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阿佐ヶ谷ヤング洋品店Vol.19「博士の奇妙な礼太郎〜ドクター・ストレンジラブ〜」

5年後には紅白のトリを務めます!

 「奇妙礼太郎の、奇妙なる文脈とは?」
 今回のアサヤンの見どころであり、楽しみ方はここではないか。

 「ドクター・ストレンジラブ」の副題がついているが元ネタはスタンリーキュブリック監督の「博士の異常な愛情」の原題からの掛け言葉であるが、丁寧に言えば、「水道橋博士の奇妙礼太郎への異常な愛情」とも言える。ではその熱の入れようとはいかほどのものか?博士は、このアサヤンの新人オーディションのOP曲としても採用し、また、奇妙さんが絶賛する桃屋のきざみしょうがも毎食食べつつ、「若手芸人にはどんな料理が合うのか、作らせる。」といった奇妙な愛情を示しながらも「3年後には紅白に出場し、10年後には紅白のトリを務めます!」と博士は言い切る。「紅白のトリ」=「国民的ミュージシャン」と置き換えてもいいだろう。賢明なる読者ならば、そっとツッコミを入れるのではないか。「オイオイ、博士!いくらなんでもそいつは言い過ぎだろう」と。これぞ、博士の異常な愛情の片鱗にも見える。しかしだ、これは異常なのか?先見の明なのか?配信をご覧いただきたい。

 実はかくいう私も博士に教えてもらうまでは失礼ながら存知上げてなかった一人である。ライブに先駆け、奇妙礼太郎さんのアルバムをダウンロードした。これまた、ご本人には失礼かもしれないが、どこか「〇〇っぽさがある。」というのが第一印象であった。真っ先に過るのは「忌野清志郎さん」だが、時に「ビートルズ」であり、時には「ボブディラン」のような字余り感が漂っていた。切なさと郷愁が入り混じるボーカル。曲を聴くごとに覗かせる顔が変わってくる。「このミュージシャンは何なのか?」まさに奇妙な感覚に捉われるのだ。

 配信ライブにおいても紹介されるエピソードをあえて先出ししよう。俳優の菅田将暉さんがANNにおいて絶賛し、紹介したのが「アスファルト」である。

 このMVビデオの監督を務めた林響太郎さんについては浅ヤンの元チーフディレクターでもある高須SANがライブ内で解説をしてくれている。皆さんは、いかがであっただろうか?その才能に疑いの目を持つであろうか?だとしたら、ここで記事を読むのは止めた方がいいだろう。

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 自曲から長渕剛「乾杯」松田聖子「赤いスイートピー」まで披露

実際に生声を聴いた私の印象は、圧倒的な声量と高音のボイスは、時空を越える様な錯覚をもたらした。と同時に汚れなき歌声は見えるはずのないピュアな心が見える思いがした。「大の大人のピュアな心」と言うと、若干の気持ち悪さが漂うが、ご本人のトークを聞き、素の奇妙さんを垣間見た後に歌声を聴くと私の言う「ピュアな心」の意味も悪くは聞こえないだろう。(ちなみにゲストミュージシャンのゴメスさんもまた、ピュアな感じが漂う。)ポップミュージックでありながら演歌の魂が宿るとでも言おうか。そんな気分にさせられる。また、自分の中に眠っていた何か刺激する。それは郷愁か、はたまた自分の弱さに対する共感かは分からないが、激情を生むものであった。

 本来ならば、この記事はここでおしまいでいいのだが、それでもまだ配信を見ない方のために長い蛇足を書こう。

 村上隆さんの著作に「芸術起業論」がある。

サイドストーリーを知ると、もっと好きになる! 

 この中に「何故、モナリザは世界一の名画になりえたのか?」というくだりがある。言わずと知れたレオナルド・ダ・ヴィンチの傑作として名高いが、村上隆さんは、「盗難された事件」を指摘している。元々、名画としての価値は高かったが「盗難」というスキャンダルによってさらなる認知の拡大が起こり、「世界一の名画」となっていく過程を指摘している。これはまた、ゴッホにおいて言えば、死後、その作品が評価されるが「耳を切り落とす」という人生におけるサイドストーリーが作品にさらなる価値を付けている見方も出来るだろう。これは別に絵画作品、芸術作品だけに限ることではないだろう。

「才能はある」けれど、世間一般に広く認知されるにはサイドストーリーが必要であるということだ。これを麻雀用語で言う所の「イーハン付ける」(役を上げる)、あるいはブレイク論(メディアに多数取り上げられる状態)として考えるといろいろなパターンが見えてくる。
①スキャンダルによる認知拡大
②賞レースを獲得する。
③海外で評価される。(逆輸入)
④圧倒的な数字・実績を残す
⑤癒着・ゴリ押し

  ざっと上げると、こんなところではないか。実際の具体例で言えば、①は俳優の石田純一さんは明らかに「不倫は文化」という発言で一時は仕事を失ったものの代名詞ともなった。(今また、コロナ禍の行動は問題視されているが。)ビートたけしさんのフライデー事件やバイク事故もまた、①のパターンではある。②はいわゆるM-1グランプリ、芥川賞、オリンピックなど、賞レースを獲得するのことによって、さらなるステージへと押し上げる方法だ。それこそ、たけしさんですらヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を獲得したことが「世界の北野」へと押し上げたことであろう。③においては「マイケルジャクソンのバックダンサーを務めたKENTO MORI」「ジャスティンビーバーによるツイートによって知れ渡るピコ太郎」など。④に関してはSNSや主婦の間など一部では話題となっているものが拡大するパターンである。⑤は事務所推し、バーター、知名度ある人を使ったレバレッジパターンだ。

 どれもがそう簡単にはマネが出来ないが、サイドストーリーという点で誰もがすぐに出来るのが「バックボーンを明らかにする」ことである。ホリエモンこと堀江貴文さんはベストセラーを連発しているのが、とりわけ売れたのは自分の生い立ちを語った「ゼロ」である。

 どんな幼少時代を過ごし、どんな親に育てられたのか?誰もが持っているが才能あるものではあれば、気になるポイントでり、それを知ることでより深いファン、新たなファン獲得を掴むことだろう。これは動物だって同じだ。行動展示でお馴染みの旭山動物園もその手法を取り入れている。通常、パンダには名前を付けるが旭山動物園は他の動物にも名前を付け、生い立ちから紹介する。言うなれば、生きてきた文脈を作り、知ることで、認知から興味、ファンになる、へとステップを上がっていく。

 さあ、今回のアサヤンは肝はそこだ。奇妙礼太郎さんの歌を聴く楽しみはもちろん、奇妙礼太郎の曲作りは誰に影響を受けたのか?を深堀りする。ゲストにはやついフェスが評価が高く、ミュージシャンの一面も持つエレキコミックのやついいちろうさんを迎えた。博士のこだわりのOPは、奇妙さんのポルシェも出てくる「どばどばどかん」からスタート!

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5年後には紅白のトリを務めてます!

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DJの顔を持つ男・やついいちろう「アサヤンと微妙に(奇妙さん)相性悪いんじゃない?」

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音楽の知識も多彩な高須SAN「奇妙さん!ロッドスチュアートの影響受けてますか?」奇妙「違います」の一刀両断トークは見もの。

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「ポルシェ好き」と「足元がスポーツシューズ」が奇妙礼太郎との共通項・社長芸人・ジョニー小野

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酒とネタは仕込みが大事!仕込み王・無法松

 ライブの前半は、奇妙礼太郎さんの音楽のルーツに迫るトークがたまらない。特にゴメスさん(中込陽大)との共作であるアルバム「YOU ARE SEXY」がいかにして作られたのか?天才性を感じさせるエピソードに一同が唸る。

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アサヤン3度目の出演!もはや準構成員のゴメス

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「奇妙さん、おすすめのきざみしょうがは毎日食べてます!」テンション高めの博士

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奇妙礼太郎「きざみしょうが、今は食べてません」

 トークが一刀両断の奇妙さんの素の姿が明らかになる一方、無法松の仕込み芸が冴えわたる。かたや、「それ、いちいち挟むの?」「(ジョニー小野に対し)お前、何なの?スポンサーなの?」返しの上手い、やついいちろうさんの掛け合いトークの面白さは必見だろう。

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圧巻のパフォーマンス

 後半は奇妙さんとゴメスさんに生演奏。「奇妙なる音楽体験」が前述した通りだ。天を突くような歌声に虜になる。
 延長戦は、ミュージシャンとしてのやついいちろうさんの秘話の数々が披露。高須SAN、博士にとっての音楽師匠であり、「今の日本の音楽シーン」「今、大人が聴くべきアーティスト」にも迫る。

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 さあ、今すぐその目で確かめて欲しい!「奇妙なる音楽体験へ!」

 そして次回は、「年表の鬼」博士自身の巨大なるサイドストーリーが明らかになる!

輝く一瞬を見事に切り取った写真をありがとうございます。
 写真提供:中山友美 利根川亘
      Instagram:tomomi.photography
      Facebook :tomomi.photo

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9月9日にはいよいよあの人が登場!

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