またもや行われる東京地検による国策捜査
政治資金収支報告書への不記載やらノルマを超えたパーティー券売上げを懐に入れる「キックバック」などの問題が、大手メディアでもネットメディアでも盛んに語られており、一種の加熱状況を呈している。「政治とカネ」の問題と言えば、大概のリベラル派のジャーナルは正義の側に立って批判を展開することができる。
が、今回、東京地検特捜部がターゲットとしている自民党派閥が、安倍派と二階派と言われ始めていること、そもそもスクープの出所が赤旗であること、東京地検からのリークを大手メディアが鵜呑み的に共有していること、そして止まるところを知らない支持率低下の中、それでも岸田首相の見せる「一定の余裕」ということなどなど、を総合的に鑑みると、これは自民党内の多元化外交方針の(つまり必ずしも対米従属外交の方針を採らない)人々への国策捜査であると読むことができるのではないか、と自分は思い始めている。
もちろん、今回の「パーティー券キックバック」の問題が、すべて非米派の議員によって行われているわけでもなく、今回の悪き慣行に手を染めた議員たち全員が公平に「裁かれる」のであれば、順米も非米も関係ないくらいの広さで派閥に属する自民党議員の名前が出てこなければならないだろうとは思う。しかし、大手メディア報道によれば、ターゲットは「絞られている」のだそうだ。
この度のようにメディア報道が一定の方向で一色に塗り潰される時は(とりわけ産經新聞まで与党批判を展開するような時は)、そこには隠れたアジェンダがあると「穿って視る」必要がある、と常に自分の直感は告げる。
安倍首相は決して反米(非米)という態度を明からさまに見せる不用心は生涯なかったが、隠れ多元外交の姿勢と中国との上手な付き合い方を模索している面があった。自民党の中でも最大級の派閥であった安倍派(清和会)は安倍の暗殺によって、求心力を失った。暗殺が非米派の力を削ぐ一定の効果をあげたことは明らかなことだ。この清和会に属し、現在も「仕切り役」として闇の力を発揮し続けていると言われる森喜朗も、今回の「政治とカネ」のスキャンダルでいよいよ政治生命を失う可能性が高いが、彼も典型的な多元化外交の一人だ。維新の会の党方針に逆らってロシア訪問を強行した鈴木宗男の行動への支持を表明していたことは記憶に新しいだろう。
また今回の地検のターゲットの一つと言われている二階派(志帥会)の二階俊博が親中派であることを知らぬ者はいないだろう。志帥会も今回の国策捜査の主たる対象の一つとなっているというのであれば、これも自民党にまだ存在している多元化外交派の最後の生き残りも一掃されてしまう可能性がある。江藤隆美、亀井静香、など志帥会の歴代の長(伊吹文明はやや色が違う)を見ても分かるが、自民党内における多元外交派の牙城の一つであったことが分かるであろう。
当然、このような私のような政治の素人でさえも分かるような、政治志向による捜査の明からさまな差別は行えないであろうから、下村博文のような特定の親米派議員もスケープゴートとなり、表面上一定のバランスをとることで国策捜査の事実を偽装する可能性はあると考える。
いずれにしても、何としてでも岸田政権を持たせようとするある勢力の強い意志を感じる国策捜査であると言えるであろう。
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