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「くわえ煙草とカレーライス」を読んで

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「くわえ煙草とカレーライス」を読んで
バイク小説の元祖といえば片岡義男さん。と言っても過言ではないかと。ですが僕はこの方の小説を今まで読んだことがなかったので、恥ずかしながら初読ということで、今回は簡単に感想でも。しかも今回選んだ小説にはバイクは出てきませんでした笑
片岡さんはなにもバイク小説ばかり書いているわけではなく、1939年生まれの純粋なベテラン作家ですので、非常に多くの作品があります。むしろバイクはその一部に過ぎません。片岡さん自身がバイクやサーフィン、ロック等のアメリカ文化が好きな方でして、最初はエッセイ等で物書きを始めつつ、次第にアメリカ文化へと趣味が向かっていったようです。

まず僕が手にとったのは「くわえ煙草とカレーライス」、、、タイトルからしていかにも昭和の男が好きそうなニュアンスを感じましたね。作品は2018刊行の新しい小説ですが、実際の内容はハードボイルドほどではないけれど、昭和の男と男、男と女の日常会話短編集。毎話舞台は異なるけれど喫茶店が出てきて、そこで提供されるカレーライスとコーヒーの描写に舌鼓を打ちます。
この小説は意外と何も起きません。でもそれがいい。ただ登場人物たちのドラマがそこにあるだけ。実際に作中でも「喫茶店に来る一人一人には必ずドラマがある。短編が書けるほどのパワーをもつ」というセリフがあるように(作中の登場人物が作家なのです)、特に大きな出来事が起きなくとも各々の抱えている背景や人との関係性を喫茶店を通して日常を描くスタイルに「粋」を感じるし、それはそれで情景のイメージが豊かに沸きやすい。確かに文の表現や描写には昭和感があり、一見古く感じてしまうのだけど、昨今のわかりやすいエンターテインメントとして「面白いでしょ?」という作為を感じないのが今作の魅力なのだと思います。今作どころか片岡さん自身の魅力なのかもしれません。

今回の本の感想はざっくりと簡単に書いてみましたが、次は片岡さんのバイク小説をなんとか探して読んでみようと思います。

それではこの辺で。

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