あなたは数を数えない

数える数字はどれも三を超えない
それが愛の示し方だとあなたは告げた
ひとりで帰る帰り道に歌った歌を
ただ聞いていたそのときの夜が
間違うはずのない明日を迎え
光ってくれる風が通っていく道を
一足はやく走りぬけていく
感じることのできない風が
あなたの後ろ姿を隠してしまった路傍の草をゆらしていた
気候の境目で
これから暑くなるという無声の言葉となって勇気をうしない
あなたの過去は
複雑な糸をはりめぐらしている
置き去りにした幼年期そっくりの背中が
その糸の隙間から覗いている


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