若いうちにやっておけば良かった事
"貧しい家庭に生まれたけれども努力して法律と物理を勉強し、40代半ばでリタイアしたアメリカ人の友達がいます。アメリカでも屈指の特許弁理士として最前線で活躍されたそうで8年ほど前に引退。その後ビリヤードを始め、キューを持っていろんな国に旅行をする内に広島に来る事があって知り合いました。その後親交が深まって何ヶ月か我が家に滞在したり、出身校に招待してもらってアントレプレナーの講義をさせてもらった事もあります。ビジネスに対する造詣が深く、映画制作をしたり様々な文化活動にも活発に関わっていていろんな洞察を与えてもらいました。私の数少ないメンターです。ある時、過去に戻れるとしたらやっておけば良かった事で後悔している事って何だと思う?と聞いた事があります。しばらくして返ってきた答えはメディテーション(瞑想)でした。自分が何をしたいのか、なぜ今があるのかを静かに考えるうちに拘っている自分の価値観に気付く。気付くからそこに囚われないように気を付ける。そんな事を繰り返す内にいろんな感謝が沢山溢れてきて自然と心が落ち着いて行動や判断が変わってきたそうです。
その話を聞いてからもう4年が経ちます。時々この話を思い出して自分を見つめようとするのですが毎日の忙しさに飲み込まれてしまって難しい。大切だと言われていたの逃げているなーと思いました。そんな時にコロナがやって来た。会社の業績にも影響が出てくる。取引先や従業員さんにもいろんな事が起こってその対応で毎日時間だけが過ぎていく。一方で外には飲みに出たりする事が減ったので家で考え事をする時間が増えるようになりました。
そんな時にそのメンターから連絡があった。他愛も無い事だったんだけど日本はどんな感じかと。簡単なやりとりだったけど1年以上連絡を取り合っていなかったので何か示唆があるように思って、眠たくも無いのに目を瞑って色々考えてみました。そうしたらあと少しでコロナの影響は減り、もう少しで元に戻るという思いがあったけど、今がこれからの平常時になるのだ、と受け入れて随分と楽になりました。
経営をやっていると日々失敗と成功があります。その起点は毎日の決断です。ものごとが上手くいくように決断しているつもりでも良い結果がいつも出るとは限らない、失敗も多い。何度も繰り返していく内に上手にはなっては行くのだけれども、最近気付いたのはどんな決断をするにしても自分を通そうとしていたという事です。結果に納得する、責任を持つ為には自分が決めたというプロセスがどうしても必要。でも本当にそうだろうか?と考えるようになりました。自分が決めていない事、関わっていない事でもその結果を受け入れて、責任を果たす事って大事だなーと分かるようになりました。
コロナの感染が拡大しているのにGOTOをやって国家を挙げて壮大な無駄遣いをして借金を未来に作っている。どの業界にいるかによって生きるか死ぬかが全然違ってみんな翻弄されてしまう。でもそれを他責していても始まらない。他責している間は次には絶対に行けない。受け入れて自分ごとに近づけないと進まない。
コロナは防げなかったんだけれども、GOTOはどうしようも無かったんだけれども、家でテレビを付けて我々大人が起こしているこの混乱に対し、家族の前でヒトゴトのように「政府は何をやっているんだ」とは口が裂けても言えないなと思いました。貧しい国、危険な国が世界中にいっぱいあるのに、平和で恵まれた日本に生まれてこれまで沢山の恩恵を散々受けて人生を謳歌して来たのに、突然知らぬふりして文句を言い始めるのは辻褄が合わない。
今の与えられた環境でベストを紡ぎ出す事。毎日笑顔で家から出かける事、知恵を絞って利益を出して納税しカラッポになっている国庫に出来るだけフローを作る事。
そんな気持ちで日々頑張る事と、他責で過ごすのでは残せる成果は絶対に違う。そう思います。"