転居4

 気温の変化のために、およそ一年ぶりに着ることになる下着を広げて、少し時化たように感じたが、続く体の動きは変わらなかった。新しい部屋に住み始めて数日間のうちは、構造が掴めずに、体の端々をぶつけた。額に血を滲ませたこともあったが、二日前出窓に豆苗を置いた。この棟のすぐ脇の道路は、大きいトラックが通ることが多く、その度に地面が振動することを、最初はうんざりしてくるのではないかと案じたが、そんなことはなかった。人が多い駅を、歩くことそれ自体が、ミニゲームのようで、ミニゲームが突然始まる環境下にいつもいるのは、緊張することだろう。セブンイレブンではすべての容器サイズの水が百十円で売っているようだったので、中ぐらいのものを買った。もちろん味も栄養素も違うのだろう。歯磨き粉が耐えがたいほど辛い日が、そうでもない日に続いて突然訪れる、こういったことも、誰かがすでに研究して、手紙を残した。小さい子どもの姿をした人が、いつも質問をしていた。宇宙の細部までを、口に含もうとした。

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