マガジンのカバー画像

拾遺詩編

21
運営しているクリエイター

2017年3月の記事一覧

雨の日に風はあるか

新聞売り場の前でバスを見送る
きみではないものに照らされて夜の破片を踏んで風が起こる
そのときも不在は浅い記憶の井戸をからし
起き上がる横たわるが等価である河床をすべる
どの川もあふれることができる
そこに雨はあるか

三行で終わるはずだった坂を雨がながれおちる
わたしがだれかの代わりにきみをなぐさめ
気温のない季節を最小の愛があたためようとしている
橋をわたれば住んだことのない土地がはじまる

もっとみる