転居2

 傘を差している人と、差していない人が、同時に歩道を歩いているとき、アルは傘を差している人の肩を持つことになるだろう、肩を持つというのは、意味の無い、音符です。新宿のコメダ珈琲を、たとえば体育館くらいの広さにするとか、高層ビルを建ててそのテナントをすべてコメダ珈琲にするとかしたら、人は、なんか、引くな、とか思ったりするだろうか。広、とか、大きいね、とかを、久しぶり、に一言付け加えて、甘味そのままで、と言って、一時間か二時間かをそこで過ごすのだろうか、人は、暑くも寒くもない、湿ってもない、肌がつっぱる感じもしない場所で、人と声を交換することを求めた、いつの時代もさほど変わらなかった、他にはいまいち求めてもいないいろいろな物もあった。地面から大きな木が生えていることも求めていた。それは土に他ならなかったし、また砂丘でもあった。灼ける砂原を、どこからか珈琲屋が歩いてきて、湯を沸かし始めた。今日の午前中は知らなかった人三人に声を掛けられて、少し話した。カワセミもはっきりと目視した。でも午後は、曇天の日のプールのような内臓をもった。

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