見出し画像

阿佐ヶ谷ヤング洋品店Vol.21『出禁の男』解禁〜蘇るテリー伊藤『アサヤン』伝説

私のことはどうだっていいんです!

  2019年の年末、勝どきに200名ほどのテレビマンが集まっていた。
目的はある男の古希を祝うための船上パーティーであったが、その正式名称はこうであったー。
 「第70回全日本爆笑 伊藤輝夫とゆかいな仲間たち大賞」
 そう、伊藤輝夫こと、演出家「テリー伊藤」さんを囲む会である。
 (以下、伊藤さんと記します。)

画像3

 すでにここに伊藤さんを象徴する出来事が凝縮されている。音頭を取っていたのは、IVSテレビ制作で伊藤さんの下で働いていたSODの創業者でもある高橋がなりさんや岡崎成美さんだったと記憶している。世の中には知られていないが、伊藤さんは非常に照れ屋な一面がある。自分が褒められたり、持ち上げられたりすると、いつだって「私のことはどうだっていいんです!」と話題をすり替える。そんな伊藤さんを知り尽くす教え子たちが、何とか引っ張り出そうとした結果、建前は「古希の祝い」ではなく「伊藤輝夫とゆかいな仲間たち大賞」となった。「第70回全日本爆笑」という昭和感とチョイださ感がかっこよく、伊藤さんテイストでもある。また、途中で帰りたくなるであろう伊藤さんをつなぎとめる上での「船上パーティー」を選んだのも、したたかな計算を感じた。

 出禁の男にも登場する土屋敏男さん(電波少年プロデューサー)、加藤幸二郎さん(イッテQプロデューサー)、放送作家のそーたにさん、田中直人さん、堀江利幸さん、アサヤンのライブでもすっかりお馴染みの高須SAN含め、錚々たるテレビマンが伊藤さんを祝いたいと駆けつけた。名立たる先輩方を前に私もひっそり参加した。会の冒頭のあいさつで伊藤さんがかます。「今日、ココに来れるやつはまだ、マシだよなー」と、
とかく同窓会的な要素もある会において爆笑をさらっていた。その光景を見ると、ある言葉が浮かんでいた。

 故・野村克也監督の「財を遺すは下、仕事を遺すは中、人を遺すは上」というものである。分かりやすく言えば「ひとつの仕事をして金を残すのは三流、名を残すのは二流、人を残すのが一流である」という言葉だ。先日、東京オリンピックの野球において稲葉篤紀監督の名采配が光ったが、稲葉監督もまた、野村さんの教え子であるのは言うまでもない。

 翻ってテレビ界において、「作品」「番組」はもとより「人」を残してきたのが伊藤さんの偉大さではないかと思っている。言い換えれば「テレビ作り」「コンテンツ作り」を残してきたとも言えよう。(電波少年、世界の果てまでイッテQなど、まさにその系譜だろう。)

 第2シーズンに突入するアサヤンだが、その一発目はまさに1990年代にテレビ東京でその名を轟かせた「浅草橋ヤング洋品店」の生みの親である。テリー伊藤さんの登場である。奇しくも本橋信宏さんが、伊藤さんの伝説に迫る「出禁の男」を販売したタイミングでもある。

  本橋信宏さんと言えば、今やNetflixで一大旋風を巻き起こした、いや今も巻き起こしていると言っていいでしょう、「全裸監督」の原作者としてその名を知る方も多いだろう。だが、私は25年前から本橋さんの名前を知っている。

 私が伊藤さんが代表取締役を務めるロコモーションに入るきっかけを作ったのは、1995年5月号Viewsにおける伊藤さんの記事であり、その構成を担当していたのが本橋信宏さんだからだ。

画像1

画像2

 その後も「悪人志願」「裏本時代」「エロ職人ヒビヤンの日々涙滴 AV監督」など、数々の著作も読んできた。一度たりともその文章に触れたものなら気づくだろうが、本橋さんが書く文章のリズムが心地いい。それでいて刺激的だ。説明の描写、センテンスの長さ、本人の言葉の再現性、会話によるインタビュー、随所に散りばめられる本橋評、何よりターゲットになる者たちのもつ、アウトロー感、アンダーグラウンドの世界は、「キレイごと並べても、所詮、女と金だろっ」という人間が持つ欲望の凄さ、怖さをえぐり出す。本橋さんが描く世界は、私にとっては極上のエンターテイメントでもあった。

 そして「出禁の男」である。本の帯にはこうある。「今の時代では書いてはいけないことかもしれない。」と。何かとコンプライアンスが厳しい時代と言われるが、そのコンプライアンスが緩い時代ですら、「出禁」になった男、テリー伊藤。いかにして何者でない学生、もっと言えば、学生運動で投石を受け、斜視となり、就職もままならなかった一人の青年が上り詰めていくのか、そのエピソードが記されている。今や常識となった数々の演出法、天才ビートたけしとのぶつかり合い。元日本テレビの吉川圭三さん、土屋敏男さん、加藤幸二郎さん、高橋がなりさん、など、錚々たる顔ぶれが証言をしていく。この本を読むと、伊藤さんの「大胆さ」と「緻密さ」。世の中に革命を起こすとは何なのか?その実体験のエピソードで溢れていると言っていいだろう。

 しかしである。
 「オイオイオイ、ちょっと待ったー!!」である。
 異を唱えるのは誰あろう、「アサヤン」の総合プロデューサーでもある水道橋博士だ。同じく浅ヤンでは、伊藤さんの右腕として演出を振るってきた高須SANである。「出禁の男」では描かれていない別の「テリー伊藤」を伝えなくては!その大号令の下、私にも出演の声が掛かった。その前哨戦としてニコ生でも、伊藤さんと最初にどう出会い、放送作家になったのかのエピソードも語らせていただいた。(配信はこちらから👇👇👇👇)

「出禁の男」テリー伊藤が解禁!

LINE_ALBUM_アサヤン21(2021・9・9)_210910_62

「ワクチンを2回接種して、『絶倫になりましたー!!』」

LINE_ALBUM_アサヤン21(2021・9・9)_210910_34

「全裸監督」の次は「出禁の男」がNetflixで出るか!?著者・本橋信宏

テリー9

 いつものように原田専門家編集によるOP映像「ジャカジャーン!ブンブン!ドンドコ!イェーイ!」怒髪天の曲と共に、伊藤さんの名場面が洪水のように押し寄せる。
 そして、冒頭からぶちかます!
テリー「私、ワクチン2回接種しまして、副反応はと言うと、、、絶倫になりました!!!!」「河野大臣にも会って言ったんですけど、僕の顔を見てくれませんでした!」「これは笑いごとじゃないんです!(ワクチンの影響で)私、オープンカー買いました!経済効果があるんです!!!」とのっけからテリー節が全開である。

 今回のアサヤン、結論を言うと、「勃ちっぱなしで、入れっぱなしの絶倫ライブ」である。(何を島津は言ってるのか?と首を傾げるだろうが意外と的確なはずだ!)まあ、とにかく凄かった。脳内に足腰があるならば、フラッフラになるほどのパワーで、へろっへろにさせられる。それほどまでに、爆笑し、時にしびれる話が途切れることなく続くのだ。

LINE_ALBUM_アサヤン21(2021・9・9)_210910_24

浅ヤンを作った者たちの「ボクらの時代」

 伊藤さんの四十八手を見せつけられ、「これが見どころ!」と言うのは極めて難しい。しかしだ、あまりにも抽象的なことを書いてもライブを観てない方には「しまちゃんさあ、また、調子いいこと言って煽ってんじゃないの?」と思われるのも不本意である。多少のネタばれ感があるが多分、ライブを観ないと、その面白さは半減しているであろう。

LINE_ALBUM_アサヤン21(2021・9・9)_210910_41

伊藤さんの笑顔と博士の笑顔がシンクロする一枚

博士5

道祖神を前に、「イキそうです!」

珠玉のエピソードの数々

〇ベストセラー「お笑い北朝鮮」が実は15社に断れた話
〇博士、初めての対面にて
 「放送禁止的な漫才?つまんねなー。コンドームにうんちを入れて口にクチュクチュするような漫才をやんないと」話
〇企画書を30本書かせる際、
 タレントの名前を書いてる奴はダメなんだよ話
〇「高橋がなり」(SODの創業者)「そーたに」(売れっ子放送作家)の面接エピソード。「うまくしゃべれない奴の方がポテンシャルがある!」話
〇元気が出るテレビ時代のエピソード
 ・Tシャツデザインの話
 ・365日、一日も休まなかった話(オナニーしたら〇〇〇になった)
 ・放送作家に土方作家になれ話
 ・(作ったVTRに対し)顔色ばっかり見ていた話
〇テリー伊藤の素顔話「テーブル蹴とばした後、あと8時間引きずるの嫌じゃない。」
〇考えすぎてアイディアが1周する話「野球甲子園」「デブ相撲」「そばのデリバリー」(それは出前ですっ!)・・・etc.

 と、挙げだすとキリがないほどの至極のエピソードが満載なのだが、その中でも、特に濃い話を4つほど、挙げよう

①テリー伊藤の「企画&演出論」

LINE_ALBUM_アサヤン21(2021・9・9)_210910_69

島津プレゼンツ「ロコモーションの衝撃募集要項!」

 この「企画30本を出しておもしければ合格」のフレーズから伊藤さんの企画論が語られる。さらに「出禁の男」にも数多く紹介される伊藤さんが開発した演出の数々が披露。さらにそこに高須SANが目の当たりにしてきた「あの演出は実は伊藤さんが最初だった!」話がいくつも披露される。ちなみに「エンドロールが長い!」話は、爆笑ものであった。また、高須SANによるテリーコメントの「まず、強烈な決めつけがあるんですよー」話もまた、笑った。

②元気が出るテレビにおいて「ビートたけし」の存在とは?

 元気が出るテレビに関する話はいくつも紹介されるが、高須SANからの「たけしさんは、どんな存在でしたか?」の質問には「戦友ですかね?」そんな答えが来るかと思いきや、全く違う答えに伊藤さんのクリエイターとしての矜持が溢れていた。

テリー&たけし

③伝説の浅草橋ヤング洋品店のVTR

 配信版の大きな目玉がこれだ!浅ヤンの伝説の一つでもある「江頭グランブルー」はもちろんのこと、「中華鍋の水中スキー」「青梅街道をパニックさせた中華戦争」「赤いロールスロイス対決」のVTRは配信のみとなると思われるが、「抱腹絶倒とはまさにこれ!」と言わんばかりのどれもが爆笑必至のVTRであった。これを演出した高須SANと伊藤さんのコメントもぜひ、見てもらいたい。

LINE_ALBUM_アサヤン21(2021・9・9)_210910_53

「天才的なテリー伊藤のアイディアを映像化する天才・高須SAN」島津評

LINE_ALBUM_アサヤン21(2021・9・9)_210910_78

「宮路社長と鈴木その子さん、いい人だったなあ」

LINE_ALBUM_アサヤン21(2021・9・9)_210910_65

「高須SAN、島津さんのロコモーションのバカ笑い、いいですねー。」

LINE_ALBUM_アサヤン21(2021・9・9)_210910_17

「(最初の仕事は)アライグマの檻を作りました。」島津

LINE_ALBUM_アサヤン21(2021・9・9)_210910_11

「今度、テリーさんのYouTube呼んでください!」ジョニー小野

④博士の風俗記事被害話

 博士が長年、保管してきた記事が今回、発掘。デビュー当時の浅草キッドへの印象、たけしさんから「キッドをよろしく」と持ち上げてからの博士の「風俗大魔王」へと筆がシフトしていくエピソードは20年以上に渡る熟成を経て、今回、披露。風評被害ならぬ、風俗記事被害で苦しんだ博士が何故、晩婚になったのか、叫びまくる!また、伊藤さんの博士を紹介するくだりを一部紹介すると、、、「本年度の芸能界絶倫ナンバーワンが5月にして早くも決定した。それは昨年に引き続き、諸君の予想通り、浅草キッドの水道橋博士である。」ここまで「絶倫」というフレーズが連発するライブも稀だろう。

LINE_ALBUM_アサヤン21(2021・9・9)_210910_44

「紹介の仕方が大谷君と一緒なんだよなー」高須SAN

キッドをよろしく

「キッドをよろしく」と最初はいい話だったが、、、筆がシフトする!

元テレ恒例の「じゃんけん大会」

LINE_ALBUM_アサヤン21(2021・9・9)_210910_31

 お客様を入れた状態でのライブの終盤は、元気が出るテレビ恒例のジャンケン大会が行われた。

延長戦は、もしも俺が「東京オリンピックの演出をしたら!」

 かつて、私は東京都の広報番組「TokyoBoy」も担当したが当時、伊藤さんが熱っぽく語っていたのが「最終聖火ランナーは鉄腕アトム案」であった。あれから数年、実際の東京オリンピックの開会式をどう見たのか?尋ねた。まあ、出るわ出るわ。ばっさりと、「不満を言うわけじゃないんだけど・・・」と始まるが、今回のスタッフを一刀両断しており、何故、「渡辺直美」さんを使った演出がダメか?その根本にも切り込んでいく。また、新たな案として「ゴジラを登場させて、火の海にするんだよー」からのオチまでのくだりはぜひ、配信限定!(配信終了後は、ニコ動のみの特典)となるので、そちらをご覧いただきたい。

 怒涛の展開だったが、名言も随所に飛び出した。

「(ロケ中の通行人を止めない)たかがテレビだ。」
「俺は365日働いてたけど、ADには悪いことをした。」
「(ダンス甲子園の人気者だった山本太郎が辞めたいと言い出したことに)
 次の舞台行かせてやろうぜ。」(あっさり捨てる精神)
「エガチャンはYouTuberを潰さないといけない。」
「コンプライアンスがあるから面白い。」
「(ナンシー関によるコラムの激賞に対し)おめえ、なんかに言われたくないわ。」
「(かつてエンペラー吉田さんを起用)今はおじいちゃんを(テレビから)
  切るんだよな。」
「しけたじいさんが終活するんですよ。死ぬ2分前までチンポが立ってて
 棺桶が閉まらないんですよー。」

 そこには伊藤さんのクリエイターとしての矜持やカッコ良さと同時に人としての謙虚さや優しさが随所に滲み出ていた。今回、私自身いつもより思い入れも深く、ネタばれになるところもあるかもしれない。しかし、活字では10分の1も伝わらないと思っている。だからこそ、YouTubeでなく、浅ヤンのVTRも含めた配信を絶対、見て欲しいと思っている。

LINE_ALBUM_アサヤン21(2021・9・9)_210910_2

 最後にこの言葉で締めくくろう。
 記事の冒頭のパーティーでの手土産に記された言葉だ。

人生迷ったら笑える方に

「人生迷ったら笑えるほうに」

 次回のアサヤン「非道に生きる」博士の盟友が登場!

「島津はつまらないんだよー」と言われましたが、またそれを糧に頑張ります。伊藤さんに褒めてもらえるように。。。「世界の主婦3人と柴犬による食にまつわるトークショー」です。ZOOMを使いながらもZOOM画面を拒否して、アバターショーを展開しています!ぜひ、こちらも今すぐ!チャンネル登録をお願いします!

最近の人気回「Cydonie名場面」SP(ようやく6000回超えました。。。)

「ずっと見てられる調理風景」編

いつも素敵な写真をありがとうございます!
 写真提供:中山友美 利根川亘
      Instagram:tomomi.photography
      Facebook :tomomi.photo

LINE_ALBUM_アサヤン21(2021・9・9)_210910_4

高須さんと、伊藤さんと、私。

動画制作、執筆、キャッチコピーなど、お悩みの方は気軽にどうぞ!

執筆者:島津秀泰(放送作家)
     Twitter:@shimazujaoriya
     Instagram:hideyasushimazu
     是非、フォローをお願いします。

そして、誰か感想を!お待ちしています!

宜しければサポートをお願いします。あなたの応援を、私のエンジンにさせてください。