世界の銘店カフェのコーヒーを再現!“最高の一杯”を見つける幸せを届けたい
一杯のコーヒーで、気持ちがほぐれ、リラックスできる。会話が弾み、場が盛り上がる。何気ないひとときが特別になることがある。一日の中で、コーヒーを楽しむひとときを大切にしている方も多いのではないでしょうか。JOJO COFFEEは、そんなコーヒーを愛する方々が「最高の一杯」を見つけるお手伝いをしたいと考えています。
一杯の衝撃から、JOJO COFFEEは生まれた
わたしたちは普段、さまざまな企業や地域での事業創出の支援をしています。一見、コーヒーとは関係がないですよね。最初にコーヒーを事業にしようとしたきっかけは、企業のコミュニケーション課題をコーヒーで解決できるのではないか?と思ったことでした。
とある新規事業のお手伝いをするために企業に行くと、部署間の交流がほとんどなく、昼食すら自分のテーブルで食べているような光景を目にしました。これはそもそもコミュニケーションに課題があると感じ、なんとかできないかと考えていたところ、コーヒーが効果的ではないかと閃いたのです。
そこで、ある企業でのワークショップを開いた時、休憩時間にコーヒーをハンドドリップで提供してみると、参加者同士で自然と話が弾み、場が盛り上がったのです。その後のワークショップもスムーズに進行することができました。コーヒーを囲む場があることで、コミュニケーションが円滑になる。そう考え、バリスタをオフィスへ派遣する事業を検討していました。しかし、ちょうどコロナ禍になり、この事業はストップしてしまったのです。
しかしその頃には、私も大のコーヒー好きになっていました。バリスタの世界チャンピオンや焙煎士の方などギークな方の多いコミュニティに入って学んでいたほどです。そのコミュニティの中で、世界中に美味しいカフェや焙煎所のコーヒーがあることを知りました。さまざまな味を飲んでみたくて、個人的に豆を購入したり。一人分だけ買うと高くなってしまうので、欲しい人を募ってまとめて共同購入して輸入したりしていました。
初めて共同購入したスペシャルティコーヒーの「ブラジル」。豆を挽いて淹れてみたところ、衝撃を受けました。自分ではそれまでも美味しいコーヒーを知っていると思っていましたが、「全然違う」と思ったのです。特に香りが素晴らしくて、カラメルやチョコレートのような風味と甘さがありました。淹れていると思わず顔がにこやかになってしまうのです。飲み終わったカップの残り香さえ芳しく感じました。
本当に美味しい一杯のコーヒーを飲んだ時、人はこんなにも幸せを感じるんだと知りました。この幸せを多くの人に届けたい、これを事業にしたい!と強く思ったのです。
コーヒーは豆だけではなく「店」によって違う
人によって、美味しいと思う味は違います。世界中のコーヒーの中から、自分にとって「最高の一杯」を見つけられたらどれほど幸せだろう。そんなサービスができないか構想するようになりました。
まず自分もいろいろなコーヒーを飲んでみようと、1日に何杯もさまざまなコーヒーを飲みました。すると、コーヒーは豆の種類だけでなく、焙煎の仕方によって味が変わることに気がついたのです。同じブラジルの豆でも、このお店だとこの味、あのお店だとあの味…という風に、それぞれが全く違う一杯でした。最高の一杯を見つけるなら、豆の違いだけでなくお店とその焙煎の違いにも注目すべきだと感じました。
世界には、そこを目当てに旅人が来るような有名なカフェがあり、そこには腕の良い焙煎士がいます。例えば、オーストラリアのメルボルンにある、マーケット・レーン・コーヒー(Market Lane Coffee)、アメリカのボストンにある、ジョージ・ハウエル・コーヒー(George howell Coffee)、カナダのカルガリーのモノグラム・コーヒー(Monogram Coffee)……。そんなカフェから豆を仕入れて上手く淹れれば、その店の一杯を再現できるのではないかと考えました。月に1回豆を購入していたので、日本で販売したい旨を伝えたところ、いくつかの店からOKをいただけました。
ティーバッグという発想
コーヒーの味を決めるのは、豆、焙煎、そして抽出と言われています。世界の銘店に務める腕利きの焙煎士から焙煎された豆が届いても、うまく抽出できないと味は再現できません。抽出、つまりドリップを一から学ばなくても、もっと気軽に美味しく味わえる方法はないかと考えました。
通常、ドリップするときはお湯を細くゆっくりと注がなければなりません。これができないと、粉がダマになってしまい、中まで浸透しないのです。そこで思いついたのが、ティーバッグ式の抽出です。ティーバッグを使えば、お湯をゆっくり注がなくても粉全体に行き渡り、浸透するのではないかと考えました。これなら専門的な道具も技術も必要ありませんし、時間もかかりません。
早速、国内で製造している会社に掛け合い『コーヒーバッグ』を作っていただきました。出来上がったコーヒーバッグで淹れたコーヒーを飲んでみると、とても香りが良く、美味しかったのです。フィルター生地はティーバッグよりも厚い特別な仕様になっていて、粉落ちを防げたことで、ハンドドリップで淹れたのに近い味わいを感じることができました。
実際に加工したものをオーストラリアのヘッドロースター(焙煎士)に飲んでもらったところ、「下手なバリスタが淹れるより美味しい」とお墨付きをいただくことができました。これなら誰でも簡単に、世界の店の美味しい一杯を味わえると確信しました。こうして、「コーヒーバッグで一杯から世界の銘店の味を楽しめる」ことを目指して、JOJO COFFEEを始めたのです。
銘店の一杯を巡り、お気に入りを見つける旅へ
今は、まず試験的にオーストラリアのマーケット・レーン・コーヒーのコーヒーバックをオンラインで販売しています。飲んだ方からは、「これまで飲めなかったブラックが飲めるようになった」「これまで飲んだコーヒーとは全然違うと感じた」「コーヒーは苦手で飲めないと思いこんでいたが、最近は好きになった」などなど、嬉しいお言葉をいただきました。仕事がひと段落した時に自分へのご褒美として飲んだり、1杯ごとに小分けになっているのでプチギフトとして贈ったりと、さまざまな楽しみ方をしていただいています。
最近では国内の銘店にも目を向けて、長崎のカリオモンズコーヒーロースター(KARIOMONS COFFEE ROASTER)、富山のハゼル珈琲(Hazeru Coffee)、岡山のキノシタショウテンのコーヒーバックも販売を始めました。
コーヒーは、終わりのない趣味だと感じます。自分にとって“最高の一杯”はどれなのか。本当に美味しい一杯に出会えた時の感動を、より多くの人に感じて欲しいと心から思っています。そのために、世界中のたくさんの選択肢を提示して、出来るだけ気軽に、楽しみながら自分に合ったコーヒーとの出会いをつくっていきます。
JOJO COFFEE 代表 常川朋之
インタビュー/ライティング 粟村千愛