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アサヤン VOL.24 藝人春秋Diary 大読書会

アーカイブ視聴はニコニコ動画から出来ます。

「人生における最大のエンターテイメントは出会いにある。」

 今宵のアサヤンはそんな思いを抱かせるひと時であった。今回の主旨はこうだ。アサヤンの総合プロデューサーでもある水道橋博士の新刊「藝人春秋Diary」の読書会であり、イラストを担当した江口寿史先生を迎えてのライブだ。

 発売開始から2日目にして早くも重版決定し、幸先のいい出だしを見せる本書であるが、これが生まれるまでのいきさつは決して平たんなものではなかった。そもそも、週刊文春の「週刊 藝人春秋Diary」として連載されたものがベースとなっており、本来であれば文藝春秋から出版されるのが筋というものであろう。博士の執筆料や江口先生の原稿料も負担をしていたはずだ。しかし、現実はそうならなかった。前作のセールスの問題も多分にあったであろう。デジタルでの販売の道、ライバルである講談社からの発売の道、模索する中でたどり着いたのがスモール出版からの発売であった。それは活字にこだわり、江口先生の挿絵を全部載せることにこだわった博士にとっての最善の落としどころではなかったか。

 今回のライブでも触れるのだが、盟友・町山智浩さんは「厚い本はダメだよ」と言い、また「手離れ良くしないとダメだよ。(連載から時間を空けちゃダメ)」とアドバイスのことごとく逆を行く形での出版となった。これは町山さんの言葉を借りたものの、出版業界関係者から見れば、至極まっとうなご意見であろう。それでも尚、博士は攻めた。セールスの不振、自らの体調不良が重なった上での現在地、白旗は上げず、自らの文(ぶん)を信じ、文(ふみ)により、踏み留まったのだ。言葉で書けば、簡単だが実現させるのは並大抵のことではない。

 刷り上がった一冊は、町山さんをして「聖書だ」と言わしめるほどの分厚さだ。あまりにも過剰な一冊だ。私も思った。会社四季報かはたまた、時刻表かと見紛うほどの分厚さだ!考えてみれば、博士はいつだって過剰だった。自らが編集長を務めるメルマ旬報では、60名を超える執筆者を抱え、多士済々な顔ぶれがそろう。

 このアサヤンとて、一時期は毎週のペースで開催するほど、過剰で過激な内容でお送りしてきた。(YouTube をご確認いただきたい)

 そしてまた、博士にしか出来ないであろう過剰なるリサーチと用意周到な準備が成せるインタビュー芸も健在である。

 全てのことはこの2021年の出来事である。まさに博士の異常な日常を垣間見ると共に、圧倒的な守備範囲を感じ取れるであろう。そんな芸人が他にいるかあ?である。その中でも、「藝人春秋Diary」に登場する人物たちも多彩な人物がその名を連ねている。(ビートたけし、松本人志、爆笑問題・太田光、西野亮廣、松居一代、石原伸晃、加賀まりこ、樹木希林、高田文夫etc)

 水道橋博士のここ数年の仕事の集大成ともいうべき、渾身の力作が「藝人春秋Diary」であるのは間違いないだろう、そしてまた、その魅力を伝えるのが今回のアサヤンの最大の主旨である。「日記は俺の情熱、そして業」、昭和の喜劇人、古川ロッパの言葉を掲げ、「日記芸人」としての筆を振るう博士。今回、執筆者としての博士の狙いはあるだろうが、登壇者の一人として、一読者として本を拝読した。私なりの結論はこうだ!

「この本には、魔法が掛けられている!!」

 その魔法は読んだ者には、確実に掛かる。絶対に掛かる。その魔法が何かはここでは言うまい。

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 さあ、今回のアサヤンである。
 OP曲は長谷川かいまとドルフィンソング佐野によるラップだ。前回の「男はつらいよ」も担当したが、「本がない人生なんて台無し」~なんだかいいフレーズじゃないか!

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 メインの登壇者には江口寿史先生の登場だ。先生の入り時間が若干、遅れ「ひょっとしたら来ないのか?」と遅筆で知られる先生だけに、遅刻もあるのでは?との心配も過る中、すべて杞憂に終わった。

江口1

ツイートに怒ってるわけじゃない!!

博士2

 冒頭、Twitterから端を発した「本人おじいちゃんなのに可愛い女の子の描く」問題で盛り上がる。

 先生曰く、ツイートに怒ってるわけじゃなく、乗っかるYahoo!ニュースに怒ってるとのこと。先生のことを知らないことに隔世の感が過るのだが、「昔からこのままなんだよ!」話は染み入る。私の世代(アラフィフ)にとってもそうだが、江口先生はカリスマだ。描く女性は、いつもキュートで、いつもPOPで、こんな子と恋に落ちたくなる女性を描かせたら右に出る人はいないと思う。と力説しても若い世代に伝わらないのも癪なので、百聞は一見に如かずだ。こちらも見て欲しい。年齢なんか関係なく、ときめくはずだ。(ちなみに上は私個人のピンタレストでもある。)

博士江口高須1

江口「精力的にクリエイトしている人はエゴサが当然なんですよ!」
江口「クソみたいなリプの中にいつも一個ぐらいいいのがあるの。その砂の中の1個(砂金)のためにエゴサをやってるの!」
博士「慰められてます。僕なんか、999個悪口ですからw」
高須SAN「(若い女性に)あの若作りのジジイの演出がしつこいって言われて。俺の演出は25の時からしつこいわって!!心の中で言いました。」
博士「(元気が出るテレビ)のしつこい高田(純次)は高田さんが(高須SANの演出を)やりたくないから生まれてます。」 

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いつまで経っても変わらない男・高須SAN

 クリエイターの悲喜こもごもが炸裂する。そして元気が出るテレビOP映像。このご時世では地上波では流せないであろう江口先生が絵コンテを描いた作品がVTRで披露。若き日の日曜の夜の興奮と高揚が蘇る。なんて素敵なんだ!!「なんきん」「しりあがり寿」「どおくまん」という名だたる漫画家が務めた元気が出るテレビのOPの系譜話も貴重だ。ぜひ、配信で見てもらいたい。

元テレOP
江口4

「あと、20年経っても世界一カワイイ女の子、描いてますよ。」江口寿史

 論客にはエル上田、現役の国語教師である矢野利裕さん、博士のブレーンであり、博報堂の原カントくん、アサヤンファイトの編集長であり、年表の鬼でもある相沢直さん、それに私も参戦した。

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本業は国語教師・矢野利裕さん「博士は非日常の世界を描いている!」

 博士をして、「藝人春秋」の一番の批評として唸ったのが矢野さんの評。矢野さん自身は非日常として起こる世界を描いた一冊に感銘を受けたという。博士もまた「芸能をやるものは河原ものだ。今は学校で学んだものが来るけど。。。」という本来、社会で生きれないものたちが芸人になるという思いを吐露する。

 内容を全部、さらうのはあれだが、ポイントをまとめると・・・
〇新谷編集長からたけしさんにまつわる話で依頼を受けた話~博士の提案
〇博士の江口先生への依頼のエピソード、記事と絵は独立しているもの話
〇俺にとってのつかこうへいと山藤章二の関係。
〇スモール出版での出版までのいきさつ。
〇江口先生のビブラストーン好き
〇描き直し(ぶっちゃあさんとアブドーラ・ザ・ブッチャー話)

 可愛らしい女性POPとは違う哀愁漂う江口先生が描くオヤジたちもまた見事だ。博士の文章もさることながら、先生の画集としての魅力も詰まっているのは言うまでもない。(しかも60作品もある!!!)

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ずっと描きたかった吉岡里帆さん

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「談志師匠っぽさもあるよね」高須SAN

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 この中でも「欽ちゃんの顔が思い出せない」話や絵の創作話は実に貴重なエピソードであった。質問した私も褒めたい。そして藝人春秋Diary、本編の魅力へーーー。

きんたま1

「ストロングゼロ2杯飲んできました。」きんたま画伯

 藝人春秋Diaryにおける脚注を独自に作成。様々な引用や固有名詞、元を知らないと分かりづらいところも徹底網羅している、脱帽レベルだ。

 そして各登壇者が勧める人物、エピソードを披露。松本人志さんと博士のやりとり、さらには剛力彩芽さんを巡る、うまいダブルミーニングを解説する読書芸人エル上田。

エル上田2

 「水道、閉める」に「上手い」って呑気なことを言ってるよ。

博士の誕生祭の数日前、博士とひと悶着あり、「ジョニーはつぶす!」と言われていたがその裏で小泉今日子さん、甲本ヒロトの事務所と折衝を重ねていたジョニー小野。

ジョニー2

私が一人で交渉して(小泉今日子の生歌)手に入れました。

原カントくん、「ぶっちゃあさんが、たけし軍団設立の立役者!」

原1

鳥肌実ではありません。

 相沢直さん、人として、三又さんが本当にダメで・・・

相沢1

 クズ過ぎて、17,18ぐらい話が10になっている。

島津秀泰「(ウーマン村本の)たけしさんにネタを見てもらいたくない」ってのが引っ掛かって

島津1

今度、アサヤンに呼んで欲しいですよね。

矢野利裕さん「荒俣宏を、蒐集という観点でつないでいる。」

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「(博士は)シャーロックホームズ的な感じもある。」矢野利裕さん


きんたま2

 まえがき、あとがきをぜひ、読んで欲しい。買わないと読めないから。

 延長戦は、スタッフの原田専門家が江口先生のパ紋(パーソナルな家紋)の作った時のエピソードが披露される。江口先生の「好き」が詰まったパ紋話に爆笑。

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「最終的にシンプルになりました。」原田専門家

 普段、江口先生がやっている5分間スケッチアカデミーを再現。博士が路上でスカウトした高円寺の美人姉妹「コーエン姉妹」をモデルに5分程度で仕上げる。

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よしえつねおさんも急遽参戦!

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ものの数分で描いたのだが、すごい仕上がりに。。。カワイイ。

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 ライブ終盤、高須SANからの総括。それは・・・ぜひ、配信を。

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 一応、私なりにまとめると、「この本を読むと、魔法に掛けられる。」と言った。その魔法の正体は何か?種を明かせば、あなたも、水道橋博士が描く星座の中にある星になる。最初は星というひとつの点に過ぎないかもしれない。しかし、あなたがもし書評を書いたとしよう、間違いなく博士はエゴサーチして見つけ出すであろう。それがTwitterか、Noteか、Amazonか?見つけ出した時に、星と星はつながるであろう。なぜなら、私もかつてその一人だったからだ。他の登壇者で言えば、矢野さんも同様のケースでつながっている。人との出会いは不思議だ。けど、これほど人生における喜びや楽しみはないのではないか、それを運命と思うのか、島津の戯言と思うのか、どう思うのか?まずは、アサヤンを。そして藝人春秋Diaryを読めば分かる。全ては「文」がつなぐ魔法だ!!読まなければ魔法は掛からない。星座は人の意志で作れるのだよ!!さあ、描いてみよう!書いてみようじゃないか。出会いが生み出す人生は、楽しいよっ。

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あなたからの書評を待つ男・水道橋博士

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博士がつなげた星々たちが勢ぞろい、出会いに感謝!

 次回は、ガダルカナル・タカさんが登場。にわかには信じがたい衝撃のファミリーヒストリーが明らかになる!

 世界の主婦3人と食にまつわるトークショーをやっています。というか江口先生にイラスト頼んだらいくら掛かるのか、ダメもとで聞けば良かった。。。

最新回はこちら。「世界のFood&Festival」

いつも素敵な写真をありがとうございます。
 写真提供:中山友美 利根川亘
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執筆者:島津秀泰(放送作家)
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 ちなみに、先生は気さくに皆さんのサインに応じてくれていました。ありがとうございました。

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