転居8

 太陽の明るさのさなかに顔を置くと皮膚の緑色に見える部分金色に見える部分白色に見える部分がありそれぞれで瞬間が持続する場所にその通りに色の粉を載せようとするこれは化粧で、なんらかの像に近づくということではなく、地形に合わせて葉を茂らせるようで、体の輪郭が土と植物に少し溶け込む。小川のなかにも緑色や金色や白色や茶色があり日々異なる色がある、鯉と鴨はしばし休んでは移動し枯れた葉は数メートル先の岩へ花びらは水流のなかに落ちては消え去って休日も休むことなく形を変える、形というのはあってないようなものだ、ありながらないということが、起こっている。矛盾する二つの事柄が同時に起こるとき、アルはほとんど消え入りそうに細長く存在することしかできなかった。

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