雨の日に風はあるか

新聞売り場の前でバスを見送る
きみではないものに照らされて夜の破片を踏んで風が起こる
そのときも不在は浅い記憶の井戸をからし
起き上がる横たわるが等価である河床をすべる
どの川もあふれることができる
そこに雨はあるか

三行で終わるはずだった坂を雨がながれおちる
わたしがだれかの代わりにきみをなぐさめ
気温のない季節を最小の愛があたためようとしている
橋をわたれば住んだことのない土地がはじまる
そこに雨はあるか
言葉のように投げ放たれ地に落下しなければ私たちは完成しない

知らない川からもっと知らない川まで
追いかけてきて追い抜いていく真冬のはずが
橋をわたろうとしてためらっている
もっと知らない川に手を浸し手をぬくきみの髪がゆれる
それは風なのか
それは風かと問うのはわたしなのか

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