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古民家の宿:香川県は宇多津にある古街の家に泊まってきた

#泊まってよかった宿

アレックス・カーという、アメリカ出身の東洋文化研究者がいて、彼が日本に来てまだ間もない、50年近く前の二十代の頃に徳島の祖谷(いや)という山奥にある古民家を購入している。もう、それはそれは美しく改修され、今でも篪庵(ちいおり)という名前で宿泊できる施設になっていて、私はずっと行ってみたいともう10年くらい願っているものの、なんだかんだまだ行けずにいる。

今回も、香川でうどんを三杯食べる旅行の話が持ち上がった時に「行っちゃう?徳島の山奥、祖谷。」と思ったのに、道のりやら何やら色々計算していくと時間的に厳しいことに気がつきまたしてもパスすることになってしまった。

その代わり、と言ってはなんだけど、香川県の丸亀市の隣にある宇多津という街にアレックス・カーの仕事、古街の家(背山臨水)があるというので宿泊してきた。丸亀といえば丸亀製麺でうどん旅にはぴったりでもある。

それがこちら。

二棟続き。私たちが泊まったのは右奥の洋館付きの方で、手前は純和式の古民家。

宇多津という街はかつて塩田で栄えたのと、お遍路さんの78件目のお寺である郷照寺を始めとした神社仏閣がたくさんある。一軒あたりが広めの町屋が大変良い状態で複数残っているあたり、おそらく行政がかなり保全に力を入れているのと、幸か不幸かあまり観光地としても見出されなかったのか近代化が進まなかったのかな、と勝手に想像。

今回の古街の家も行政がお金を出して、アレックス・カーは監修をしたという。ただ、完成後の宿の運営はChiiori Allianceというアレックス・カーの会社が運営も請け負っているので、骨の髄まで(あるいはティッシュペーパーのカバーまで)アレックス・カー品質が味わえるので安心してご訪問ください。

広々したリビングスペース。縁側との間の障子などは全て取っ払われていて、かなりの迫力空間

ここは板の間でどどーんとオープンにしちゃえ!という気迫を感じるリビングスペース。写真を撮っている後ろにキッチンや水回りがある。写真だとあまり伝わらないかもしれないけど、大空間ですごく迫力がある。もうここに入ってしまったらもったいないから下手に出かけないほうがいいねということになって、近くのマルナカというスーパーで香川産の真鯛やら胡瓜の糠漬けなどを購入してキッチンで簡単な調理をして、つまみながら飲みながら夕食とした。

2階の寝室。

寝室は二つあって、こちらが2階の写真。立派な梁が剥き出しで、天井が高くてとても心地よい。

お風呂には大きなガラス扉があって外気を感じながら入浴できる

そういえば宿についてから、暗くなる前にちょっと周辺を歩いてみようと思ってウロウロしていたら管理事務所があった。ちょっと前にチェックイン業務をしてくださった女性が中に見えたので、ガラス戸をそろりと開けて、「中をのぞいてもいいですか?」とお聞きしたらご親切に2階まで見せてくださってはしゃぐワカメ。2階はゲストハウスとして貸し出しもしているとのこと。その流れで今回宿泊した背山のお隣、臨水も見せてくださり、さらにはしゃぐ。どちらのユニットも魅力があるけど、私は背山の方の板の間のドヤ感に惚れ、和室好きなら臨水が良いと思う。価格は同じで、私が泊まった日程だと四人で素泊まり32,000円。空間の豊かさからしたら、とてもお値打ちに感じる。

翌朝は、せっかくなので郷照寺を参拝しようということで出かけるのだけどその前に通りかかった和菓子屋さんでまず10時のおやつ。

郷照寺の参道にある地蔵餅のお店
これが地蔵餅。餅米と普通のお米が半々で、きな粉は自家製。香ばしい
お遍路さんで88ヶ所回った記録

店先にいたマダムにお聞きしたら、もう130年もお店はあるとのこと。数年前に店の前の道路を工事することになって暇だったからお遍路さんをはじめて、車で88箇所回って集めたお札を額装したのだという。スタンプラリーの起源はこれかと思う。とても綺麗なので聞くと表具屋さんに頼んで自分でデザインしたとのことで、88体の仏様が綺麗に窓の中に収まったような形になっている。私もいつかお遍路さんをちゃんとやってみたい、出来るだけ歩いて回る形で。


郷照寺から街方面を見下ろす

宇多津は、多分あまり全国区では知られていない街のような気がするけれど、それだけに手付かずの古いものが残っていてすごく魅力がある。特に古民家好きなら二泊してゆったり散策したり、丸亀にうどん散歩するのがいいかも。

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