日まで乗り切った自分を褒めてあげたい。

そんな中、先日はスニーカーペインティングをしてきた。なんてお気楽な!!と思うかもしれないけど、チームとの繋がりを作っていくのも大事な仕事。スニーカーに色塗ってる時間があったら他の積み上がっている通常業務を処理したいという気持ちも一瞬浮かんだけど、やったことないし楽しそうだったしで、通常業務は深夜の自宅作業に回し、昼間は色塗りに集中することにする。

あらかじめ申し込みをしておいた通り、渡された24.5センチの白いNike。試し履きしてみたらピッタリだし、すでにオシャレ。もう何も色なんて塗らずに履いて走って帰りたいくらいだ。

着色前。何もしない方がオシャレな可能性


このまま持って帰りたいな、と思っていると「塗りたい色を決めたら、絵の具を取りにきてくださーい」と先生的人物が声をかけてくれる。寝不足ワカメはアイディアが完全に枯渇していて砂漠状態。どうしよう、あたしゃ困ったわ、と呟くと「金沢色にしちゃいなよ」と適当なことを上司が言う。でもその適当さもあながち悪くないなと思って兼六園の中にある成巽閣の色にしようと決める。この建物は前田のお殿様が自分の母親のために建てたもので、なんだかそのストーリーに癒される私。別に私のために建てられたわけじゃないけど。

成巽閣の群青の間

写真に撮り忘れてしまったのだけど、赤・青・白・黄色などの原色に近い絵の具を渡され、パレットで混ぜ混ぜする。同じテーブルに5−6人が座っていて、最初は和気藹々とおしゃべりをしながら作業開始。

絵の具が気に入った色になったら、ちょっとずつスニーカーに色塗りをする。絵の具をつけたくないところにはマスキングテープを貼り、着色。私は色音痴でもあるので、うまいこと目指す色に辿り着けない。

途中経過。白いところにはみ出てしまって辛くなったけど、除光液でそこそこ落ちる

三度塗りくらいを繰り返すと、だんだん色も落ち着いてきた。面白かったのは、作業が進むにつれ、まるで蟹鍋を何人かでつついているかのように沈黙が流れていくこと。誰かが「年末年始のご予定は?」と投げ込んでも「クリスマスから休みます」といった返事があってそこで会話が止まってしまう。9割方の意識を筆の先に集中させているから当たり前なんだけど。黙々と目の前のものに集中する時間は、思いがけずヒーリング効果があった。

周りの人はスプラッター(ダンボールの中で絵の具を散布させてランダムな塗装をすること)を使ったり、キャラクターを描いたりしていて大胆な作品が多かった。一気に作業をする人や、慎重にひたすらマスキングテープを貼り続ける人、失敗する前に先生に作業代行を頼む人などなど、普段の仕事ではあまり見ることのない性格も見えてきて面白い。

仕上がった私の靴はとても地味。誰も成巽閣など知らないし色もなんだかくすんでしまったから「これは兼六園にあるやつだね!」なんて言われるわけもなく、ただ無難な色を塗っている人として時間を終えたけど、自分が良ければそれで良いのだ。

成巽閣トリビュート

ちなみに本当は白い部分ももっとべったりと成巽閣色にしたかったものの、滲んで汚くなるのが目に見えたのでやめておいた。いつか1ヶ月くらいかけてゆっくりやって良い時にもう一回チャレンジしたい。プラモデルとかに感覚としては近いかもしれない。もしくは蟹鍋。心を静かにしたい人にはおすすめ。


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