地域格差について
私は吉祥寺が好きだ。
大学が調布の外れにあったので、そこから近い武蔵境で一人暮らしをしていた。首都圏から少し離れた田舎のベッドタウンで育った私にとって、吉祥寺は憧れだった。
当時はお金がなかったから、自転車で毎週のように通った。
原宿シカゴ、フラミンゴ、ニューヨークジョー、吉祥寺パルコ...
お洒落で綺麗な人達に憧れて古着探しに没頭した。そのおかげで人並みに着飾ることもできるようになった。
そのうち、吉祥寺でアルバイトも始めたので毎日のように通っていた。
就職して、首都圏から新幹線で1時間ちょっとの地方支店に配属されてからは中々来ることができずにいたが、今日は転職面接のために取っていた有給で、2年ぶりに平日の吉祥寺を歩いた。
ちょっとだけ古着屋さんを覗いたら あとはカフェでゆっくりしようと思っていたけれど、結局5時間歩き回った。それでも全てを懐かしむには短かった。
約4年、ずっと通った大好きな街だ。そして私は、豊かに生きるために好きな街に住めたらいいな、と思っている。
今日は新卒で地方に配属され約2年がたった私の目線で、「都心」と「地方都市」について記してみたい。
吉祥寺が好きなのは、たまたま私の手の届く範囲にあった「発展した街」だったからだ。発展した街のいいところは、ざっくりこんなところだと思う。
①利便性
服も、食料も、生活用品も全部駅の周りで済む。趣味にまつわるイベントやライブにも日帰りで行くことができる。
②人々が干渉してこない
人が多いから、すれ違う人の顔なんてそこまで覚えていない。「変な格好」をしていているからといって、露骨に避けられることも少ない。都会の人は無関心ね、と形容されがちだが、それは不干渉とも言えると思う。人の目を気にしなくて済む。
③発見が多い
都心は流行の変遷が目まぐるしいから、新しい店が続々オープンしたり、面白いファッションをしている若者がいたり、時代の最先端がそこら中転がっているので楽しい。
一方で、私の配属された人口約30万の地方都市。私はあまりこの街に住むことが好きではない。理由は以下の通り。
①不便
街が広い割に駅前が発展していないので、どこに行くにも車必須。
②干渉の文化
とにかく干渉されることが多い。家庭環境から一人暮らしの家のことやら、雑談レベルではない一歩踏み込んだ所を話すことを好む人が多く、近所の人の噂話やゴシップネタで盛り上がりがち。「休日どこにいたでしょう?車停まってたよね」「実家は○○にあるんだ、お父さんとお母さんは何歳?何してるの?」「一人っ子なの?可哀そう、うちなんか二人だから云々」
③目新しいことがない
若い人の喜びそうなお店が少ない。タピオカ店も去年の暮れにやっと1つオープンした。シネコンや古本屋がなく、文化の入り口が少ない。
勿論、都心にも嫌いなところはある(満員電車とか、休日のスタバで座れないとか)し、地方都市にも好きなところはある(適度な人口、美味しい個人経営のパン屋が多い、UNIQLOのバズりアイテムが売り切れていない とか)。
色々ひっくるめた上で、私にとっては都心の居心地がいいし、住むなら都内だと思っている。
しかし東京にこだわるのにはもう一つ、大きな理由がある。
給与格差。
私の勤める大手企業では地域手当が存在するのだが、東京都内と私のいる地方都市では約4万円ちょっと差がある。同じ総合職間で。
家賃補助・社宅などは都心でも地方でも変わらずあるので、この給与差は何の為にあるのか本当に分からなかった。
どうして同じように入社したのに、こんなに差がつけられるんだろう?
⇒都心は物価が高いから?
それは家賃に限った話だと、地方で暮らして実感している。
https://www.google.com/url?sa=t&source=web&rct=j&url=https://www.stat.go.jp/data/zenbutu/2007/pdf/gaiyo_si.pdf&ved=2ahUKEwjR9qaEm5nnAhXLPXAKHQPwB4UQFjAHegQICBAB&usg=AOvVaw2YG_n6tP8gz1tS7D12UvK-&cshid=1579765196288
こんなデータを見てみると、家賃の振れ幅はかなり大きいが、その他の項目は都内と地方でそこまで差がないように思える。
確かに、都心のドラッグストアなんかは競争が激しいから安いし、スーパーにいけば生鮮食品は確かに高い気もするけれど、毎月4万円の差が出ることはまずない。
意外な盲点だが、交通費の問題もある。都内近郊は電車での移動がメインだから、一人暮らしであれば概ね車は必要ない。一方、地方都市では通勤にも車が必須である。車はとても金がかかる。中古の軽でも30万円はするし、若いうちなら保険料も高額(年間10万前後)。2年に一回の車検費用も10万円近い。勿論自動車税もある。
地域手当は貰えないし、車の維持費はかかるし。たかだか配属地が違うだけで給料が減るなんて、とても惨めになったのを覚えている。
都心にいる同期と比べて給料が低いと、「あなたの価値はこんなもの」と言われている気もして、段々と心がしんどくなってくる。
都心で働きたい人の数>>>地方で働きたい人の数だとしたら、地域手当は逆にすべきだと思う。そうでもしなければ地方は確実に破綻する(もうしつつあると思うが)。
もし都心より高い給料があれば「地方で働いてもいいかな」と思う人もいると思う。けれど、下手したら都心より生活費が高く付くのに給料は2割低いとなれば地方で働きたいと思う人はほぼいないだろう。
ちなみに、転職口コミサイトで勤務先のページを覗いたら、地域手当の格差が原因で辞めた人が何人かいた。長いものに巻かれ続けるわけにもいかないので、私はこれから、自分の働きたい場所で、納得行く(公平な)待遇で働ける環境を手に入れるために努力していくしかないな と思いました。
ねむ〜〜