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ジョニー小野「社長がお笑い芸人に異世界転生してみた」を読んで

社長芸人という肩書を持つ男・ジョニー小野

 知る人ぞ知る、社長芸人という肩書を持つ男・ジョニー小野。あの闇営業問題で芸人を廃業し、清掃業への転身を図ったカラテカ入江という存在がいるが、その対義語は誰?というクイズがあれば、限りなく正解!に近い人物がジョニー小野とも言えよう。
 何せ、現在手掛けるビジネスが清掃業、ゴキブリの養殖業、コーヒー豆の販売業と実業家としての実績も豊富だ。その彼が、芸能界、お笑い界に潜入するというのだから、面白くないわけがない。思わず「ずるいよー--。」と叫びたいがそんな特殊とも言えるバックボーンを生み出したのは本人なのだからスゴイと言える。

 クリエイターならば、真っ先に思うであろう、女子高生がヤクザの組長になるのがセーラー服と機関銃だったり、ある日、医者が突然、江戸にタイムスリップしたJINとか、自衛隊が戦国時代に飛んだりとか、そんな非現実のような作品の設定を。それを地で行くのがジョニー小野だ。経営者でありながら、芸人になる。もう、設定の時点で成功が約束されているかのような存在なのだ。

 かくいう私も、その存在を知るのは本書でも登場する、後のデジタル長官関口さんが水道橋博士に「こんな芸人がいるんですよ。」とまさに紹介する現場でその存在を知った。関口さんの存在はある種の人生の確変みたいなもので、これは関口さんのおかげであり、その目に留まる本人のなせる業でもある。
 この記事を読む若手芸人に伝えるならば、チャンスや運とは重い物のようなものだ。目の前にあるチャンスを持つ(つかむ)には自分にそれなりの実力、体力がなければ持つことは出来ないのだ。一方で、その重い物はどこにでも転がっているわけではない。行動をしない者に、その重い物は現れさえしないのだ。そういう点において、ジョニー小野はお笑い界に飛び込んだことで一つのチャンスを掴んだのだ。

左手奥、関口さん、水道橋博士、右手奥私、原田専門家

 話すを戻そう。2020年の年末に博士、関口さん、原田さんと私の会合の際、ジョニー小野の動画を初めて見た。その流ちょうなしゃべりと威風堂々たるといえばいいか、ある種のふてぶてしさは40歳を超えたとはいえ、使い勝手のある芸人として、「これは売れる!」という放送作家の嗅覚が働いていた。その後、ジョニーは博士に気に入られたのであろう運転手となっていく。

 その後、アサヤンのライブを通じて彼といろいろ話をする中で、やはりというかその辺の若手芸人とはレベルの違う経営者の感覚と、彼のNoteからにじみ出る「上から目線」のスタンスというか、芸風が面白かった。私自身も非常に買っており、私の知人でもある南原竜樹さんにもご紹介をした経緯もあった。残念ながらこの時、YouTubeの収録をしたが諸事情あり、お蔵入りとなった。これに関して私が彼に詫びる立場である。実は、M-1グランプリに挑戦!までの話も出たが立ち消えとなってしまった。。。残念。コンビを組んでたらYahoo!ニュースに出たのに、、、とすら思う。

幻の収録に・・・すまん。

 で、本題となる今回の著作である。これは読む前から何となく想像はついていたのだが、期待以上に素晴らしかった。

 テクニック的なことをいうと、センテンスが短くリズム感がありつつ、随所に出てくる例えの表現も上手い。かつ随所に見られる「上から目線」「合理主義」はジョニー節が炸裂!と言っていいだろう。それは一つの芸になっているのだ。本書の中で、「お笑い芸人になりたかったことがない」「特定の他者の強い影響によって自己が変革される事を嫌う」というのが、ジョニー小野の特異さを際立たせる。それは今傍にいる博士と真逆のような立ち位置もまた、興味深い。
 ビジネスマンとしてのエピソードは、どうすれば人は成功のヒントを掴めるのか?先ほど、清掃業もやっている旨を冒頭でサラっと書いたがそこで成功にたどり着く話だけでも十分に面白い。けど、それはあくまで序章というか、フリというべきか。そんなビジネスマンの思考を持ち合わせた人物が、もしもお笑い芸人になったら?どうだろう、すでにもうワクワクするのではないか。

 ちなみに、ジョニーと会ってからか、ビジネスとしてのお笑いや漫才を私も考えた。マイク一本とライトさえあれば興行が打てるというビジネスのすごさに気付いた。これがミュージシャンなら、バックバンドやら楽器の運搬、さらにはダンサー、照明、音響、ととんでもないスタッフの人件費が必要だ、芝居でも小道具、大道具、衣装と経費が掛かるものだが漫才はそうではない。けれど、人々を楽しまる時間という点で非常にコスパのいいビジネスなのだ。そこをしたかたに計算するジョニー小野のエピソード1の話が今回の著作ではないだろうか。最後のオチのエピソード、いや野望もいいものであった。とはいえ、きちんと、売れてほしいね。そこからのエピソード2、3も今後生まれるであろう。この記事を通じて、力水を送ります。

 で、私がやっているYouTubeはこちらから。まずはチャンネル登録をお願いします。水道橋博士も出演してくれています。

執筆者:島津秀泰(放送作家)
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