転居18

 地面が大きな液体のように揺れ、傾いた角度でもとに戻らなかった、アルはもとに戻るのを待ってから立ち上がろうと揺れの途中で考え、戻らなかったために立ち上がらなかった、立ち上がらなかったために、そのまま眠った、あとから考えれば、あれは夢だった、それからしばらくすると、台風が近づいて来たらしい。これだけの水を移動させようとするなら、大変なエネルギーが必要になる、ずっと水が降ってきて、あちこちに溜まり、溢れた。アルはその間、四角いもののなかに入っていた、その中でしか動き回らなかった、一度も濡れなかったというより、わざわざシャワー状にした水を浴びるためにいくつかの手順を踏んだりもした、濡れないように四角いものの中に入って、その中で濡れるために色々と準備した。濡れないように中に入ったり、その中で濡れるために中に入ったりするようなことが、繰り返された。濡れたり乾いたり、濡らしたりした。

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