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アサヤンVOL.25 『その男凶暴につき』〜ガダルカナル・タカ一代

タカ坊はすごいよ!

 2021年11月16日火曜日、阿佐ヶ谷ロフトAにて、25回目となるアサヤンライブが配信、ゲストにはたけし軍団の大番頭、ガダルカナルタカさんを迎えたーーー。
 今回のライブ前に、アサヤンの総合プロデューサーでもある水道橋博士は連日の炎上騒動の渦中にいた。もし、2021年の炎上大賞なるネットニュース主催の賞があるならば、きっとノミネートされるほどの炎上ぶりである。「こうして私は炎上しました。」と現代社会の現象学を記してほしいほどの稀なる経験を積んでいるように見える。
 放送作家という立場で言うと、特に徳光和夫さんの番組における発言では後から言われたら確かに問題発言であることは認識出来るが、あの現場で「そこ、笑うとこじゃないでしょ!」と冷静に咎められたのか?と我が身に置き換え、考える。それぐらい表現の内容に敏感にならざるを得ないことをひしひしと感じるこの頃である。

 で、問題は今回のライブなのだ。
 そもそもの経緯をひも解けば、「水曜日のダウンタウン」における株式会社TAPの社長でもあるつまみ枝豆社長のドッキリ企画における「殺すぞ!オラあ」事件である。Twitterでもトレンド入りするほどの物議と反響をもたらした。それを受けてのニコニコ生放送における枝豆社長の出演と話は転がっていく。

https://www.nicovideo.jp/watch/so39439373

 巷では、すっかりつまみ枝前社長を怒らせたら本気でヤバい!という空気が醸成される中、「俺よりすごいのがいる!!」それは総合格闘技の世界でホイスグレイシーが「俺よりすごいのがいる!!」と兄、ヒクソングレイシーの存在を知らしめたように、枝豆社長自らが「タカ坊はすごいよ。」とさらりと言ってのけてしまう。では一体、どれほどの凄さだというのか?実は私もまた、タカさんの芸人としての芸風、経歴についてほとんど認識のない状態であった。枝豆さんとカージナルスというコンビを組んでいたことはうっすら知る程度であり、お笑いスター誕生に出ていたことすら知らなかった。
 問題はそこではない。かのNHKの人気番組「ファミリーヒストリー」においてたけしさんの回を終えた後に、「次はタカさんで!」と打診を受けるものの。「それはちょっと、、、」とタカさん側で引いたものの、NHK側が取材を進めた結果、「やっぱりダメでした。」と断念した逸話が残るほどの話だというのだ。

 こんなことを言われたら「いやいや、ちょっと待ってーな!その話聞かせておくれやす!!」と俄然、テンションも上がるものだ。その話の一端は「ザテレテレビジョン」においても披露された。まことしやかな話の連続が今回のアサヤンへと繋がっていく。
 実はこの軍団における関係性というのは私自身、よく分かっていない。何故、枝豆さんがニコニコ生放送で、タカさんはアサヤンなのか?それは多分に「生き物である」と勝手に捉えてはいる。そもそも博士と枝豆さんの関係性においてTAP起ち上げにおける博士の尽力が、枝豆さんへの大きな信頼感を生み、二人の距離感を変えたターニングポイントのようでもあるようだ。全てには流れ、成長、発展がある。

 さて、NHKのファミリーヒストリーすら断念したタカさん一家のヒストリーとはいかなるものか?また、炎上案件は飛び出しはしないのか?と別の見どころまで発生する今回のライブ配信が始まる。

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OPは「かいま&ドルフィンソング佐野」の怪しげなラップからスタート

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ジョニー「まさかのこの人が来ました!!」

タカ2

常識人の皮を被る男・ガダルカナルタカ (本名:井口 薫仁 たかひと)

 茶の間ではワイドショーのコメンテーターを務めるタカさん。炎上知らずの踏み外さない圧倒的なバランス感覚を見せつける一方、ある時は師匠・ビートたけしさんの頭を容赦なく叩く、ツッコミの度胸と技術も併せ持つ。そんなタカさんが、今回はのっかけから隠しきれない本音もにじむ。「ホントに大丈夫か?お前(博士)と絡むと徳光さん、みたいになるんだろ。」「15年掛けて芸人の皮を被った常識人をなんとなく分かってもらおうとしてきた。」「つまんないとか言われても、一生懸命、マジメな人を装ってきたから。」言葉尻を拾って恐縮だが、今宵のアサヤンは、この装ってきたマジメさがまさに決壊するひと時となっていく。別の言葉で言えば「どの口が言う!」状態のオンパレードが幕を開けるのだ!!

タカ&博士3

博士「(タカさんは)パーフェクトブラックですから」

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令和の深作欣二「小林勇貴監督」が見届ける!

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高須SAN「(小林監督の映画を見てると)日本に警察はいないんじゃないかって」

博士の野望「湯ヶ島キッド」を映画化したい!

「孤高の遠吠」で本物の不良をキャスティングし、東京に来るまで「人は誰でも拉致されるもの。」とかなり独特な人生を経験を積んできた小林監督を見届け人として参加。というのも、ガダルカナルタカさんと、つまみ枝豆さんがたけし軍団に入る前の話を描いた「湯ヶ島キッド」に惚れこんだ博士が、映画化をするなら、ぜひ、小林監督で!という思いもあっての今回の登壇でもある。

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若手のドルフィンソング三木、佐野、かいまがタカさんにご挨拶。
タカ「事務所の中で一番、分かってくれると思っていいから。」
ちんこ「ジングルベル♪ジングルベル♪鈴アナル~♪」と安定の下ネタ披露。

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猫ひろしも緊急参戦!「タカさんは動物好きだから、それだけでOK」

 さて、ライブはカージナルスの年表と共に、タカさんの一代記を掘り下げていくのだが、内容がとにかく濃い。ざっとポイントだけをまとめよう。

〇原田専門家による「ザ・フランス座 キッドリターンOP」
〇タカさんの飼う、ウサギの世話係でボコボコにされる博士の話
〇博士「橋本志穂さんとSEXする夢を見る」
〇軍団の中で、技部。タカさんにプロレスの技の実験台になる博士話
〇「井口、おせーんだよ」で博士がボコられる遊びが映画で使われる話。

タカ&監督

小林「張り手じゃなくて、肘が入ってましたね。」

 と、ここまでは軽いジャブのように来るのだが、、、。にわかには信じがたいエピソードが湯水のごとく溢れ出てくのだ。NHKのファミリーが断念するのも納得の展開が広がるのだ。ちょっだけ、マジメなことを言わせてもらえれば、これは貴重な昭和を彩る芸人史が詰まっている。

〇カージナルス・お笑いスター誕生のネタ披露

 タカさんの太鼓芸をベースにしたネタが披露される。10分程の尺だが、芸人としてのポテンシャルの高さから、当時のテレビ放送のスタイルも含め、貴重過ぎる映像が見れる。(タップや日舞もこなすタカさんの芸。それはたけしさんがしゃべくり芸だけでないことを重視していたことを想起させる。)

〇ニセドリフで台湾で興行する話
 「君たちは今日からドリフだよ」と手配師の王さん言われ、5千人の会場でもライブをこなしてく。

エル上田

エル上田「大規模、詐欺ですよ」

〇カラオケスナック「ポプラ」から、たけし軍団結成秘話

 この日、会場にはたけし軍団結成に一役買うぶっちゃあさんも来ていたが、野球を通じてのたけし軍団の結成秘話。とんねるずの石橋貴明さんも訪れていた、エピソードが披露。詳しい結成秘話は「藝人春秋 Diary」をどうぞ。

数奇なる一家の話
 

 そして、今回のライブにおける目玉はやはりタカさんのファミリーを巡る話である。旅芸人を志し、劇団を旗揚げした父親が日本を縦断しながら、北海道の地で解散。その後、枝豆さんの住む湯ヶ島へと流れつく話とざっと書いてしまうとこのようになるのだが、そこには一言では言い知れない物語がうごめいているのだ。

タカ3

「白身、白身、郷しろみ!はさすがにやばいでしょ!!」

〇トラック三台で日本を行脚。北海道では排気ガスで暖を取る話。
〇父親から木に吊るされる話
〇虎の赤ちゃんと寝る話、アザラシを飼う話。
〇うんこが凍って、柱となり。トイレに金づちが必要になる話。

ジョニー1

ジョニー小野「鬼滅の刃のようですね。」

〇その土地の興行主ともめて、任侠と仲良くなる話。
〇解散後、ストリップで生計を立てる話

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タカ「子どもが舞台に立つとウケるんだよ」

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母親は育ての親です。姉は〇〇でした。僕は照明係。貴重な家族の一枚

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当時、父親が世話をした人物、後にNHKのトリもつとめた北島三郎さん

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ひょうきん者の枝豆さんと色気が際立つタカさんの一枚

〇村を乗っ取っていく話
〇温泉を勝手に自分の家に引く父の話
〇義理の兄のバルタン星人とたけしさんが名付ける話
〇ムジナに憑りつかれた枝豆さんの父の話
〇たけしさんの謹慎中。望遠鏡でのぞき見事件
〇たけしさん、「白身、白身、郷しろみ!」事件

 番組後半、映画化を進めたい博士が枝豆さんと連絡する一幕も。ちなみにフライデー事件後のたけしさん、タカさん、そのまんま東さんで過ごす時代を振り返る際に博士がつぶやく。「これも映画化したいね。」と。やけに印象的な一言だった。それは博士の中にある、熱狂と冷静の間を形にしたいのか?クリエイター心を揺さぶるのか、、、。
 
 怒涛の時間であった。全編そのものがまるで金田一耕助の映画を見ているような、きっと日本にあったであろう村社会ならでは狭い社会のルールや曲々しさというべきか?トンネルを抜けると別の世界や常識が広がる不可思議だけど、確かに実在したであろう歴史を堪能するひと時であった。NHKのファミリーヒストリーは無理でも、小林監督にはぜひ、映像化してもらいたいものだ。と、その前にぜひ、配信でその現実離れしたエピソードの真相を確認してもらいたい。

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 そして次回のアサヤンは、関東芸人きっての天才・劇団ひとりが登場!

いつも素敵な写真をありがとうございます。
 写真提供:中山友美 利根川亘
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執筆者:島津秀泰(放送作家)
     Twitter:@shimazujaoriya
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