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鉄路 あうあ ありいある(走り出す) えんゆうう(電柱) あやる(曲がる) まあ(また)、…
道を歩く アスファルトの亀裂が続いている それを境界にした片勾配 空までが傾いている…
オール ひた、ひた、と ボートを漕ぐ ああ、ひとりであることの 同時にひとりではない…
口伝の海 木々の間をジグザグに 右手で幹を触れ 次には左手で幹を触れ 飛び跳ねるよう…
傾いたページ 斜めに傾いたままの その本のページを眺めている 文字で書き記された海…
雪夜 漆黒の暗闇を降りしきる雪の その軽々とした睡(うま)いのゆるやかさ 結晶の格子の…
海沿いの小径(こみち) かつては主要な街道であったその道は 今では歩く人もないが あふれるばかりの優しい陽光が沁み込み 歩みを進める私たちを、昔のように包んでくれている その海沿いの湾曲した道は 私の原風景に通じているのだった あなたを背負ってでも 私はそこへ歩いて行く あなたは菱形のぼやけた紋章を見つめている 光の分散し、虚空に投影された紋章を その紋章こそ、打ち棄てられ、野晒しにされた詩人の墓所の在処(ありか)を 証言するただひとり残された者であることを
帰還 既に郷愁の飛び去った、わたし、へと 私は帰るのだ 乾いた音をソロで奏でる 針葉…
岬 その岬を取り巻く海は、空を映している 模様でもなく、色彩でもない空を おお、互い…