煙都煌々 vol.001
一際大きな歯車の音が響いて、ぐらりと車体が揺れるのを感じた。木製の椅子に深く座り込んで、どうやら眠っていたらしい。午後の乗合ロープーウェイはほどほどの込み具合で、空いている席もあり、立っている人もおり。大きく縁どられたガラス窓から差し込んでくる五月の陽光が美しい。真鍮の真新しい手すりの輝きがぴかりと目を射るようだ、蔓を模したような繊細なデザインが車体全体に取り入れられている。先ほどの大きな音は停車場に着いた音らしかった。話し込みながら、または無言で人々が乗り、降りる。鉄骨の